為替が動けば株価はどう動く? 円高と日経平均株価の意外な関係とは

山本 将弘 2019/09/10 8:00
様々な経済ニュースが飛び交う中で、常に投資家たちが注目している「為替」。株価にも大きな影響を与えることから、その動きを気にしている人も多いはず。為替の基本と、株価との関係について解説します。チャートから見えてくる意外な事実とは?

為替の基礎知識

株価はさまざまな要因によってが変動しますが、そのひとつに「為替」があります。

為替とは他国通貨の交換比率

為替とは、アメリカドルやユーロなどといった他国通貨と日本円を交換する際の比率(レート)を言います。例えば「1ドル=100円」という場合、1ドルと100円が等価交換されるということです。

そして、この為替は日々の取引によって比率が変化します。1ドル=100円だったのが、90円になったり110円になったりするわけです。

円高・円安は通貨の価値を表す

仮に1万円をアメリカドルと交換するとして、その時の為替が「1ドル=90円」だとすると、「1ドル=100円」の時と比較して、多くのドルと交換できることになります。つまり「円の価値が高くなった」ということ。このような状態が「円高」です。

反対に、「1ドル=110円」の場合は、「1ドル=100円」の時と比較して、交換できるドルは少なくなります。これは「円の価値が低くなった」状態。これを「円安」といいます。

1万円をアメリカドルと交換する
・1ドル=100円の場合 → 100.00ドルと交換
・1ドル=90円の場合   → 111.12ドルと交換(100円の時より円高
・1ドル=110円の場合 → 90.91ドルと交換(100円の時より円安

円安・円高のメリットとデメリット

為替相場は常に変動しており、円安になったり、円高になったりします。そして、円安・円高それぞれにメリットとデメリットがあります。

・円安のメリットとデメリット

まず円安は、自社の製品を輸出することで利益を得ている「輸出企業」にとってはメリットとなります。自動車を輸出して販売するケースで考えてみましょう。日本の自動車メーカーがアメリカで1万ドルの車を販売するとします。

アメリカに1万ドルの自動車を輸出
・1ドル=100円の場合 → 売上は100万円
・1ドル=90円の場合   → 売上は90万円
・1ドル=110円の場合 → 売上は110万円

このように、円安になると日本円での売上が増加します。これが、輸出企業にとって円安がメリットである理由です。売上が増加することは業績にプラスとなるため、株価も上昇しやすくなります。反対に円高になると、同じ台数を販売しても売上は減少。業績にもマイナスとなり、株価も下がりやすくなるのです。

・円高のメリットとデメリット

一方、円高は、海外から製品を輸入して販売している「輸入企業」にとってメリットとなります。例えば、食品メーカーがアメリカから1万ドルの牛肉を輸入するとします。

アメリカから1万ドルの牛肉を輸入
・1ドル=100円の場合 → 購入費は100万円
・1ドル=90円の場合   → 購入費は90万円
・1ドル=110円の場合 → 購入費は110万円

円高の場合は、日本に輸入するためのコストが減少します。これが、輸入企業にとって円高がメリットである理由です。コスト削減も業績にとってはプラスに働くため、株価も上がりやすくなり、反対に円安であれば、同じ商品を輸入してもコストが増加することになるため、デメリットになるというわけです。

円高になると日経平均株価が下がる理由

これまで説明してきたように、円安・円高は企業のスタイルによって、メリットにもデメリットにもなりますが、一般的には自国の通貨の価値が高くなるほど、つまり円高になるほど、株価は上昇するものと考えられています。

しかし、こと日本では、円高になると市場全体が値下がりし、日経平均株価も下落する傾向にあります。どうしてそのようなことが起こるのでしょうか。その理由について考えてみたいと思います。

・理由1:構成銘柄に輸出企業が多い

日本の代表的な株価指数が「日経平均株価」です。これは、日本を代表する225の銘柄をもとに算出され、日本経済に元気があるかどうかを計る「バロメーター」的な指数といえます。

225の構成銘柄については、毎年1回、入れ替えが行われているのですが、輸出に関わる企業の割合が多くなっているのが特長です。これは忖度でもなんでもなく、日本経済を支えているのは、製造業による輸出産業がメインだからです。

つまり、構成銘柄に占める輸出企業の割合が大きい日経平均株価は、必然的に円高によるマイナスの影響を受けやすくなるということです。

・理由2:外国人投資家が日本株を売る

もう一つの理由が、外国人投資家による日本株の売却です。現在、日本の株式市場に参加している投資家の半分以上が、海外の年金基金やヘッジファンドなどの外国人投資家です。

外国人投資家のほとんどが、ドル建てによる取引を行っています。わかりやすく言うと、自分の証券口座にドルを入れて取引をしているということです。つまり、外国人投資家は日本の株価をドルに換算してチェックしているのです。

どういうことかと言えば、ある銘柄の株価が10,000円だとして、1ドル=100円の時、その株価をドルに換算すると100ドルです。しかし為替が変動して1ドル=90円になると、株価10,000円のままだったとしても、ドル建てでは111.11ドルに値上がりします。

つまりドル建てで見た場合、日本の株式市場が動いていなくも「円高になるだけで株価は上がる」のです。これを「為替差益」と言い、円高になると、外国人投資家は利益を確定させるために日本株を売却しようとします。株式が売却されると株価は下がり、連動して日経平均株価も下がるというわけです。

とはいえ必ずしも連動するわけではない

このように、為替は株価の動向に様々な影響を与えると言われています。そのため、経済ニュースでは必ず株価と為替の情報をセットで伝えますし、為替が大きく動いた際には株価への影響が懸念されます。

では、実際のところはどうなのか。最近5年の株価と為替の推移を見てみましょう。

次に、もう少し長い期間の推移を見てみます。

(Chart by TradingView

こうして実際のチャートで確認してみると、確かに株価と為替は連動しやすいものの、「必ず連動する」とは決して言えないことがよくわかります。

当然ですが、為替以外にも株価を動かす要因はたくさんあります。個別銘柄の株価であれば尚更です。為替と株価の基本的な関連性はしっかりと理解したうえで、日々の動きだけに一喜一憂しないことを心に留めておきたいですね。

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2019/09/10
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[執筆者]山本 将弘
山本 将弘
[やまもと・まさひろ]フリーランスライター。マーケティング、金融、就職・転職、スポーツ、インテリア、ペットなど、幅広いジャンルの記事を執筆。それぞれテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。株に関しては、将来の備えとリスクヘッジのために、セブンポケットを目指して奮闘中。

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