今年も年末高への期待が上昇中! 押さえておきたい12月相場の特徴と傾向【今月の株価はどうなる?】

佐々木達也
2022年11月30日 12時00分

Blooming Sally/Adobe Stock

《株式市場には、一定の季節性や、法則というわけでもないけれど参考にされやすい経験則(アノマリー)など、ある種のパターンが存在します。過去の例からひもとく12月の株式相場の特徴とは?》

12月相場は最後の一振りに期待

12月の株式相場では「年末高」への期待が高まりやすい、という経験則(アノマリー)が市場参加者からよく聞かれます。

年末相場を表した有名な相場格言に「掉尾の一振(とうびのいっしん)」があります。捕らえられた魚が尾を大きく振る様になぞらえて、株式市場が年末に高値を付けることを言い表したものです。

2022年の日経平均株価は10月安値の25,621円から11月には28,000円を超え、再び29,000円をうかがう戻り相場を形成しており、まさに「掉尾の一振」となることを期待する個人投資家も多いのではないでしょうか。

また、クリスマスシーズン頃から年末にかけては、利益の出ている海外の投資家などが早々にポジションを手仕舞って休暇に入るケースも多く、売買が細りやすい時期でもあるのが年末相場の特徴です。

12月の日経平均株価はどう動く?

そんな12月相場で、株価が「強い日」「弱い日」はいつになりそうでしょうか?

それを知るために、12月の日経平均株価の過去データを振り返りましょう。日経平均株価についての公式データを公開している「日経平均プロフィル」を参照します。戦後、東京証券取引所が立ち会いを再開した1949年5月から直近までの日経平均株価の日々の「騰落率」が掲載されています。

このデータを確認してみると、12月で日経平均株価が上昇した確率(勝率)が高いのは「26日」で、騰落率は72.4%と、なんと7割以上が上昇しています。

反対に、12月で最も日経平均株価の上昇する確率が低い(=下がる確率が高い)のは、「10日」の40.3%となっています。

過去20年の12月も7割が勝ち越し!

日経平均株価の月間の騰落状況(前月末終値と当月末終値の比較)を、2000年から見てみます。11月末比では月間で上昇したのが15回、下落が7回で、上昇した割合が68%と勝ち越しに成功しています。2000年からの平均騰落率も1.9%とプラスになっています。

この20年強で下落率が最も高かったのは2018年12月で、日経平均株価は月間で10.5%下落しました。

この年は、米中の貿易対立が激化。アメリカによる対中追加関税が発動され、世界経済を下押しするとの懸念が再燃し、売り材料となりました。12月にはトランプ政権の国防長官マティス氏の退任や中国の通信機器大手ファーウェイの副会長がカナダ当局に逮捕されたことで不透明感がさらに強まりました。

反対に、上昇率が最も高かったのは2009年12月で、日経平均株価は12.8%上昇しました。

10月にギリシャでの政府の債務残高がこれまで公表していた水準を遙かに上回っていることが発覚し、債務不履行(デフォルト)の可能性が浮上。欧州発の信用不安が株安につながりました。 この「ギリシャショック」の反動で買い戻されたのです。

国内ではデフレ脱却に向けた政府や日銀の政策が強化され、リーマンショック後で落ち込んだ景気が底入れするのでは、との期待も日本株高につながりました。

直近3年の12月の日経平均株価は?

それでは、最近の12月の日経平均株価の値動きはどうだったのでしょうか? 過去3年間のチャートを見ながら振り返りましょう。

・2019年12月の日経平均株価

2019年12月の日経平均株価は月間で1.5%上昇しました。

アメリカと中国の対立がやや落ち着きをみせ、アメリカが制裁関税を緩和させるとの観測が相場を下支えしました。

・2020年12月の日経平均株価

2020年12月の日経平均株価は月間で3.8%上昇しました。

この時期は、米FRB(連邦準備制度理事会)が金融緩和を打ち止めるのではないか、との懸念がありました。しかし当面は金融緩和を継続するとの方針が打ち出されたことが安心材料となりました。

