怒濤の円安が日本株を押し上げ。不安の残る相場でプロが気にするサプライズとは

窪田 剛
2022年4月1日 8時30分

meteoritka/Adobe Stock

《日々相場と向き合うプロトレーダーは今どんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから3月相場を振り返ります》

3月相場を振り返って

ロシアとウクライナの争いが長引いています。

3月に入って落ち着くかなと思いきや、まだ続いています。日経平均株価は争いが始まった2月24日の安値も割り込んで、一時24,717円と25,000円も割り込んでしまいました。

しかし、そこから怒濤の円安が進み、結果、日本株は為替に押し上げられて大きく上昇。終わってみれば27,821円と先月末から上昇して終わりました。配当の権利取りや年度末のお化粧買いという感じではなく、円安に押し上げられたという印象の強い後半の上昇でした。

指数 2月終値 3月終値 騰落率
日経平均株価 26,526円 27,821円 +4.88%
TOPIX 1,886ポイント 1,946ポイント +3.28%
マザーズ指数 725ポイント 790ポイント +8.97%

3月相場で上がった株・下がった株

そんな2022年3月の相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾

・2022年3月の売買代金トップ20

順位 証券コード 銘柄 売買代金
1 9101 日本郵船 3.39兆円
2 6920 レーザーテック 2.87兆円
3 9984 ソフトバンクグループ 2.34兆円
4 9104 商船三井 1.93兆円
5 9107 川崎汽船 1.66兆円
6 7203 トヨタ自動車 1.64兆円
7 8035 東京エレクトロン 1.46兆円
8 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 1.32兆円
9 6758 ソニーグループ 1.11兆円
10 7974 任天堂 9606億円
11 8316 三井住友フィナンシャルグループ 8563億円
12 6861 キーエンス 8088億円
13 9983 ファーストリテイリング 7589億円
14 1605 INPEX 6675億円
15 6098 リクルートホールディングス 6588億円
16 4063 信越化学工業 5700億円
17 8058 三菱商事 5585億円
18 6501 日立製作所 5002億円
19 9433 KDDI 4956億円
20 5401 日本製鉄 4685億円

・2022年3月の値上がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値上がり率
1 4268 エッジテクノロジー 271.00%
2 3936 グローバルウェイ 138.60%
3 4393 バンク・オブ・イノベーション 125.50%
4 8139 ナガホリ 118.60%
5 9250 GRCS 116.80%
6 6579 ログリー 106.70%
7 3856 Abalance 95.20%
8 4417 グローバルセキュリティエキスパート 87.50%
9 3491 GA technologies 83.40%
10 4170 Kaizen Platform 81.00%
11 4057 インターファクトリー 80.00%
12 7050 フロンティアインターナショナル 78.40%
13 4485 JTOWER 77.80%
14 3350 レッド・プラネット・ジャパン 77.10%
15 6578 エヌリンクス 77.00%
16 4055 ティアンドエス 69.60%
17 4371 コアコンセプト・テクノロジー 69.00%
18 1447 ITbookホールディングス 67.10%
19 7044 ピアラ 64.50%
20 7133 HYUGA PRIMARY CARE 63.90%

・2022年3月の値下がり率トップ20

順位 証券コード 銘柄 値下がり率
1 9176 佐渡汽船 −47.0%
2 4934 プレミアアンチエイジング −41.8%
3 4270 BeeX −40.5%
4 4412 サイエンスアーツ −37.3%
5 4592 サンバイオ −35.3%
6 7205 日野自動車 −33.1%
7 4169 ENECHANGE −31.9%
8 9251 AB&Company −31.3%
9 3180 ビューティガレージ −27.9%
10 4415 ブロードエンタープライズ −27.2%
11 8278 フジ −26.6%
12 4598 Delta−Fly Pharma −26.3%
13 4764 Nexus Bank −23.5%
14 3841 ジーダット −22.8%
15 8103 明和産業 −20.4%
16 4192 スパイダープラス −20.0%
17 8708 アイザワ証券グループ −19.5%
18 6908 イリソ電子工業 −18.3%
19 7244 市光工業 −18.2%
20 8508 Jトラスト −18.1%

3月相場でプロが気になった銘柄

この中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップしてみます。

・値上がり率ランキング

  • 第13位:JTOWER<4485>……+77.8%(4,070円→7,240円)

