変異株で高まる不安 それでもプロがずっと強気で見ている銘柄とは

窪田 剛
2021年12月1日 17時30分

11月相場を振り返って

選挙も終わり、日経平均株価は3万円を超えられないまでも高い位置で安定していましたが、最終週に新型コロナウイルスの変異種が見つかり、大きく売り込まれてしまいました。

きっかけは何であれ、全体が売られるときに買い向かうのは危険です。しっかりと方向を見極めて「上がり始めたら買う」を心掛けるようにしましょう。

10月終値 11月終値 騰落率
日経平均株価 28,892円 27,821円 −3.71%
TOPIX 2,001ポイント 1,928ポイント −3.64%
マザーズ指数 1,107ポイント 1,070ポイント −3.34%

11月相場で上がった株・下がった株

そんな2021年11月の相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(データ提供:CMBトレード塾

・2021年11月の売買代金トップ20

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 6920 レーザーテック 2.73兆円
2 9984 ソフトバンクグループ 2.45兆円
3 8035 東京エレクトロン 1.23兆円
4 9101 日本郵船 1.06兆円
5 6758 ソニーグループ 9381億円
6 7203 トヨタ自動車 9199億円
7 9983 ファーストリテイリング 8010億円
8 7974 任天堂 7783億円
9 6098 リクルートホールディングス 6940億円
10 6861 キーエンス 6915億円
11 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 5986億円
12 9104 商船三井 5321億円
13 6501 日立製作所 4914億円
14 6981 村田製作所 4877億円
15 8316 三井住友フィナンシャルグループ 4838億円
16 9107 川崎汽船 4816億円
17 4502 武田薬品工業 4488億円
18 6178 日本郵政 4060億円
19 8698 マネックスグループ 3912億円
20 9432 日本電信電話 3762億円

・2021年11月の値上がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値上がり率
1 7758 セコニック +234.6%
2 6554 エスユーエス +121.1%
3 6205 OKK +118.2%
4 7352 Branding Engineer +116.0%
5 7809 壽屋 +101.0%
6 4080 田中化学研究所 +88.0%
7 4445 リビン・テクノロジーズ +85.2%
8 6779 日本電波工業 +81.2%
9 8139 ナガホリ +79.2%
10 6658 シライ電子工業 +73.4%
11 7734 理研計器 +70.2%
12 4591 リボミック +67.3%
13 2195 アミタホールディングス +64.7%
14 4371 コアコンセプト・テクノロジー +61.8%
15 3739 コムシード +61.1%
16 3185 夢展望 +60.3%
17 6962 大真空 +55.4%
18 3680 ホットリンク +50.0%
19 2729 JALUX +49.7%
20 2983 アールプランナー +45.6%

・2021年11月の値下がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値上がり率
1 6541 グレイステクノロジー −59.4%
2 7072 インティメート・マージャー −47.4%
3 3936 グローバルウェイ −45.6%
4 7356 Retty −45.3%
5 9327 イー・ロジット −43.9%
6 7699 オムニ・プラス・システム −42.5%
7 4056 ニューラルポケット −42.0%
8 4937 Waqoo −41.2%
9 2170 リンクアンドモチベーション −41.1%
10 4073 ジィ・シィ企画 −40.8%
11 6699 ダイヤモンドエレクトリックホールディングス −38.7%
12 3464 プロパティエージェント −36.8%
13 6629 テクノホライゾン −36.4%
14 3662 エイチーム −35.8%
15 6553 ソウルドアウト −35.0%
16 4170 Kaizen Platform −34.9%
17 6698 ヴィスコ・テクノロジーズ −34.4%
18 7003 三井E&Sホールディングス −34.4%
19 9878 セキド −34.4%
20 3985 テモナ −34.2%

11月相場でプロが気になった銘柄

この中から、気になる銘柄をピックアップしてみます。

・売買代金ランキング

  • 1位:レーザーテック<6920>………2.7兆円
  • 3位:東京エレクトロン<8035>……2.5兆円

半導体はもうずっと強い。みなさん、ちゃんと監視していますか? 半導体関連銘柄は数多くあれど、時価総額の大きいこの2社は必ず見ておきましょう。

テレビのリモコンからロケットまで、ありとあらゆる身の回りの製品に半導体は潜んでいます。いまこの記事を読んでいるスマホ、PCにももちろん使われています。調整することはあるかもしれませんが、基本的には強気で見ていていい業界だと思います。

  • 19位:マネックスグループ<8698>……3,900億円

利益の半分以上が暗号資産関連であり、かつ子会社がアメリカで上場するという報道により大きく買われる場面があり、売買代金ランキングでもランクイン。

ビットコインやイーサリアム、NFTなど関連ワードが飛び交う度に注目を集める銘柄となりました。暗号資産関連として、ビットコイン等の価格とともに監視しておいたほうがいい銘柄のひとつです。

・値上がり率ランキング

  • 3位:OKK<6205>……+118%(340円→742円)

自動運転、電気自動車界隈への投資を加速している日本電産<6594>による子会社化の発表で大きく上昇。自動運転、電気自動車は脱炭素やSDGsの流れもあり、今後も注目しておきたいテーマです。

トヨタや日産、ホンダなどのメーカーよりも、日本電産やデンソー<6902>などの部品メーカーにこそ今後大きなチャンスがありそう。しっかりと見ておきましょう。

・値下がり率ランキング

  • 3位:グローバルウェイ<3936>……−46%(3,350円→1,820円)

「ウェイウェイ!カカムーチョ!カカムーチョ!」

いや、決してふざけているわけではなくて、同社の代表がツイッターを通して上記のようなめちゃくちゃな発信をして株価が大きく上昇しました。しかし、絶対に手を出してはいけない銘柄なので、このコラムでは取り上げてきませんでしたが、いよいよ下落が始まったのでピックアップ。

毎回ここで叫ばせてもらっていますが、改めて叫びます──「仕手株には手を出すな!

変異株で年末はどうなる?

年末に向けて日経平均3万円突破!という美しいタイトルで原稿を書きたかったのですが、残念な結果となってしまいましたね。

さてここで、10月のコラムで書いたグリー<3632>の自社株買いがどれくらい買われていたか、の答え合わせをしましょう。

まず、9月30日にグリーが発行済み株式数の16.8%にあたる3,500万株、350億円の自社株買いを発表。10月1日から来年2022年9月までの期間での実施ですが、株価はすでに大きく上昇しており、先月のコラムでは「1000万株くらい買ったんじゃないかなぁ」と予想。

正解は、なんと1536万4000株と買付け予定の半分近くを買っていました(詳細はここからチェックできます → R3.11.08自己株券買い付け状況報告書|EDINET)。

自社株買いが終わった後どういう値動きになるのかを考えながら株価の動きを追っていくと、新しい発見があります。いい機会ですので是非チェックしてみてください。11月中にいくら買ったのかも、12月上旬には同じEDINETで確認できます。私の予想だと、もう9割くらい買い終わったのかなと考えていますが、さて。

年末に向けて気をつけるべきこと

新型コロナウイルスの変異株により、定期的に世界に不安の風が吹き荒れます。世界がまた閉じた方向に向かうのか、それとも「なかったこと」のようにふるまっていくのか。マーケットはいち早く不安を織り込みに向かっていますが、どうなることか。

どうなるにせよ、「上がるはず!」「下がるはず!」という決めつけでポジションを取ることはないようにしてください。

年末に向けて、できれば変異種も落ち着いて、大きく上昇、そしていい一年だったと思える相場になればいいですね!

(株の学校ドットコム講師・窪田 剛

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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