海外ではコロナワクチンの接種も始まり、経済再開への期待も高まったことも買いにつながりました。

・2021年12月の日経平均株価

2021年12月の日経平均株価は月間で3.5%上昇しました。

11月に新型コロナの変異種(オミクロン型)が南アフリカで発見されたことで世界的に株が売られましたが、12月にかけて警戒感が後退したことで株式が買い戻されました。

まて、この月の米FOMC(連邦公開市場委員会)で翌年の利上げ見通しが公表され、金融政策の不透明感が和らいだことも相場を押し上げました。

過去3年間で見ると、日経平均株価の12月の勝敗は3勝0敗とすべて上昇しています。これらのデータを見るかぎりでは、「掉尾の一振」への期待がますます高まりそうです。

株価を動かす12月のイベント

株価にも影響を与える12月のイベントには、どのようなものがあるでしょうか。

12月は、新興市場を中心に企業のIPO(株式新規公開)が集中しやすい時期です。30社あまりがIPOを実施した昨年に比べると規模はやや縮小しますが、今年も20社超のIPOが予定されています。

IPOが年末に集中する理由は、機関投資家がクリスマスシーズンでお休みとなるため、新興企業の注目度が高まりやすいことも背景となっています。

話題性のありそうなところでは、経営破綻からファンドによる出資で企業再生を果たしたスカイマーク <9204> 、個人が文章や画像をメディアとして公開できるプラットフォームのnote<5243>、ブランド加工食品のサンクゼール<2937>、モバイルバッテリーシェアリングサービスのINFORICH<9338>などが挙げられます。

ただ、投資資金捻出のための換金売りが市場全体の上値を抑える場面も、年末にはしばしば見られます。東証マザーズ指数の12月末の騰落率は2020年が2.9%下落、2021年が7.8%下落と、個別IPOの成否は別としても、新興市場全体では近年の12月は弱含んでいます。

年末商戦の動向も、市場の大きな関心事です。

今年は特に世界的なインフレで消費者の節約志向が高まっているため、アマゾンなどの大手EC事業者がセールの時期を早めたり、回数を増やしたりしています。小売業者も在庫解消のため大幅な値引きを実施するとみられており、経済の減速が心配される中で個人の消費動向が堅調さを保てるかどうかに注目が集まります。

4年連続の「掉尾の一振」となるか

日経平均株価の過去データをもとに、12月相場の特徴をいくつかご紹介しました。

足元の日本株相場は、アメリカのインフレ指標のトーンダウンを背景に、買い戻しが続いています。為替相場は一時期よりはやや円高に触れているものの、景気敏感の大型株などが買われています。

そうした大型株の影響を受けやすいTOPIX(東証株価指数)が底堅く推移していることも、年末相場に期待する投資家が増えていることの証左と言えるでしょう。

成長株の買い戻しや個人投資家の買いで、スタンダード市場やグロース市場などの中小型株も活況になってきています。

このように日本株相場全体では、買われる銘柄が循環するいわゆる「回転が効く」状況が続いています。こうした中で年末のIPO相場をうまく乗り切ることができるかどうかも、来年に向けた日本株相場のポイントになりそうです。

政府による経済活性化策である全国旅行支援も来年までの延長の方針が打ち出されています。また、 新型コロナの感染症法上の取り扱いを引き下げる検討がされるとの報道もされており、利益確定売りの出たインバウンド関連株にもチャンスがあるかもしれません。

海外では、12月13日にアメリカ消費者物価指数(CPI:11月分)の発表、13日から14日にかけては年内最後のFOMCが予定されています。インフレ指標、金融政策の動向や要人発言で相場が右往左往する場面も予想されますが、波乱なく通過した場合には年末高に向けた弾みとなりそうです。

4年連続の「掉尾の一振」への期待が高まりますが、たとえそうならなくとも、一年の終わりをよい形で締めくくれるよう、過去の傾向やデータを振り返りながら準備しておきましょう。

[執筆者]佐々木達也
[ささき・たつや]金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。
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