5月の株価はどうなる? 上がる日・下がる日の傾向と決算発表の注意点
株は「いつ」買えばいいのか?
株を購入するタイミングって、なかなか難しいですよね。「底で買って、天井で売る!」ができれば誰も苦労しません。発表された業績内容は悪いのに株価は高騰……なんてことも結構あったりします。
タイミングを見極めるひとつつの参考になる(かもしれない)のが、一年366日の日経平均株価の「騰落率」です。
これは、終戦後に東京証券取引所が再開された1949年5月16日から現在までの、毎日の日経平均株価の日付別の上昇確率を計算したもの。平たく言えば、「この日付の日経平均株価は前日より上がったか下がったか」を1949年から累計したデータです。
それぞれの日付において、株価が前日より上がった場合を「勝ち」、前日より下がった場合を「負け」として、その勝率(上昇する確率)が算出されています。
「セル・イン・メイ(5月は売れ)」などともいわれる5月ですが、積みあげられた長年のデータから、ベストな買い時・売り時を探してみましょう。
これが5月の最も上がる日・下がる日だ!
日経平均株価の様々なデータを紹介する「日経平均プロフィル」に掲載されているデータから、5月の31日分の騰落率を2021年5月のカレンダーに当てはめてみます(2021年4月現在)。
前月4月の騰落率では、30日中20日が50%台というどっちつかずの「花曇り」な傾向がありましたが、5月の騰落率はアップダウンが激しく、なかなか見ごたえがあります。
〈参考記事〉4月の株価はどうなる? 上がる日・下がる日から見えてくる傾向と注意点
まず5月1日は騰落率73.21%、2日は69.64%と、なかなか「勝ちやすい」状況が続きます。しかし、ゴールデンウイークの後半が終わると、今度は騰落率が50%を切る日(つまり「負けやすい」状況)が続きます。騰落率が再び60%を超えるのは5月26日から。
なお、5月6日から5月25日までの20日間の騰落率を見ると、50%台が10日間で、40%台が7日間、さらには30%台というかなりの「売り優勢」な日も3日間あります。
投資におけるジンクスのようなものを「アノマリー」と言い、有名なもののひとつに「セル・イン・メイ(5月は売れ)」がありますが、こうしてみると、確かに5月の連休後から26日くらいまでは、全体的な基調としては「セル・イン・メイ」になっていると言ってもいいのかもしれません。
なお、騰落率が全く記録されていない「5月3日」は憲法記念日、「5月5日」はこどもの日ということで、騰落率の記録が始まった1949年時点ですでに祝日だったため、データがありません。
・過去3年の5月の日経平均株価の推移
さらに、過去3年の5月の日経平均株価の推移を振り返ってみましょう。
累積された騰落率を見ると「初旬は上がり、下旬までは下がり基調、下旬からまた上がる」という傾向でしたが、昨年2020年の日経平均株価は比較的この傾向に近い形をしています。しかし2019年、2018年はまったく違う形ですね。
最も上がる日・最も下がる日は、どんな日?
5月の「最も上がる日(前日に買っておけばウハウハ?)」と「最も下がる日(前日に売っておけばウハウハ?)」について、もう少し詳しく見てみましょう。
5月の上がる確率トップの日は「5月4日」で、その上昇率は76.67%とかなりアツい日……なのですが、現在は「みどりの日」の祝日になってしまったので、次点である「5月1日」を取り上げます。残念ながら、2021年の5月1日は土曜日で株式市場が開いていないんですけどね。
ちなみに、2021年に平日になる日で騰落率がトップなのは月末31日の68.42%(39勝18負0分)です。
【トップ】5月1日(41勝15負0分)
上がる確率は73.21%、勝ち負けは41勝15負0分となかなかアツい一日……ですが、先ほどもお伝えした通り、2021年では土曜日。あんまり追求しても仕方ないのですが、一応こんな日だそうです。
【この日、何の日?】
- メーデー……1886年、アメリカで労働者が8時間労働制を求めてストライキやデモを行ったことを記念して制定。
- 語彙の日……「実用日本語語彙力検定」を実施している旺文社生涯学習検定センターが制定。5(ご)1(い)から。
【最下位】5月14日(24勝31負0分)
反対に、最も下がりやすいのは5月14日(21勝35負0分)。上がる確率が37.50%ですので、つまりは62.50%の確率で下がる、ということになります。3回売れば2回下がる(66.66%以上)とはいきませんが、それなりに「セル・イン・メイ」としての仕事をしている一日と言えるのではないでしょうか。
【この日、何の日?】
- 種痘記念日……1796年のこの日、イギリスの外科医ジェンナーが初めて種痘の接種に成功した。
- 温度計の日……水銀温度計を発明したドイツの物理学者・ファーレンハイトが1686年のこの日に生誕。
5月の一大トピックと言えば、決算発表!
株式市場における5月のトピック的なものに目を向けてみると、日本の上場企業の大多数が3月期決算ですので、5月前半まではその決算発表が続きます。
ただ、決算発表の難しいところは、発表された業績が好調であっても必ずしも株価は上がらないし、反対に、業績が悪くて赤字決算であった場合でも株価が急騰することもある、という点です。
みんなが注目する決算発表は、実は、株価の動きが読めない難しいタイミングでもあるので、安易な決めつけで売買しないほうがいいのかもしれません。
〈参考記事〉決算発表で上がる株・下がる株 プロはどんな準備をしているのか
青葉繁れる5月、投資も「繁り」たい
「決算発表」という大イベントがある5月。騰落率を見ても、前月の4月よりも活発な動きを見せていることがわかりますが、それゆえに手痛い思いもしかねない、注意が必要な月とも言えます。「上がりやすい日」「下がりやすい日」の傾向を知っておくことで、リスク軽減に一役買うかもしれません。
昨年同様、東京などでは緊急事態宣言下での5月入りとなりますが、家から外の新緑を眺めつつ、たくさんの芽を摘める月にしたいですね。