全てが本命のポートフォリオ理論 分散投資で勝てない人の勘違いとは?

山本 勧 2019/09/20 8:00
株式投資をしている人のほとんどが、ポートフォリオを組んで分散投資をしているはずです。でも、とりあえず「分散」させればいいと思っていませんか? そもそも何を分散させるべきなのでしょうか? 浮気性との違いから見えてくる〝正しい〟ポートフォリオ理論とは──

ポートフォリオ理論を考え直す

株の世界には、「卵は一つのカゴに盛ってはいけない」など分散投資の重要性を説く格言が数多くあります。複数のカゴに分けて盛ることで、たとえ一つのカゴが落ちても、他のカゴに盛った卵は割れずに済む、つまり、リスクを分散できるということです。

そして、分散投資がいかに重要かを経済学的に説明したのが「ポートフォリオ理論」です。ポートフォリオ(portfolio)とは、もともとは「紙ばさみ」「書類入れ」といった意味で、そこから保有する財産目録、さらに資産構成そのものを指すようになりました。

予測不能なマーケットで勝つ方法

ポートフォリオ理論とは、銘柄を厳選せず、市場全体を買うようにして様々な金融商品を組み合わせる投資戦略のことで、株式投資の代表的な手法のひとつです

このポートフォリオ理論で重要視されているのが「効率的市場仮説」です。ここでいう「効率的」とは、市場(マーケット)は常に効率的に動いており、現時点での株価は、利用可能な全ての情報が織り込まれた適正価格になっている、ということを意味します。

常に効率的に動く市場において、将来の価格変動を予測することは不可能であり、特定の手法で儲けることも不可能、どれだけ専門家が予測しても市場平均に勝つことはできない。そのため、一つの銘柄に集中するような投資では、短期的には勝てても長期的には負ける可能性が高い──。

そう説く効率的市場仮説をもとに誕生したのが、株価指数連動型インデックスファンド(日経平均株価やTOPIXなど特定の株式指数=インデックスと連動する運用を目指す投資信託のこと)です。

ポートフォリオ理論と浮気性

たしかに、たった一つの銘柄に惚れ込んで手持ちの資金を全て注ぎ込んでしまう行為は、もはや投資ではなくギャンブルといったほうがいいでしょう。

しかし、分散投資が重要だからと言って、あれもこれもと手を広げてしまうのもまた、成功から遠ざかる要因になります。特に、計画性なく気になった銘柄を片っ端から手がけることは、ただの「浮気性」といわれても仕方ありません。

もちろん、資産が無尽蔵にあるのであれば、どんどん手を広げるのもいいでしょうが、多くの場合、資産というのは限られています。しっかりとしたルールを持ち、資金管理に努めなければ、あっという間に資金は底を突いてしまいます。

ポートフォリオ理論は全てが本命!

勘違いしてはいけないのは、分散投資とは、リスクを分散することが目的ですが、当然リターンも期待します。どんな銘柄を選ぶにしても、財務状況を確認したり、PERや成長性を見たりしながら、自分が目標とするリターンを期待できるかどうか吟味することが大切です。

通常、浮気性の人には、本命とは別に浮気相手がいます。つまり、本命以外はあくまでも遊びです。しかし、ポートフォリオ理論における分散投資では、ひとつひとつが全て本命なのです

そもそも分散投資をするのは、どんなに慎重に選んでも株に「絶対」はないからであって、軽い気持ちであれこれ手を出すのは分散投資とはいえません。全てを本命として真剣に選ぶからこそ、本当の期待ができるのです。

利益を最大に、リスクを最小限にする秘訣

ポートフォリオ理論を実践する上で大切なことは、利益は最大に、しかしリスクは最小限にすることです。利益ばかりを追い求めようとすれば、それに応じてリスクも高くなってしまいます(それこそ浮気性と同じように……)。

資産をどのように分散するかを考える際には、利益とリスクの両方をしっかりと考える必要があります。では、どのようにすれば利益を最大に、そしてリスクを最小限にすることが可能でしょうか? ここで考えたいのが「相関効果」です。

たとえばA、Bという2つの銘柄を保有しているとして、Aが値下がりしたときにBも同じように値下がりするのでは、分散投資の効果は薄れてしまいます。それよりも、Aが値下がりしたときには反対に値上がりするような銘柄Cを選ぶほうが効果的です。

どんなに数多くの銘柄を保有していても、全てが同じような値動きをするのでは、そもそもリスク分散になっていません。それぞれが独立した値動きをする銘柄をうまく組み合わせることで、リスクを分散しながら、最大限のリターンを目指す投資戦略こそ、ポートフォリオ理論です。

完全に反対の値動きをする銘柄は少ないでしょうが、それでもできる限り近づくことは可能です。たとえば日経平均株価と連動するような動きをする銘柄と、そうでない銘柄があれば、リスクを分散すると同時に、得られる利益をしっかりと確保することができるでしょう。

アノ関係を見直すとき

ポートフォリオ理論についてよくある勘違いが、なんでもかんでも、とにかく資産を分散すればいいと思ってしまうことです。分散投資はたしかに素晴らしい投資手法ですが、誤ったやり方では、リスク分散にならないどころか逆効果になってしまいかねません。

浮気性はなかなか治らないといいますが、幸い株の場合、間違いに気づいたらすぐに軌道修正が可能です。別れ話でモメることもありません。

現在ポートフォリオを組んでいる方は、ぜひ一度、それぞれの銘柄の値動きがどういう関係になっているかを確認するといいでしょう。そして、全てが本命なのだという覚悟で、望むリターンや投資の目的を見つめ直してみるのもいいかもしれません。

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2019/09/20
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[執筆者]山本 勧
山本 勧
[やまもと・すすむ]不動産投資会社、会計事務所を経て、フリーライターとして独立。その傍らファイナンシャル・プランナーとしても活躍。単にプランを作るだけでなく、具体的にどう生活すればいいかといったアドバイスも積極的に行っている。個人投資家としては、生活を豊かにするため投資を実践。「お金がお金を生むシステム」をいかに早く作るかが生活を楽にする一番の近道と考え、余剰資金は基本的に投資に回している。ファイナンシャル・プランナー2級、AFP、宅地建物取引主任士

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