いくらから始められる? 株初心者が知っておくべき投資資金
株っていくらから始められる?
手持ち資金は少ないけど、株式投資を始めることはできるのだろうか——最初は疑問や不安が絶えません。特に株式投資は「お金持ちが大金を投じるマネーゲーム」で庶民にはまったく関係のない世界だと思っている方もまだまだ多いようです。
しかし、株式投資は近年とても身近になりました。低金利が続き、昔のように預貯金だけで資産形成は難しくなり、より高い利回りが期待できる株式投資を将来の資産作りに活用する方も増えてきました。
(今では信じられませんが、定期預金の金利が6%を超えていた時代もあったのです。そんな時代であれば、しっかり定期預金に預けておくという資産運用の選択肢がとれますね)
日本でも少額非課税制度(NISA)が始まり、国自体が株式投資を促しています。つまり国家として、「日本の皆さんは働いて稼ぐだけでなく、ご自分の資産をしっかりと運用してほしい(なぜなら昔のように定期預金の金利が6%を超えることは難しいから)」というメッセージとして受けることもできます。
そこで今回は、具体的に「株式投資は一体いくらから始めることができるのか?」という最もシンプルな疑問にお答えします。
【ポイント1】株の売買には「売買単位」がある
株には「単元」という最低購入単位が決められています。
1単元が1,000株か100株かは銘柄によって違いますので、気になる銘柄を見つけたら必ず単位数を調べて、最低購入金額を確認しましょう。つまり、バラ売りはしてくれないということですね。
まずは「株価」と「単元株数」について確認しましょう。
・株価3,000円の場合の最低購入金額
- 100株単位 30万円
- 1,000株単位 300万円
このように「株価」×「単元株数」=「購入金額」となります。
※2018年10月までに、すべての銘柄が100株単位に統一されます(参考記事:売買単位が100株に統一! 株式併合されると株価への影響はどうなの?
具体的な銘柄で見てみましょう。
・「みずほフィナンシャルグループ」の場合
- 株価:240円(2015年9月時点)
- 単元株数数:100株
- 最小購入金額:240円×100株=24,000円
なんと、日本が誇る世界のみずほ銀行(のホールディングス)の株が24,000円で買えるのです。あなたも明日から、みずほの株主になれます。どうですか? 一気に身近に感じていただけたのではないでしょうか。
もう1社、見てみましょう。
・「ユニクロ(ファーストリテイリング)」の場合
フリースで有名になり、今では世界各国に店舗を持つ日本代表のアパレルメーカーであるユニクロです。会社名(銘柄名)は「ファーストリテイリング」。
- 株価:47,000円(2015年9月時点)
- 単元株数:100株
- 最小購入金額:47,000円×100株=4,700,000円
店舗で購入する商品はお手頃価格ですが、株式投資となるとユニクロは一気にハードルが上がってしまうことが、この「単元株数」によってわかります。
NISA制度には投資元本が100万円(2015年時点)という上限があることもあり、多くの企業が1,000株単位から100株単位へ売買単位の引き下げを行いました。売買単位が下がると最低購入金額が少なくなりますので、個人投資家にとって買いやすい銘柄がとても増えました。
※2016年からはNISA制度を利用した投資の元本が年間120万円へと増額になります。
【ポイント2】1株から投資可能! 少額株式投資の救世主
単元株数が理解できたところで、最低購入価格はわかりましたね。それでも「ユニクロ」が買いたい! 私の愛車である「トヨタ自動車」を最初の投資先にすると心に決めている! という方もいらっしゃるかと思います。
そこで登場するのが「単元未満株投資」です。通称「ミニ株」と言われており、単元株の10分の1で売買できることが特徴です。
さらに最近ではネット証券会社から1株から購入可能な商品も登場しています。呼び方は証券会社によって異なり、「プチ株(カブドットコム証券)」「ワン株(マネックス証券)」「S株(SBI証券)」などがあります。
単元株数が多く、株価が高い企業でも投資することはできるのです。具体的な銘柄で確認してみましょう。
・「トヨタ自動車」の株を買う場合
- 株価:7,500円(2015年9時点)
- 単元株数:100株
- 最低購入金額:7,500円×100株=750,000円
【ミニ株なら、10分の1の単位から売買できる】
→ 最低購入金額:7,500円×10株=75,000円
【プチ株等なら、1株単位から売買できる】
→ 最低購入金額:7,500円×1株=7,500円
単元株数で購入すると75万円からのスタートとなりますが、1株単位であれば7,500円から株式投資を始められます。
