7月の株価はどうなる? 参院選後の閑散とした相場で急騰する銘柄とは
夏の相場は参加者が少なく、閑散としがちです。そんな相場で急騰するのは、一体どんな銘柄でしょうか。参院選など重要イベントが控えている今年は、どんなところに注目すればいいのか。また、夏の相場で密かに繰り広げられている熱きバトルとは?
7月相場は変動幅が小さい
7月の株式市場は、年間を通じてボラティリティ(変動幅)が最も小さい月といわれています。
機関投資家は企業の決算発表を受けて保有銘柄の見直しを行いますが、7月には3月期決算企業の入れ替えも終わり、株価が上がる材料に乏しい状況です。機関投資家が動きづらいことで方向性が出にくいのが、この時期の相場の特徴といえます。
そのため市場の主体は個人投資家となり、個別で材料のある中小型株やテーマ株などに資金が向かう傾向にあります。
2019年7月は参議院議員選挙が予定されていますが、過去には、選挙後に材料出尽くしで売られるケースも多く見られます。さらに、月の後半からは3月決算企業の第1四半期の決算発表がスタート。これらが株価に与える影響にも注意が必要です。
重要イベントでトレンドが変わる?
7月相場の特徴として、材料に乏しく変動幅が小さくなりやすいために、何か重要なイベントなどでトレンドに変化が起こると、一方向に流れやすい傾向があります。
過去を振り返ってみても、2016年には参院選の結果を受けて、日経平均株価は翌日から上昇しました。2017年は狭いレンジ内での動きに終始しましたが、2018年は米中貿易摩擦への懸念が後退したことから上昇トレンドに転じています。
2019年は、参院選のほか利下げ動向が注目される米FOMCなど重要なイベントが控えていることに加えて、米中貿易摩擦の激化あるいは緩和化を受けて、株価のトレンドに変化があるのかが注目されます。
(Chart by TradingView)
参院選後の株価はどうなる?
第25回参議院議員通常選挙は、7月4日公示、21日投開票で実施される予定となっています。
「材料出尽くし」となるのが通例
参院選後の株価は、過去の経験則では下落することが多くなっています。過去5回の参院選ではいずれも自民党が大勝しましたが、前回の2016年を除いて1か月後には日経平均株価はマイナスに推移しています。
「選挙は買い」と言われるように、選挙は投資マネーを引き寄せることが多く、政策への期待からも株価が押し上げられます。しかしその反動で、選挙後は「材料出尽くし」となりやすい傾向があるようです。
(Chart by TradingView)
7月ゆえに「夏枯れ相場」の影響も
7〜9月の株式市場は「夏枯れ相場」とも呼ばれ、日経平均株価は前月より下落することが多くなります。国内外の機関投資家が夏季休暇を取るために市場参加者が極端に少なくなり、相場が閑散とするからです。
衆議院と違って解散のない参議院は、任期満了日の関係から7月選挙が続いており、この「夏枯れ相場」の影響を大きく受けていることも考えられます。
ただし、自公連立政権の圧勝で終わった前回2016年7月の参院選後は、アベノミクス政策が継続されることへの安堵感から、翌日の日経平均株価は上げ幅が一時500円を超える上昇となり、その後も上昇トレンドが続く展開となりました。
今回も、政権側の議席数が維持されるようであれば、安心感から株価にはプラスに働くでしょうが、大きく議席を失うなどの結果となれば、株価へのマイナスインパクトは避けられないでしょう。
第1四半期決算が大注目な理由
7月の後半からは、3月期決算企業の第1四半期(6月期)の決算発表がスタートします。実は、第1四半期決算は、投資家にとって非常に注目度の高い決算です。
3月期決算の場合、決算は6月、9月、12月、3月と年に4回あります。第1四半期決算は、当期に入って最初の3か月の結果が数字となって現れるので、この1年を通してどれくらい利益が出そうかを予測する上で重要な指標となるのです。
上方修正をした銘柄は要チェック
企業は、今期スタートの時点で業績予想を発表していますが、その数字を大幅に上回りそうであれば、上方修正(予想数字を引き上げる)を行います。日本企業は基本的に慎重なため、上方修正は中間決算で行われることが多くなります。
つまり、もしも第1四半期で上方修正が行われれば、それは業績に対する企業の強い自信の表れだと見ることができるのです。実際、この段階での上方修正に踏み切った企業は、その勢いが続く傾向にあり、中間決算で再度上方修正をする確率は5割以上だと言われています。
上方修正まで行わずとも、第1四半期の決算内容が良ければ、次の中間決算で上方修正される可能性が高まります。わずか3か月の数字と侮るなかれ。第1四半期は、今後の株価動向を占う鍵ともなり得るのです。
・タカラトミー<7867>
老舗玩具メーカーのタカラトミー<7867>は、2018年8月7日に第1四半期決算を発表しました(7月ではないのですが、第1四半期決算が株価に影響を与えた事例として紹介します。あしからず)。
経常利益が前年同期比+17.1%となり、上期の経常利益を期初予想の38億円から58億円に52.6%も上方修正しました。これを受けて、800円台だった株価は見直され、上昇に転じます。
さらに、10月26日の中間決算発表では上期の経常利益を71億円に再度上方修正し、第1四半期決算では据え置いた通期予想も95億円から135億円に上方修正しました。その結果、株価は11月29日には1,444円の高値となるなど、大きく上昇しました。
(Chart by TradingView)
個人投資家はどこに向かう?
材料難で機関投資家が動きづらく、膠着感の強い展開になりやすい7月相場。そのため、物色は個人主体の材料株にシフトしやすくなります。テーマ株や中小型株に矛先が向かい、新興市場の中小型株が値上がり率上位を占めるのが、この時期の傾向です。
5GやAIなど今をときめくテーマ株はもちろんのこと、「大企業と業務提携した」「画期的な新商品が発表された」「株価指標が割安となった」といったビックニュースから小さな話題まで、何が材料となって株価が反応するかはわかりません。
ただし、個人主体のため資金の逃げ足も速く、過熱への警戒感が高まる中で値動きの荒い展開になりやすい時期でもあります。個別企業のニュースを探りつつも、株価動向への注意も怠らないようにしましょう。
・データセクション<3905>
2018年7月9日、ソーシャルメディア分析をはじめとするビックデータの収集・調査・分析を行うデータセクション<3905>にKDDI<9433>が出資するという報道が流れ、買いが殺到しました。翌日には正式に資本業務提携が発表され、600円だった株価は1,000円台に向けて大きく上放れしました。
(Chart by TradingView)
天の川と天神様にお祈りを
日本の株式相場には、「七夕天井・天神底」という相場格言があります。「七夕」はもちろん7月7日、「天神」とは大阪の天神祭のことで、例年25日頃にあたります。
この格言どおり7月から夏枯れ相場に入り、続く8月・9月は下落相場となることが多いため、できるものから早めに利益確定することが得策です。
一方で個別銘柄に目を向けると、さまざまな要素を材料として、個人投資家による熱き〝ゲリラ戦〟が展開されています。商いが薄いときこそ、その腕が試されるもの。相場の方向性がなく手を出しにくいと言われる7月ですが、チャンスはいくらでも見つかります。
材料探しの醍醐味を味わいながらも、くれぐれもリスク管理と資金管理は慎重に。