話題の「IoT」で成長する銘柄・伸び悩む銘柄を見分ける秘訣とは
注目テーマ「IoT」で何が変わる?
「IoT(Internet of Things=モノのインターネット)」は、今までインターネットに接続されていなかった車・家電・住宅などのモノが、パソコンやスマートフォンを通じてネットにつながるようになることです。利便性の向上をもたらし、私たちの生活をより快適にしてくれると言われています。
たとえば、昔のカーナビはGPSと接続されているだけでしたが、現在ではネットにも接続されるようになり、リアルタイムの渋滞状況を把握できるようになりました。また、家電の分野でもIoTは進んでおり、帰宅直前にスマホを使って電源をつけられるエアコンも販売されています。
そして、今後普及する可能性の高い自動運転の技術は車のIoT化が欠かせないため、IoT関連の将来性は明るいと言えます。
IoTの効果は見えない部分にも表れる
現状のIoTの展開を見ると、実は、私たちに身近な部分よりもインフラ分野や製造業といった産業界のほうで普及しています。
たとえばインフラ分野では、人手に頼っていた検針作業のコストを下げることができるため、電力メーターのIoT化などが進んでいます。建設業では、建機のIoT化によって盗難・暴走の際に遠隔でエンジンを止められる機能が搭載され、安全性の向上に役立っています。
また製造業の例では、製造機械のIoT化によって内蔵センサーが感知した異常をクラウドで管理できるようになり、故障を事前に察知することなども可能になっています。
このように産業界のIoT化は低コスト化・高効率化をもたらすため、着実に普及が進んでいます。
伸びるIoT株・しぼむIoT株
身近な部分や産業界でも展開され、株のテーマとしても注目のIoTですが、すべての関連銘柄が右肩上がりというわけではありません。
・ぷらっとホーム<6836>
IoTではソフトウェアとゲートウェイが欠かせません。ゲートウェイとは接続化されるモノとインターネットを接続する中継器のことです。ぷらっとホーム<6836>はゲートウェイを製造する企業で、IoT関連銘柄として注目されていました。
工場なども顧客としているため、今後にも期待ができそうなのですが、実際の業績は芳しくありません。売上高は2017年3月期から11.3億円⇒13.0億円⇒11.1億円⇒11.2億円と推移しており、受注を一巡した2018年度のピークを越えられていないようです。株価も同様のチャートを描いています。
さらに、コロナ禍でIoTなどの設備投資費用を抑える企業が相次いだことで、2020年も大きな改善は難しいのではないかと推察できます。
・ソースネクスト<4344>
自動翻訳機「ポケトーク」を販売するソースネクスト<4344>。ポケトークはクラウド上のAIのよって翻訳の精度を高めるため、ネットへの接続が必要です。テレビCMによって認知度が高まり、業績も急成長。2016年3月期に70.3億円を売り上げてから、2019年3月期には172.8億円と成長を続けました。
しかし、直近の第1四半期(2021年3月期)は25.4億円と前年同期比でマイナス45%。コロナショックの影響を大きく受けてしまいました。同社は2020年度の売上高の半分弱をポケトークが占めており、コロナ禍で旅行・海外出張などの需要がほぼ無くなったことを受け、株価も大きく下がりました。
・JIG-SAW<3914>
JIG-SAW<3914>はIoTを支えるシステムの管理業務のサブスクリプションサービスを展開しています。近年の業績を見ると、売上高・当期純利益を共に伸ばし続けており、2020年12月期第2四半期(1〜6月)の累計売上高は20%増の10.3億円を記録しました。株価も大きく伸びています。
また、上のぷらっとホームのように売り切り型のビジネスではないため、コロナも影響が少なかったようです。サブスクリプションという点が功を奏したのでしょう。
勝てるテーマ株を見つけるには
IoT、5G、AIなど、話題性の高いテーマは株価が上昇する傾向にありますが、状況次第では悪化する例も見られます。
同じIoTというテーマ株の中でも、ビジネスモデルによって勝てる株・勝てない株に分かれることもあります。ぷらっとホームのように従来型の産業を顧客としている場合、その産業の業績が悪化すればそれに釣られて悪化してしまうかもしれません。
IoTは今後も重要なテーマと考えられ、関連銘柄には引き続き期待が寄せられます。しかし、「IoT」というテーマだけに注目するのではなく、ビジネスモデルや顧客の景気状況なども踏まえたうえで総合的な判断を心がけることで、勝てるIoT株を見出す可能性も高まるのではないでしょうか。