二極化する相場で上がる株・下がり続ける株 気になるのはやっぱり…
コロナショックによる下落分を、ほぼ取り戻した株式市場。そんな6月相場を、株の学校ドットコム講師の窪田剛氏が振り返ります。プロトレーダーも気になるのはやっぱりあの銘柄──
横ばいの6月相場で上がった株・下がった株
2020年3月、新型コロナウイルス感染症の影響で株価が大きく下落しましたが、6月までに株価は大幅に戻りました。株価だけを見れば、コロナの影響は過去のものになったと言ってもいい状況になっています。
日経平均全体で見れば、4月と5月に大きく上昇し、6月はほぼ横ばいでした。
そんななか、コロナ後の世界で成長を期待されるITやDX(デジタルを利用した改革)関連の銘柄は6月も大きく買われました。そこで、全体としてみれば横ばいだった6月に大きく動いた銘柄をランキングを元に振り返ってみたいと思います。
【2020年6月 売買代金ランキングTOP20】
順位 | 証券コード | 銘柄 | 売買代金 |
1 | 9984 | ソフトバンクグループ | 3.1兆円 |
2 | 9983 | ファーストリテイリング | 1.5兆円 |
3 | 7974 | 任天堂 | 1.2兆円 |
4 | 6758 | ソニー | 1.0兆円 |
5 | 7203 | トヨタ自動車 | 8615億円 |
6 | 8035 | 東京エレクトロン | 8098億円 |
7 | 4563 | アンジェス | 8002億円 |
8 | 8306 | 三菱UFJフィナンシャルグループ | 7021億円 |
9 | 6920 | レーザーテック | 5848億円 |
10 | 6861 | キーエンス | 5547億円 |
11 | 8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 5192億円 |
12 | 4502 | 武田薬品工業 | 4844億円 |
13 | 6098 | リクルートホールディングス | 4659億円 |
14 | 6954 | ファナック | 4219億円 |
15 | 6857 | アドバンテスト | 3840億円 |
16 | 2191 | テラ | 3780億円 |
17 | 9433 | KDDI | 3677億円 |
18 | 4519 | 中外製薬 | 3532億円 |
19 | 9201 | 日本航空 | 3433億円 |
20 | 6981 | 村田製作所 | 3325億円 |
【2020年6月 値上がり率TOP20】
順位 | 証券コード | 銘柄 | 値上がり率 |
1 | 1757 | クレアホールディングス | +446% |
2 | 3189 | ANAP | +369% |
3 | 3686 | ディー・エル・イー | +212% |
4 | 9973 | 小僧寿し | +165% |
5 | 6026 | GMO TECH | +161% |
6 | 6897 | ツインバード工業 | +153% |
7 | 3849 | 日本テクノ・ラボ | +150% |
8 | 2586 | フルッタフルッタ | +130% |
9 | 3970 | イノベーション | +128% |
10 | 6937 | 古河電池 | +119% |
11 | 3998 | すららネット | +116% |
12 | 7095 | Macbee Planet | +112% |
13 | 3491 | GA technologies | +106% |
14 | 7610 | テイツー | +103% |
15 | 4588 | オンコリスバイオファーマ | +92% |
16 | 4571 | ナノキャリア | +90% |
17 | 6112 | 小島鐵工所 | +82% |
18 | 4784 | GMOアドパートナーズ | +80% |
19 | 6573 | アジャイルメディア・ネットワーク | +77% |
20 | 7068 | フィードフォース | +77% |
【2020年6月 値下がり率TOP20】
順位 | 証券コード | 銘柄 | 値上がり率 |
1 | 7687 | ミクリード | −35% |
2 | 6628 | オンキヨー | −33% |
3 | 7003 | 三井E&Sホールディングス | −31% |
4 | 7074 | トゥエンティーフォーセブン | −31% |
5 | 3802 | エコミック | −31% |
6 | 3929 | ソーシャルワイヤー | −30% |
7 | 9308 | 乾汽船 | −30% |
8 | 7048 | ベルトラ | −29% |
9 | 4696 | ワタベウェディング | −29% |
10 | 9318 | アジア開発キャピタル | −29% |
11 | 7238 | 曙ブレーキ工業 | −28% |
12 | 3960 | バリューデザイン | −28% |
13 | 3927 | フーバーブレイン | −28% |
14 | 6946 | 日本アビオニクス | −28% |
15 | 5704 | JMC | −27% |
16 | 3624 | アクセルマーク | −27% |
17 | 8746 | 第一商品 | −27% |
18 | 7086 | きずなホールディングス | −27% |
19 | 7093 | アディッシュ | −26% |
20 | 4443 | Sansan | −26% |
気になる銘柄をピックアップ
この中から、気になる銘柄をピックアップしてみます。
・売買代金ランキング
- 1位:ソフトバンクグループ<9984>
新型コロナウイルスの影響で投資先が破綻したり価値が毀損したりして大きな減損を出しましたが、その後の自社株買いや資産売却など矢継ぎ早に対策を繰り出し、その結果、バブル後の高値まで上昇するほど活発に売買されました。孫さんすごい!
- 7位:アンジェス<4563>
- 16位:テラ<2191>
ともに新型コロナウイルスに対するワクチン開発で期待されて注目を浴びています。バイオ関連銘柄は乱高下が激しいため手掛けるには慎重さも必要ですが、世の中の注目を集めたということでピックアップしました。
・値上がり率
- 5位:GMO TECH<6026>
- 18位:GMOアドパートナーズ<4784>
1月末に早々と出社を禁止にし、コロナ対応に先進的なイメージのあるGMOグループ。GMOと名の付く銘柄は軒並み大幅高する日もあるなど、株式市場でも目立っていました。グループとしては証券会社やDX(脱ハンコ)など、もともとIT関連で買われやすかったところにコロナ関連として注目の多かった企業もあり大きく上昇しました。
・値下がり率
- 4位:トゥエンティーフォーセブン<7074>
- 8位:ベルトラ<7048>
- 10位:ワタベウエディング<4696>
上から、ジム(運動)の運営、旅行、結婚式場運営と、コロナによって壊滅もしくは消滅してしまった業種に属する企業が、6月になっても下落を続けました。
来たるチャンスに備えよう
コロナ後にどんどん上昇する銘柄も多く見られます。多くはITやDXなどコロナを追い風にして業績が伸びている企業が中心です。アメリカのナスダックも史上最高値を更新していますし、日経平均も大きく上昇しました。
ただ、大きく上昇する銘柄がある一方、下げ止まらない銘柄もあり、マーケットの二極化が顕著に現れたのが2020年6月の特徴でした。
日経平均のチャートを見ても三角持ち合いが詰まってきて、今後は上下どちらかに大きく動く可能性もあります。チャンスにしっかりと備えて、トレードの勉強と準備をしておきましょう。
(株の学校ドットコム講師 窪田剛)