株はいつ買えばいいのか。絶好の「買い場」は最悪の場面でやってくる

朋川雅紀
2022年12月15日 17時00分

jonicartoon/Adobe Stock

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「株の買い場」には4つある

株は「いつ」買ったらいいのでしょうか。

基本的に株の買い場は「株価が下落したとき」に現れます。「高いときに買って、より高いときに売る」という考え方もありますが、それだとどうしても確率が低くなってしまいますので、私は「安いときに買って、高いときに売る」を強く意識しています。

また、安いときに買っていれば、売るときにも気持ちに余裕が持てて、売るタイミングを誤る確率はずっと低下します。

そうした買い場には次の4種類があります。

市場要因による「買い場」

・市場の大暴落

おおよそ10年に一度、株価は大暴落します。

過去30年を振り返ってみると、2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマン・ショック、2020年の新型コロナウイルスによるパンデミックによって、世界的に株価は大暴落しました。

「十年ひと昔」とはよく言ったもので、10年も時が経つと嫌な記憶が薄れ、人はまた同じ過ちを起こしてしまいます。根底にある人間の弱さ(油断、驕り、軽視など)が大暴落の原因になるのではないでしょうか。

・市場の暴落

おおよそ3~4年に一度、株価は暴落します。

世界の株価のサイクルは、世界最大の経済大国であるアメリカの政治、つまり、大統領選挙の周期と深く関係しています。2年を超えて株価が上昇すれば、多くの人が含み益を抱え、いつ利食いをしようかと待ち構えます。そこに、悪材料に過敏に反応しやすいという地合ができます。

いったん株価が下げ始めると、人々は出口に殺到して、暴落を引き起こします。

・市場の調整

年に数回、株価は調整します。つまり、数か月に一度、株価は調整します。

3か月ごとに企業収益が発表されることもありますし、アノマリー(季節性)の影響を受けることもあると思います。また、比較的短期間で売買を行っている投資家(トレーダー)のポジション整理の影響も受けていると思います。

個別要因による「買い場」

・個別企業の株価下落

個別企業に関する一時的な悪いニュース(悪材料)に反応して、株価は下落します。時には、過剰反応して大きく下げることもあります。たとえば、企業収益やガイダンスが事前の予想に到達しなかったときや、経営者の交代が発表されたときなどです。

あなたが知らない絶好の「買い時」

私は、「株の比率を一定に保つ」ことや「市場が悲観に傾いたときに買う」ということを個人投資家に強く推奨しています。株価が下落したときは、下がった比率を元に戻すための買いを入れることになりますが、実際問題として、どのように比率を元に戻したらいいのでしょうか?

基本の組み入れ比率から「何%乖離したら買いを入れる」というルールを決めておいて、何も考えずにルールどおりに実行するのもいいでしょう。

例えば、株の比率を60%と決めておいたとします。株価が下落してその比率が55%まで低下(5%乖離)したら、買いを入れて60%まで戻す、といったやり方です。1年に数回ほど訪れる比較的小さな株価の調整局面であれば、この方法で十分です。

しかし、株式市場には時々、大きな波が訪れることがあります。短期間で大きく値を下げるときです。こういう場面では、「何%乖離したら買いを入れる」というルールでもまったく駄目ということはありませんが、できればメリハリをつけた買いをしたいものです。

「最悪のタイミング」こそ「最高のタイミング」

短期間に株価が大きく調整すると、市場参加者は動揺します。マスコミもそのことを大きく取り上げます。新聞の一面に記事が出たり、ニュース番組の中でもそのことに多くの時間を割いたりします。知人に相談しても、「もう少し待ったほうがいい」と諭されます。

やがて、「一体、株はいつまで下がり続けるのか?」ということが焦点になってきます。

専門家は「しばらく市場の混乱は続くでしょう」とコメントし、誰もどこが大底かの断言を避けます。株価の予想レンジの下限は必ず、そのときの株価から随分と下になります。安易に楽観的な数字は言えない、という雰囲気が漂うからです。

しかし、そういう状況下で株価が底を打つことが、よくあります。

だからこそ、いつまで下がり続けるのか不安になり、「買いを入れるのがとても怖い」と感じたら、そのときこそ買いを入れることをおすすめします。もちろん、そのタイミングにすべてを賭けることは無謀です。しかし、何もしないのもよくありません。

その株価水準よりもはるかに高い水準で買いに興味を示していたにもかかわらず、一旦株価が下がると、多くの人は目先の不透明感を口実にして買いを避けようとします。

しかしながら、「最悪のタイミング」と思われたときが、あとから振り返れば「最高のタイミング」だった、ということはよくあります。「株を買うのに最悪のタイミング」と感じる理由は、悪材料ばかりを認識しているからなのです。

株を買うのが怖くて仕方ないときは、ぜひ買いを行ってみてください。決して、いつも大底ですべてを買おうとは思わないこと。資金に余力を残したうえで、しっかりと買いを入れる。さらに下げたらまた買う、くらいの心構えが必要です。必ずや、その勇気ある行動は報いられるでしょう。

[執筆者]朋川雅紀
[ともかわ・まさき]大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立。現在は投資信託のファンドマネージャーを務めるかたわら、個人投資家の教育・育成にも精力的に取り組んでいる。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。
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