銀行員が勧める投資信託を購入してはいけない4つの理由

渡辺 智 2020/04/24 8:00

元営業マンが確信、「銀行では買わないほうがいい」

投資信託が銀行で販売されるようになってから20年余り。かつては証券会社でしか購入できなかった投資信託も、銀行での取り扱いが開始されたことで敷居が下がり、今日では、投資初心者をはじめ幅広い層が購入する金融商品となっています。

銀行には入金や振込、為替などの決済機能があるため、証券会社よりも足を運ぶ機会が圧倒的に多いのは言うまでもありません。銀行に立ち寄った際に、「少しだけお時間ありますか?」と銀行員から切り出され、あれよあれよという間に投資信託を購入していた……という方もいるのではないでしょうか。

しかし、銀行で投資信託を購入するのはお勧めできません。というのも、筆者は銀行で約10年間、投資信託の販売をしてきた元営業員。その経験から「銀行では買わないほうがいい」と強く思うのです。

なぜ銀行で投資信託を購入してはいけないのか? 4つの根拠を説明します。

理由1)手数料が高い商品を勧められる

銀行で投資信託を購入してはいけない1つ目の理由。それは、手数料が高い投資信託を販売されるからです。

銀行員は、銀行にもたらした収益でその評価が決まります。例えば銀行員Aが、購入時手数料3%の投資信託を1000万円で販売したとしましょう。銀行に入る収益は30万円です。一方、銀行員Bは、購入時手数料1%の投資信託を2000万円で販売しました。銀行に入る手数料は20万円。

この場合、どちらの営業員が高く評価されるかと言えば、答えはもちろんA。手数料が高ければ高いほど収益が生まれ、それによって評価も高まっていくのが銀行員の評価システムなのです。

銀行員は出世しないと給料が上がりませんし、役職や評価は社内の人間関係にも大きな影響を与えます。成績が芳しくないばかりに、若くして関連会社に出向させられ、年収がガクッと落ちてしまうことも珍しくありません。

明るい出世コースを歩むには、何が何でも収益を上げなければならない。それゆえ銀行員の多くが、手数料の高い投資信託を販売するのです。

理由2)ハイコスト・ハイリスクの商品を販売される

2つ目の理由は、ハイコスト・ハイリスクの商品を販売されるからです。

投資信託の手数料は購入時手数料以外にも、運用中に支払う信託報酬、解約時にかかる信託財産留保額などがありますが、とくに、毎日引かれる信託報酬は曲者。投資信託の基準価額は信託報酬が引かれた後の価額なので、確実に支払わなければならない手数料でありながら、目に見えにくいのです。

例えば購入時手数料が3%、信託報酬が年率1.5%の投資信託を購入し、1年で利益を出そうとする場合、年率4.5%以上の運用が必要となります。これだけ高いコストがかかるにも関わらず、銀行員はこうした商品をしばしば勧めてきます。

また、ハイイールド債(高利回りの債券)や2階建て投信(アメリカのハイイールド債にブラジルレアルで投資するような投資信託のことを指します)など、リスクの高い商品を好んで販売してきます。なぜか? 仕組みが複雑なハイリスク商品ほど、高い手数料が取れるからです。

しかし、残念ながら投資初心者である銀行の顧客には、このような投資信託を購入するリスク許容度がある方は多くありません。

理由3)適切な投資アドバイスを受けられない

3つ目の理由は、適切な投資アドバイスを受けられないことにあります。

銀行では、販売しなくてはならない商品のノルマが本部から毎月のように通達されます。本部の指示は絶対であり、どんなに他の商品の販売が順調でも、ノルマ商品の目標を達成しなければ高い評価は得られません。

問題は、このノルマ商品の商品性が往々にして低いことです。商品性の低い商品を販売するノルマが課せられているわけですから、銀行員に適切なアドバイスを期待するのは得策ではありません。

顧客の希望を聞き、ポートフォリオを構築する。これが本来あるべき資産運用アドバイザーの仕事ですが、筆者もまた、銀行ではそれを実践できませんでした。

理由4)多額の預金で簡単に購入できてしまう

4つ目の理由は、多額の預金のおかげで簡単に投資信託を購入できてしまうからです。

証券会社と違い、銀行には普通預金や定期預金のサービスがあり、銀行の顧客の多くは、投資にお金を回すことなど考えずに銀行にお金を預けています。

銀行員の立場から見ると、何年間にもわたりお金を預けてくれている定期預金は、投資信託を販売するための格好の材料。使途のないお金をなんとなく定期預金に回している顧客の場合、銀行員から投資信託を勧められると、定期預金のお金をそっくりそのまま投資信託の購入に充てることが多々あります。

一方、証券会社の場合は、そもそも投資するために口座を開いている人がほとんどですし、投資に回していない多額のお金を証券会社に置いておくケースは多くありません。したがって、投資信託を購入する場合には、まず銀行から証券会社の口座にお金を振り込む必要があります。

これに対して銀行は、多額の預金がある場合、簡単な手続きで投資信託を購入できてしまいます。一旦家に帰ることも、家族に相談することもなく、説明を受けたその日に購入を決断してしまう顧客がとても多いのです。

投資信託でもしっかり比較検討を

投資信託は魅力ある金融商品です。それは間違いありません。しかし、銀行で、営業員に勧められるままに投資信託を買うのはお勧めできません。この通り、投資初心者にとっては多くのデメリットがあるのです。

投資信託を購入する際は、銀行だけでなく、証券会社や、手数料の安いネット証券などさまざまな購入方法を比較・検討しましょう。また、もし疑問や不安があれば、金融機関から独立した投資アドバイザーなどに相談するほうがずっと賢明です。

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2020/04/24
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[執筆者]渡辺 智
渡辺 智
[わたなべ・さとし]早稲田大学商学部卒業後、大手都市銀行に入行。11年間、リテール営業を経験し、トップセールス賞を受賞。現在は外資系保険会社で保険を中心とした総合コンサルティング業務に従事するかたわら、金融ライターとして活動。難しい金融をわかりやすく多くの方に伝えることがモットー。 →この執筆者の記事一覧へ

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