相場は「節分天井」? で、その後は? 気になる2月相場の特徴と傾向【今月の株価はどうなる?】
《株式市場には、一定の季節性や、法則というわけでもないけれど参考にされやすい経験則(アノマリー)など、ある種のパターンが存在します。過去の例からひもとく2月の株式相場の特徴とは?》
2月相場は“天井”となるか?
2月の株式相場では「節分天井・彼岸底」という言葉が市場の経験則(アノマリー)としてよく言われています。2月上旬の節分の頃に相場は天井を付け、お彼岸の3月中旬に向けて下落していく、というものです。
これについては、実は、特に確たる理由はありません。ただし、新たな資金が株式相場で入ってきた年初からの相場が2月でいったん高値をつけ、その後、3月の決算に向けた利益確定売りで下落する、といった説明がなされる場合もあります。
その一方で、この相場格言はかつての米相場の時期から長く言われてきたものであることから、海外相場の影響が大きい現在の相場にはあまりあてはまらない、とする見方が一般的です。
もっとも今年は、アメリカの景気後退(リセッション)やインフレ進行に対する懸念とは裏腹にアメリカ株などはグロース株が買い戻され、日経平均株価も27,000円台の中盤まで戻すなど、強含んでいます。このままいくと、格言どおりに「節分天井」となってしまうのか。
過去の株価データ、定例イベントなどを確認しながら、2月相場を読み解くヒントを探っていきます。
2月の日経平均株価はどう動く?
そんな2月相場で、株価が「強い日」「弱い日」はいつになりそうでしょうか?
それを知るために、2月の日経平均株価の過去データを振り返りましょう。日経平均株価についての公式データを公開している「日経平均プロフィル」を参照します。戦後、東京証券取引所が立ち会いを再開した1949年5月から直近までの日経平均株価の日々の「騰落率」が掲載されています。
このデータを確認してみると、2月に日経平均株価が上昇した確率(勝率)が高いのは「11日」で、80%の高確率で上昇しています。ただし、11日は現在「建国記念の日」で祝日休場のため、次点を見てみると、「1日」の70.7%となっています。
反対に、2月で最も日経平均株価の上昇する確率が低い(=下がる確率が高い)のは、「21日」の41.8%でした。
2月は「節分天井」の格言が示すとおり、前半にかけて勝率の高い日が多く、後半にかけてはやや勝率が下がっている、ということが過去の傾向としても読みとれます。
過去20年の2月は6割が上昇
続いて、日経平均株価の月間の騰落状況(前月末終値と当月末終値の比較)を、2001年から見てみます。1月末比では月間で上昇したのが13回、下落が9回で、上昇した確率は59%となり上昇が優勢でした。2000年からの平均騰落率は+0.4%で、わずかに上昇率が優勢となっています。
下落率が最も高かったのは2020年2月で、日経平均株価は月間で8.9%下落しました。
この月は、中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの感染が世界に拡大しつつある時期でした。1月末にはWHO(世界保健機関)が緊急事態を宣言し、2月4日には日本でも大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客に感染が確認され、そうした不安から日本株にも売りが広がりました。
反対に、上昇率が最も高かったのは2012年2月で、日経平均株価は10.5%上昇しました。債務問題が懸念されていたギリシャのデフォルトが回避されるとの期待が高まり、欧州債務危機への悲観が後退し、世界的に株への買い戻し機運が広がりました。
直近3年の2月の日経平均株価は?
