「立会外分売」とは?

立会外分売 [たちあいがいぶんばい]


証券取引所の取引時間外(=立会外)で、オーナー経営者や銀行などの大株主からの売り注文を不特定多数に前日終値よりも安く売り出すこと。目的として、企業の株式状況の改善や株主数の増加、流動性の向上がある。単に「分売」とも呼ばれる。

・さらに詳しく解説

【立会外分売の概要】
  • あらかじめ実施予定が公表される
  • 割引がある(前日終値の2%~5%安)
  • 取引開始前に買い付けが可能
  • 申込上限がある
  • 取引手数料は無料
  • 即日売却が可能

上場企業が立会外分売を行う主な目的は、株主数を増やすこと。これは、将来的に東証1部へ市場変更を行うことが大きな目的となる。

東証1部へ市場変更を行うためには、株主が2,200人以上という条件がある。これは非常に難しく、上場して1年以内に株価が右肩上がりに上昇し2倍以上になった銘柄でも、株主数は1,800名程度なのだ。

株主を増やすためには、個人投資家へのメリットが必要だ。IRフェアに出展したり、好業績をアピールしたりといった方法もあるが、分売では3%程度の割引価格で株を売り出すのだ。そのため、立会外分売を実施する企業は新興銘柄が中心となる。

なお、取引時間中に市場外売却を行うと、株価が大きく下落してしまう恐れがある。時間外での売却を行うのはこのためだ。また、より多くの株主を増やすために、最低申込株数は100株からがほとんどで、新興銘柄の場合は申込上限株数は多くても3,000株程度である。

【立会外分売の流れ】

立会外分売のスケジュールは、あらかじめ証券会社ウェブサイトで公表されており、おおよその実施予定日がわかる。

取引所から承認が降りると、分売実施前日に証券会社で実施株数や割引率などが公表され、投資家は午後6時頃から翌日の午前8時頃までの間に申し込むことができる。申込者が多い場合は抽選となる場合がある。そして、得られた株式は即日売却が可能となる。

なお、取引手数料はかからないため、投資家にとってのメリットは大きい。

・短期トレードの現場から一言

立会外分売は、割安で株式を購入でき、手数料は無料と、投資家にとってメリットが大きい。将来的に市場変更を狙っている銘柄が多く、株主への意識が高い企業を知ることができ、次への期待が持てることから、積極的に売買しやすいともいえる。

実際に、ある年に立会外分売を行った銘柄129銘柄中、31銘柄と全体の約24%が市場替えを実施した。

しかし、立会外分売は即日売却が可能なため、短期的な利益を確実に狙う投機筋も多い。一定期間の48銘柄の実施日の価格を調べたところ、前営業日と終値で上昇した銘柄はわずか33%となったる。立会外分売での数%の利益を得てすぐに売却を行ったり、そこを狙って空売りを行う投機筋も多いことだろう。

ということは、企業側の主な目的である「株主数の増加」はもろくも崩れ去ることになるわけだが、結果として出来高は増え、流動性が高まるため、WIN-WINな取引方法なのかもしれない。


*「現場から一言」は、株式市場に真摯に向き合う投資家・トレーダーの視点から、初心者が特に勘違いしやすい側面について、経験を積んだ人々の知見をお届けします。ただし、これは絶対的な「正解」ではなく、あくまで一個人の見解である点にご留意ください。

[執筆者]株窓編集部
株窓編集部
無防備なまま株式市場に参加して大切なお金をなくしてしまう人をひとりでも減らしたい──そんな思いから、未来の株価や相場を予測するのではなく、過去の事例やデータといった「普遍的な事実」に焦点を当てた記事を発信します。同時に、株初心者の方や、これから株を本気で始めようとしている方にもわかりやすい解説を心がけています。
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