・注意点すべきポイント
「単元未満株(ミニ株やプチ株等)」には単元株で売買する場合と異なる点がいくつかあります。証券会社によって異なる部分もありますので、最終的にはご自身の証券会社にご確認ください。
- すべての銘柄が対象ではありません(証券会社によって異なります)
- 単元が1株の銘柄は対象になりません
- 1単元に満たない場合、議決権や株主優待の権利はありません
- 配当金は持分に応じて配分されます
- 売買手数料は若干高くなります(証券会社によって異なります)
【ポイント3】毎月コツコツ積み立てたい方に〜株式累積投資〜
少額でスタートできることがわかったところで、それをしっかり積立てていきたいという方もいらっしゃると思います。
「株式累積投資(累投=るいとう)」とは、毎月1万円など一定の金額で株式を買い続けていく投資法です。株価の動きやタイミングに関係なく株式を定期的に購入していくので、株価が高いときには少ない株数、低いときには多くの株数を買うことになり、長期にわたって買い続けることで、1株あたりの買付け単価が平均化されます。
このように時間を分散させる投資法を「ドルコスト平均法」といいます。
具体的に比較してみましょう。100万円の投資を毎月10万円ずつ分散して購入したAさんと、1回で購入したBさんの例です。
株価は上下しながら推移します。Bさんのように1度に購入するよりも分散して購入したほうが平均取得単価を下げられる場合がある、ということです。もちろんBさんが購入した際の株価が底値であればいいのですが、投資をする上で底値を必ず買える保証はどこにもありません。
そのため、長期的に株式投資を考える場合は、時間を分散して購入する「ドルコスト平均法」が効果的であるとされています。
・「株式累積投資」のデメリット
「株式累積投資」は非常に投資家にとってメリットがある投資商品ですが、デメリットもあります。それは、「大手総合証券のみが取り扱う商品である」ということです。
野村證券・大和証券・SMBC日興証券などが販売していますが、扱う側にも手間がかかるということもあり、手数料が高い商品となってしまっています。
この「株式累積投資」と同じように毎月同額を積み立て投資する方法は、カブドットコム証券の「プチ株積立サービス」によって実現されています。少額で積み立てたい、そして売買手数料は低く抑えたい、という方には、こういった商品を選択するのもひとつの選択肢でしょう。
*注意点*
・すべての銘柄で対応しているわけではありません。確認が必要です。
・単元株数に達した場合には、議決権や株主優待の権利を享受できます。
【ポイント4】売買には手数料が必要
「株式累積投資」でもポイントとなりましたが、株式投資をする際に必ずかかるのが「手数料」です。
「トヨタ自動車100株」というのは、どの証券会社で売買しても同じ商品です。そのため、個人投資家はその同じ商品を売買する上で「付加価値がどれくらいあるのか?」という観点で証券会社を選びます。
この15年ほどで急成長しているネット証券会社は、この手数料が圧倒的に安く設定されています。その理由は簡単です。店舗を持たず、インターネット上ですべての売買を行い、個別の相談などを受けないことでコストを下げているからです。証券業界だけでなく、保険業界でもこの流れはありますね(店舗・営業がいない分、月々の保険料を下げている)。
それと比べて総合証券は店舗を持ち、対面式で個人投資家の皆さんと直接話し合って(担当営業が付き)売買を行います。そのため手数料には色々なコストが含まれる形になります。これを踏まえて、株式投資の売買手数料を比較してみましょう。
・100万円分の株式取引を実施した場合
- 総合証券の店頭対面手数料 ⇒ 約定代金の1.242%=12,420円
- 大手ネット証券⇒525円
このように、単純に比較してしまうと20倍以上の差があります。どちらが良いということではなく、自分に合った証券会社を選ぶことが重要です。
人生の新たな選択肢に
株式投資は、「単元株数」と「株価」によって購入金額が決まります。そのため数万円からでも投資は始められます。また、「ミニ株やプチ株等」「るいとう」を活用すれば数千円からでも始めることができます。
数百万円や数千万円貯金がなければ始められないようなイメージがまだまだ根強い株式投資ですが、このように誰でも資産運用の選択肢のひとつとして検討できる手軽な金融商品なのです。
頭では「定期預金だけでは資産運用は利益は出ないのではないか?」と心配しつつ、行動に移せない方が日本には大勢いらっしゃいます。しっかり投資のことを学びながら、少額から実践していくことによって見えてくる世界や理解度が飛躍的に向上するでしょう。
株式投資が身近な選択肢になるための一助となれば幸いです。