1月の株価はどうなる? 新春の波乱相場で上昇を期待したい銘柄とは
《1月はお正月、2月はバレンタインデー、3月はひな祭り……と、月によって誰もが思い浮かべる共通のイメージがあるように、株式投資にも「◎月といえば▲▲▲株」といったお決まりの銘柄があります。新春の1月に上昇しやすい銘柄とは【今月の株価はどうなる?2025】》
〈参考〉最も株高・株安になりやすいのは何月? 意外と知らない株式相場のパターンとは
1月に上昇しやすい銘柄は?
1月は波乱含みながらも上昇しやすい月です。
「1月効果」で上昇しやすい月ですが、新春相場の幕開けである大発会(年始最初の取引日)は、ここ数年は急落することが多く注意が必要です。また、日米中央銀行の動向次第では波乱の展開となる可能性があり、注視しておきたいところです。
そんな1月相場で株価が上昇しやすいのは、どのような銘柄でしょうか?
過去10年(2015〜2024年)で、1月の勝率が高かった銘柄を調べてみました。6勝4敗というまずまずの成績だった日経平均株価よりも高成績を出した銘柄を見ると、サービス、食料品、通信のほか、特に有名外食チェーンが多く並びます。
もちろん、過去に上昇したからといって今年も上がるとは限りませんが、相場の季節性(アノマリー)からその傾向や特徴を読み解くことで効率的な物色がしやすくなります。
1月のアノマリーで上がる株
1月に強い銘柄として知られているのが、トランザクション<7818>です。
デザイン雑貨などを企画・製造・販売するほか、販促用ノベルティグッズの受注生産も手がける会社で、この10年の1月は9勝1敗。前月比の騰落率は2021年+13.2%、2022年+3.7%、2023年+27.3%、2024年+15.9%で、いずれも高成績です。
この株価上昇のポイントとしては、高い成長性と第1四半期の決算発表があげられます。
トランザクションは「推し活」の代表的な銘柄。主力商品のひとつであるアクスタ(アクリルスタンド=キャラクターやアイドルなどの写真が印刷された透明な板)は、いつでも「推し」と一緒にいたい!というファンの心をくすぐる、定番の推し活グッズです。
推し活ブームの拡大ともに、トランザクションの業績は過去最高益の更新を続けています。近年は国内自社製造にシフトし、特に需要が伸びているエンタメ・推し活向け物販を強化。昨年6月には第2工場を竣工して生産体制を増強しています。
また、子会社のトランスが、元放送作家の鈴木おさむ氏が運営するファンドに出資することも話題になりました。
同社は8月期決算のため、年始の1月に第1四半期の決算発表が行われます。ここ数年は、第1四半期の時点で上期の会社計画に対して高い進捗率を見せ、それが投資家に好感されて株高につながっています。
2025年8月期(今期)の会社予想は、経常利益で5.9%増益の59.5億円。10期連続で過去最高益を更新する見通しです。年間配当も2円増配の41円となっています。
トランザクションを見る場合は、「円高メリット銘柄」でもあるため為替動向への注意も必要です。eコマースや内製化比率の上昇からすると、会社計画よりは上振れする可能性が高いと見られています。
1月は外食関連株が美味しい!
1月の収益率が他の月よりも高くなりやすい現象のことを「1月効果」といいます。
株式市場では、機関投資家や個人投資家が年末年始のリスクオフで落としたポジションを1月に買い戻したり、節税目的で売却しておいた分を買い戻したり(タックス・ロス・セリング効果)、といった影響で株価が上昇しやすくなります。
この「1月効果」は、特に小型株で顕著に見られます。なかでも年末年始に消費が盛り上がる食品メーカーや外食チェーンの小型株が注目されやすい傾向にあります。
新年のポジティブな雰囲気の中、正月休みの家族揃っての外食需要や、冬メニュー&季節限定メニュー効果に加え、外食業界は2月期決算企業が多く、配当や優待狙いの買いも入りやすいことなどが理由としてあげられます。
上の一覧にも登場している以下の銘柄に期待したいところ。
- SRSホールディングス<8163>……「和食さと」など
- ワイズテーブルコーポレーション<2798>……業績好調の高級店「XEX」「SALAVATORE CUOMO」など
- 東和フードサービス<3329>……高級喫茶「椿屋珈琲」など
- 大戸屋ホールディングス<2705>……「大戸屋」は既存店も好調
このほかに2月期決算で注目したいのは、この2銘柄。
- クリレスホールディングス<3387>……「磯丸水産」などを展開。多彩なレストランで使える株主優待でも人気
- コメダホールディングス<3543>…… 冬限定メニューや福袋も毎年大人気
新春は、食事も株価パフォーマンスも美味しいものをいただきたいですね。
1月は上方修正銘柄が狙い目
1月後半からは3月期決算企業の第3四半期(10~12月)の決算発表が始まります。この第3四半期決算を見る上のポイントは「上方修正」です。それまで通期の業績予想に慎重だった企業も、ここまで来れば続々と上方修正に踏み切るからです。
中間決算の時点で、足元の業績が好調で通期計画に対する進捗率が高い銘柄は、第3四半期決算での上方修正を期待できます。そこで、こうした銘柄に先回りして投資することで、利益を得る可能性が高くなります。
具体的な銘柄をあげると、レック<7874>やハピネット<7552>、千代田化工建設<6366>などは、通期計画に対する進捗率が80%を超え、かつ5年平均を上回っています。
さらに、これらの銘柄は前期も第3四半期の前(または発表時)に上方修正を発表していることから、今期も上方修正の可能性が高いとみられています。
1月の日経平均株価はどう動く?
過去のチャートを確認すると、1月の日経平均株価は大発会こそ急落しやすいものの、中旬にかけては持ち直す傾向にあります。
ただし、後半に予定されている日銀の金融政策決定会合および、米FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)でそれぞれ決定される政策の方向性によっては、ボラティリティの高い展開となりやすい傾向があります。
2025年も、23日・24日に日銀会合が、28日・29日にFOMCが開催される予定です。
FOMCは、2025年の利下げペースを年2回に鈍化するとの見込みですが、日銀は12月に利上げを見送ったため、1月には0.25%の追加利上げを実施するとの見方が優勢です。もし実施されれば、株・為替ともに乱高下する可能性があるため注意しましょう。
スタートでのつまずきに要注意
気をつけたいのが、近年の大発会は急落するケースが増えていることです。
2019年は米アップルの下方修正ショック、2023年にはテスラショックがありました。そして2024年の大発会では、元日に起きた能登半島地震や、3日のニューヨーク相場の大幅下落を受け、日経平均株価は一時700円も下げたです。
加えて、1月20日にはトランプ氏のアメリカ大統領就任式が行われます。
第2期トランプ政権は、減税などの財政拡張と関税の引き上げ、移民規制の強化といった目玉政策をすばやく実行すると見られています。初就任した2017年の再来で、高PERとなっているアメリカ株がさらに高みを目指すのか注目されます。
巳年は「成長」と「変化」の年
波乱しやすいものの上昇期待が持てる1月相場の傾向と、1月に株価が上昇しやすい銘柄をご紹介しました。期待と不安が入り混じる一年の幕開け月ですが、どんな展開となっても冷静に対処できるよう準備しておきましょう。
巳年は十二支の中で「成長」「変化」のある年といわれ、株式市場でも転換点や新しいトレンドの形成が起こりやすいことで知られています。前回2013年はアベノミクス元年で日銀の異次元緩和もあり、日経平均株価が57%も上昇する歴史的な年でした。
2025年も新たな物語の始まりとなるでしょうか。まずは1月相場に期待です。