株価はどこまで下がるのか? 「節目」がわかれば暴落だって怖くない!

岡田禎子
2024年8月2日 19時30分

「節目」は暴落相場の処方箋

8月2日、日経平均株価は2,200円を超える大幅な下落となりました。下落幅としては、1987年のブラックマンデー以来、史上2番目の大きさです。

みるみるうちに急降下していく株価を目にすると、「この先どこまで下がるのか……」という恐怖に駆られてしまいがちです。その気持ちは、よくわかります。しかし、そもそも暴落というのは過去にも何度も起きており、また、今後も必ず起こり得ます。

そんなときは、株価の「節目」を意識することで、冷静に対処することができるようになります。

ジェットコースターに乗る場合でも、真っ暗闇の中で乗るのと、どこまで落ちるのか実際に目で確認してから乗るのとでは、同じように絶叫しても恐ろしさの度合いが全く違いませんか?

暴落もそれと同じで、節目がわかると、一定の目安をもって相場にのぞめるため、クールな頭で投資判断を行うことができるようになるのです。

節目を確認する4つのポイント

暴落時は、業績の良い銘柄も悪い銘柄も一緒くたにして売られまくるため、個別銘柄というより、まずは日経平均株価の節目を意識することが大切です。ここから、相場全体として一体どこまで下げるつもりなのか?と推し量るのです。

【ポイント1】過去の暴落率

まずは、「〇〇ショック」と呼ばれるような過去の暴落の際に、日経平均株価がどのくらい下落したかを確認します。

たとえば、2020年3月に新型コロナショックが始まったとき、最初は2002年のSARS危機の際の−10%が意識されました。その後、ブラックマンデーで記録した−20%を突破し、3月19日には16,358円の安値をつけるなど、高値から32%の下落となりました。

一般的に、「暴落しても最大−30%程度」と言われますが、コロナショックではその水準に達したということです。では、「次の節目」はどこか。それは、リーマンショックの−40%でした。

これらを参考に、現在の日経平均株価を見てみましょう。直近高値の42426.77円から計算すると、8月2日の終値35,909.70円は、最初の節目である−10%(SARS危機の水準=38,184円)は通過しました。

となると、「次の節目」として考えられるのは、ブラックマンデーと同じ−20%となる33,941円です。

  • SARS危機  :−10%(38,184円) ← ここはすでに通過
  • ブラックマンデー:−20%(33,941円) ← 「次の節目」はここ?
  • 一般的な暴落率 :−30%(29,698円) ← 2020年コロナショックはこの辺りでストップ
  • リーマンショック:−40%(25,456円)
  • 未知の領域?  :−50%(21,213円)

【ポイント2】切りの良い数字

日経平均株価の場合、「東証終値36,000円割れ」などとメディアの見出しに踊るように、40,000円、39,000円、38,000円、37,000円、36,000円……といった切りの良い数字が節目となることが多くあります。

実は、この節目に特に合理的な理由があるわけではないのですが、日本の投資家はこうした「切りの良い数字」を意識してトレードする傾向が強いため、結果として、そこが節目となることが多くあるのです。

【ポイント3】過去のチャート

節目は過去のチャート上にも現れます。8月2日の日経平均株価は寄り付きから大きく下落しましたが、上の5分足チャートを見ると、36,500円を下回ったところで、その勢いにブレーキがかかったようにも見えます。

これは、2月初めの36,000円あたりが意識された結果、と見ることができます。

ここを通過すると、次は、1月10日につけた34,000円あたりが節目として意識されることになるでしょう。

【ポイント4】バリュエーション

バリュエーション面からも節目を確認することができます。日経平均株価のPBRとPERは、8月2日終値ベースで次のようになっています。

  • PBR:1.32倍 ← 企業の解散価値である「1.0倍」は上回っている
  • PER:14.90倍 ← 一般的に適正水準とされる「14〜16倍」の範囲内

こう見ると、8月2日時点としては「バリュエーション的に説明できない水準まで売り込まれている」とは言えない状況です。

節目がわかれば怖くない

以上4つのポイントから、今後、下値の節目として意識されそうな数字を考えると、次のようになります。

  • 35,000円……切りの良い数字
  • 34,000円……チャート上の節目
  • 33,941円……高値から−20%
  • 33,740円……PER14倍水準
  • 32,645円……PBR1.2倍水準

もちろん、未来の株価を正確に予測することはできません。それでも、誰もがパニックになりがちな場面に出くわしても、節目という存在を意識することで、より冷静に対処できるようになります。

過去の例に学び、必要以上の恐怖心を抱くことなく、まだまだ暑い(熱い?)夏相場と向き合っていきましょう。

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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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