7月の株価はどうなる? 上がる日・下がる日の傾向と「夏枯れ相場」の真実味
銘柄よりも大事な「タイミング」
株を購入するタイミングって悩ましいですよね。いい銘柄であっても、タイミングが悪くて悔しい思いをしたことのある人も多いのではないでしょうか?
タイミングを見極めるひとつの参考になる(かもしれない)のが、一年366日の日経平均株価の「騰落率」です。
戦後に東京証券取引所が再開された1949年5月16日から現在までの、毎日の日経平均株価の日付別の上昇確率を計算したもので、平たく言えば、「この日付の日経平均株価は前日より上がったか下がったか」を1949年から累計したデータです。
それぞれの日付において、株価が前日より上がった場合を「勝ち」、前日より下がった場合を「負け」として、その勝率(上昇する確率)が算出されています。
〈参考記事〉その株、いつ買えばいいの? 一年で最も上がる日・下がる日からわかったこと
長年のデータから、7月のベストな買い時・売り時を探してみましょう!
これが7月の最も上がる日・下がる日だ!
日経平均株価の様々なデータを紹介する「日経平均プロフィル」に掲載されているデータから、7月の31日分の騰落率を2021年7月のカレンダーに当てはめてみましょう(データは2021年6月現在)。
騰落率が最も高いのは1日の67.86%、最も低いのは22日の33.93%でした。
6月からの怒濤の勢いを継承できる?
7月の騰落率を見る際は、前月6月の動向も押さえておくと、より多くのことが見えてきます。6月で最も騰落率が高いのは最終日の30日ですが、上のカレンダーを見ると、その勢いが7月頭になっても引き継がれていることがわかります。
〈参考記事〉6月の株価はどうなる? 上がる日・下がる日の傾向と株主総会の注意点
ただ、それの勢いも長くは続かず、7月4日には50%を割り込みます(騰落率50%未満=下がる可能性のほうが高い)。その後を見ると、さほど「トレンド」と呼べる雰囲気を感じさせない、上がったり下がったりの状況が続き、まるで降ったり晴れたりの夏空のようです。
突然の「ゲリラ豪雨」にご注意を
7月の騰落率の注意点として、騰落率が30%台の「売り優勢な日」が3日もあることが挙げられます(騰落率30%=下がる確率が70%)。ちなみに、すでに調査済みの他の月と比較すると、4月の騰落率30%台は0日、5月は3日、6月は1日でした。
「セルインメイ(5月は売れ)」というアノマリーがある5月と同様、7月も騰落率上では「いきなり下がる」日が点在しているようで、突然のゲリラ豪雨に見舞われないよう気を付けましょう。
他にも、4~6月では最後の5日は騰落率50%を一度も下回らず「全勝」状態が続いていたのですが、7月は29日が46.43%で、この記録が途切れました。それでも、50%を下回るのはこの日だけで残りは50%を上回るなど「最後の5日は堅い」傾向は依然あると言えるのではないでしょうか。
過去3年の7月の日経平均株価の推移
7月の騰落率を確認したところで、過去3年の7月の日経平均株価の推移を振り返ってみましょう。
騰落率では「初旬は6月を継承し順調。それ以外は特にトレンドはなし」という傾向でしたが、2019年はそれを再現していると言えなくも……ない……かな……?という微妙な状況です。
累積されたデータから思い描く株価のイメージと実際の株価の動きは必ずしも一致しない、ということを、7月もまた教えられました。ぜひ注意しましょう。
7月の最も上がる日・最も下がる日は、どんな日?
7月の「最も上がる日(前日に買っておけばウハウハ?)」と「最も下がる日(前日に売っておけばウハウハ?)」について、もう少し詳しく見てみましょう。
【トップ】7月1日(38勝18負0分)
7月で最も上がる確率が高いのは初日1日で、騰落率は67.86%。1949年以降の勝ち負けは38勝18負0分です。さて今年の7月1日(木)はどうなるか、楽しみですね。
【この日、何の日?】
- 函館港開港(1859年)
- 東海道本線開通(1889年、新橋~神戸)
古くから交通機関の開通・開港が多い日のようです。
「1月1日」「4月1日」あたりと比べるとインパクト弱めですが、7月1日も四半期(3か月ごと)の区切りでは期の始まりの日だし、夏休みも近いからね……と令和の感覚では思うのですが、函館港が開通したのはなんと江戸末期。当時の暦(旧暦)では6月2日でした。
その後、昭和に下ると、山形新幹線の開通や名神高速道路の全通も7月1日です。このあたりになると、「夏休み前に開通してレジャー客を見込むぞ!」という気概があったのだろうと推測されます。
【最下位】7月22日(19勝37負0分)
7月で最も上がる確率が低い(=下がる確率が高い)のは、22日の騰落率33.93%です。戦後に取引のあった計56日分の勝敗は19勝37負0分。つまりは66.07%の確率で下がるということになります。あやうく、3回に2回は下がる日(66.66666%)になるところでした。
ちなみに、2021年の7月22日(木)は、東京オリンピック開会式の前日ということで、通常は月曜日の「海の日」がここに移動して祝日となっているため、株式市場もお休み。ムダに負けずに済みそうです。晴れやかな気持ちで、翌日の開会式を見守りましょう。
【この日、何の日?】
- ナッツの日……日本ナッツ協会が1996年(平成8年)に制定。「ナ(7)ッツ(22)」の語呂合わせ。ビタミン、ミネラルを豊富に含むナッツは脳の集中を高める効果もあるのだそう。おいしいナッツをポリポリ食べつつ、7月相場に挑みましょう。
7月は「夏枯れ相場」と言われるが…
7月の株式市場の「全体的な傾向」も見ておきましょう。
7〜9月の株式市場は「夏枯れ相場」とも呼ばれます。これは、国内外の機関投資家が長い夏季休暇を取るために、市場参加者が極端に少なくなることが影響しているようです。欧米の人たちの「バカンス」は日本の「夏休み」よりかなり長いですからね。
〈参考記事〉7月・8月の相場はどうなる? コロナ禍の夏相場で起こる異変とは
ただ、2021年は新型コロナウイルスやオリンピック・パラリンピックの影響で、こうした傾向にも変化があるかもしれません。
2021年の夏は枯れる? それとも?
例年の傾向で言えば「夏枯れ」になる7月相場。騰落率の状況を見ても、前月の6月のような勢いがあまり感じられません。
しかし、要因のひとつとして考えられている「バカンスや夏休みによる市場参加者不足」は、新型コロナウイルスがいまだ人々の行動を制限する2021年においては、そんなこともないのかも?と思いつつも、同時に、いやいや今年はもう平常運転でしょ、という気もしてきます。
いずれにしても、実際の株式相場がどんな動きを見せるかは誰にもわかりませんので、しがない個人投資家としては、どうなってもいいように準備をしておくのみです。
それに、今年はどうやら東京オリンピック・パラリンピックも控えているらしいので、過去の傾向は貴重なデータとして踏まえつつも、それに頼りすぎず、目の前の相場に集中していきたいですね。