最近の2月の日経平均株価の値動きはどうだったのでしょうか? 過去3年間のチャートを見ながら振り返りましょう。
・2020年2月の日経平均株価
2020年2月の日経平均株価は前述の通り、コロナ感染拡大でリスク回避の動きが広がり、月間で8.9%下落しました。
・2021年2月の日経平均株価
2021年2月の日経平均株価は月間で4.7%上昇しました。
海外で先行していた新型コロナワクチンの接種が日本国内で始まり、経済再開への期待が広がりました。また、アメリカではバイデン政権による大型の経済対策が好感されました。日経平均株価はおよそ30年ぶりに30,000円を回復するなど、前年からの戻り相場が続きました。
・2022年2月の日経平均株価
2022年2月の日経平均株価は月間で1.7%下落しました。
2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始し、投資家のリスク回避姿勢が鮮明になったほか、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の引き締めを前倒しで行うとの観測も、株式から資金が流出するきっかけとなりました。国内では新型コロナのオミクロン株の拡大が嫌気される場面もありました。
直近3年間で見ると、日経平均株価の2月の勝敗は1勝2敗と負け越しています。
株価を動かす2月のイベント
株価にも影響を与える2月のイベントには、どのようなものがあるでしょうか。
春節明けの相場には要注意
1月末から2月初頭にかけては中国の「春節」(旧暦の正月)となり、上海や深圳などの中国本土市場だけでなく、香港や台湾、さらにベトナムなどのアジア市場も軒並み休場となります。そのため、春節明けにアジア株が大きく変動し、日本市場に思わぬ心理的な影響を与える場合があります。
2023年の春節は1月22日でしたので、アジア市場の休場はすでに終わりました。中国の文化観光省によると、春節前後の大型連休における国内旅行者数はのべ3億800万人。前年比で23%増加しており、コロナ前の約9割まで回復しました。
ゼロコロナ政策の解除もあり、経済の再開期待で休場明けの香港株などは買われており、今年の春節明けはここまでのところプラスの方向で反応しています。
決算発表&権利取りの動きも要チェック
1月下旬から2月の初旬にかけては、3月期決算企業の10〜12月期(第3四半期)の決算発表シーズンとなります。このあたりから、市場の目線は来期の見通しや業績がどう変化するかといった点に移っていく時期でもあります。
また2月末は、外食、小売りやサービスなどの内需系企業の決算月でもあります。
ホームセンターのDCMホールディングス<3050>、ドラッグストアのウエルシアホールディングス<3141>、 ショッピングセンターのイオンモール<8905>など、株主優待の権利確定月が年に一度きり(2月末のみ)の銘柄もありますので、優待狙い人はチェックしておきましょう。
また、これらの銘柄では権利取りの買いが月末にかけて入りますので、優待狙いでない人も値動きには注意が必要です。今年の2月の権利付き最終日は24日(金)です。
2月相場は節分天井となるか
日経平均株価の過去データをもとに、2月相場の特徴をいくつかご紹介しました。
足元の日本株相場では、12月に日銀がサプライスで長期金利の変動幅の上限を引き上げたこともあり(実質的な利上げ)、その動向にもマーケットの関心が向いています。3月に雨宮・若田部の両副総裁、そして4月には黒田総裁が任期満了を迎えることから、後任人事への思惑も広がっています。
黒田総裁が2013年4月から約10年にわたり続けてきた、アベノミクスの中核である大規模金融緩和については、その出口に向かうためにはさまざまなハードルがあり、後任人事の行方に注目が集まります。報道によると、2月半ばには政府が後任人事を国会に提案するとされています。
日本企業の決算動向も引き続き注視されます。1月24日には、日本電産<6594>が2023年3月期の最終利益予想を大幅に下方修正し、話題になりました(中国経済の悪化や、構造改革費用を計上したことによる)。他の日米のハイテク、製造業の決算でも市場予想を下回る企業が散見されます。
その一方で、市場全体の反応は過度に弱気に傾いてはおらず、2023年の上半期を底に業績は回復に向かう、との期待が市場に広がっています。
日経平均株価は年初の安値25,661円から27,500円程度まで約2,000円弱の戻り相場となっていることから、「節分天井」の戻り売りを予想する向きもあります。この2月は、日銀人事やアメリカのインフレ指標、中国の経済回復など、複数の要因に振り回される展開となるかもしれません。