NTTドコモから鉄塔を取得し、その後の運用契約を発表したことで、月の後半に大きく上昇しました。

今年に入ってからマザーズ銘柄は大きく下落しており、いい情報がほとんどなかった状況での発表がサプライズとなり、大きく上昇しました。今月の底値3,190円からみると倍以上になっており、やはり株価には「サプライズ」が大きなインパクトを与えるということを再確認する出来事となりました。

・売買代金ランキング

  • 第1位:日本郵船<9101>……3.39兆円
  • 第4位:商船三井<9104>……1.93兆円
  • 第5位:川崎汽船<9107>……1.66兆円

「業績がめちゃくちゃ良くて、配当が大きい」ということで大きく買われてきた海運関連銘柄ですが、3月に入っても大きく上昇し、昨年付けた高値を更新しました。

ただ、権利日(権利付き最終日)にかけて下落し、権利落ち日には配当分を大きく上回る下落をしてしまいました。ですが、2日目でどの会社も大きく値を戻し、配当を取ってそのまま保有していた人にとっては、現時点(3月31日引け後時点)では成功だったようです。  

よく勘違いしている人がいるので改めて書いておきますが、配当を受けたら翌日はその分だけ株価は下落します。あくまでも理論上(下落するはず)ですが、それをわかってない人が多いので、あなたはもちろん知っていると思いますが、念のため書いておきますね。

  • 第14位:INPEX<1605>……6675億円
  • 第17位:三菱商事<8058>……5585億円

ロシアが戦争を始めたことで、ロシアに対する経済制裁が始まりました。「ロシアに売らない」「ロシアから買わない」ということで、エネルギー輸出大国であるロシアが経済封鎖になり、世界中でエネルギー価格が高騰しました。WTI原油先物価格は90ドルから130ドルを付けるほど上昇する場面もありました。

そんななか、エネルギー価格の高騰が会社の利益につながりやすい企業が大きく買われることとなりました。さらに、世界情勢不安のなかでもアメリカのウォーレン・バフェットが投資している商社はエネルギーでも儲かるし、安心感もあるし、最高!という感じで、改めて見直されて注目されました。

商社はまだまだアツいですね。

  • 第6位:トヨタ自動車<7203>……1.64兆円

3月に入り、為替が大きく動きました。ひと月で一時10円近くの円安となり、円安メリット銘柄としてトヨタに大きな買いが入りました。

とはいえ、ここまで急激な円安になると個別銘柄への業績インパクトというよりも、インフレやスタグフレーション懸念など、別の不安要素が台頭してきてしまい、素直に買いにくい場面もありました。

まだまだ円安は続いており、不安定な情勢も続いていますが、しっかりとマーケットを監視して、通貨の棄損によって資産を減らすのではなく、資産を増加させるために学び、動いていきましょう。

ビッグウェーブを見極めろ

コロナも落ち着かないうちに戦争。原油高に円安……。不安になることばかりが続いています。

株価も暗号資産も大きく値上がりしているように見えますが、日本円が下がっているだけ、という見方もできます。このまま円安が続けば、日本の不動産がどんどん割安になり、海外勢の買いが始まることも予想できます。自国通貨が弱いというのはつらさしかない。

ですが、その流れをしっかりと掴んでいれば、例えば不動産株に資金が入り始めたらどうするか、などと考えておくことができる。そして、実際にその流れが来たときに大きな波に乗ることができるかもしれません。

原油価格や為替、暗号資産の値動きだけにとらわれず、それらが株式マーケットにどう影響を与え、どこに資金が流れ込むのかを見極めれば、大きく動く相場はチャンスにもなります。

個別の事象にとらわれず、大きな流れを見極めて、2022年を生き延びていきましょう。

(株の学校ドットコム講師・窪田 剛

【おすすめ】なぜ明日上がる銘柄がわかるのか 元手30万円を数億円の利益に変えたプロの銘柄選び

[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
最新記事
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格など投資の最終決定は、ご自身のご判断で行っていただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証するものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等にはお答えいたしかねますので、予めご了承くださいますようお願い申し上げます。また、本コンテンツの記載内容は予告なく変更することがあります。
お知らせ
» NTTドコモのマネーポータルサイト「dメニューマネー」に記事を提供しています。
dメニューマネー
» 国際的ニュース週刊誌「Newsweek(ニューズウィーク)」日本版ウェブサイトに記事を提供しています。
ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
» ニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」に配信中。「経済」「マネー」「株・投資」ジャンルから、かぶまどをチェック!
SmartNews(スマートニュース)
銘柄選びの教科書
トヨタを買って大丈夫?