東証1部昇格は最高のステイタス! そんな「出世株」で儲けるには?

サラリーマンの出世コースといえば、課長→部長→取締役→常務→専務、そしてゴールは社長・会長でしょうか。株式市場では、まずは新興市場に上場し、東証2部を経て、東証1部昇格、というのが出世街道です。出世しそうな銘柄を見極めて先回りで投資すれば、大きな収益を手にする可能性があります。

なぜ「東証1部上場」が儲かるのか

企業にとっての1部昇格メリットは?

出世とは「社会的に高い身分・地位を得ること」。つまり、上場企業にとって「東証1部銘柄」になることは最高のステイタスなのです。

東証1部銘柄になれば、知名度や社会的な信用力が上がります。資金調達も円滑になり、人材の採用などにも有利に働きます。このように、1部に昇格することは企業に多くのメリットをもたらす、というわけです。さらに、株価にとっても好材料となります。

1部昇格は株価にどんな影響を与える?

1 機関投資家や外国人投資家の資金が入る

まず1部への昇格が決まれば、機関投資家や外国人投資家が注目します。彼らの多くは、投資対象を東証1部上場銘柄に限定しているからです。言い換えると、1部昇格となって初めて機関投資家や外国人投資家にとっての投資対象となり、それによって多額の運用資金が流入することになります。

2 TOPIXに組み入れられる

また、1部昇格によりTOPIX東証株価指数)に自動的に組み入れられます。TOPIXとは、東証1部の全ての銘柄を算出対象とした株価指数で、日本の景気動向を読むのに重要な指標です。

3 TOPIX連動の投資信託・ETFにも買われる

このTOPIXに連動するように設計された投資信託やETFは、連動性を高めるために、TOPIXに新規で組み入れされる銘柄を機械的に購入します。TOPIXへの組み入れは上場の翌月末ですが、この需要は大きく、需給面から株価の値上がりが期待できます。

個人投資家はどうすれば儲けられる?

このように、企業の東証1部昇格というイベントが起きた場合、機関投資家や投資信託は有無を言わさず一定量の買いを行う必要が出てきます。個人投資家にとっては、ここに収益のチャンスがあると言えます。

ただし、東証1部への昇格発表後は株価の値上がり期待が持てる、というのは周知の事実です。ですから、1部昇格の発表後に購入しても、そこがピークアウトだった……なんてことも多々あります。昇格銘柄で儲けるには、先回りすることがポイントになります。要するに「青田買い」です。

出世株を〝青田買い〟する方法

東証1部への昇格条件とは?

東証1部銘柄になるには、会社側の「東証1部へ昇格する」という強い意欲が必要です。昇格条件は多岐にわたり、これら条件を全てクリアし、最終的には東証の承認を受けなければなりません(1部への指定要件はJPXホームページでご覧になれます)。

特に注目すべきは以下の3要件です。

  • 株主数2,200人以上
  • 時価総額40億円以上(東証2部、マザーズからの昇格の場合)
  • 流通株式比率が上場株券などの35%以上

これら条件を揃えるために、多くの企業はいくつもの施策を行います。つまり、まだ東証1部でない企業が施策を始めた場合、それは「我が社は1部昇格を狙っていますよ」というシグナルなのです。

企業が放つ「昇格シグナル」とは?

企業の昇格シグナルを察知できるのは、主に以下の3つの施策が取られた場合です。

その1:株主優待の新設・拡充

株主数を増やすのに最も効果的な施策は、株主優待の新設や拡充です。個人投資家の中には、株主優待目的で投資する人が大勢います。株主優待を手厚くすることで、株主数の増加が見込めます。また、優待の新設や拡充で株価が上昇することも多く、時価総額も同時にアップすることが期待できます。

その2:株式分割

株式分割とは株式を複数に分割することで、発行済みの株数を増やすことです。分割されることで、1株あたりの株価は下がります。例えば、株価3,000円のA社の株を100株保有していれば、1:2で株式分割された場合、株価1,500円で200株保有となります。「30万円は出せないけど、15万円なら買える!」と株主が増加し、流動性の向上にも繋がるのです。

【関連記事】 株式分割は本当にプラス効果? あの“高嶺の花”にも手が届くけれど

その3:立会外分売

最近特に注目されているのが「立会外分売(たちあいがいぶんばい)」です。これは、それまで特定の大株主が持っていた株を、市場価格から割引して多数の投資家に買ってもらうことで、株主を増やす施策です。証券取引所の取引時間外(立会時間外)に売り出しが行われるため、こう呼ばれています。

その際、「1部上場への昇格を目指す」ための施策だと明記されるケースが増えています。あるいは、「買い付け顧客1人につき100株」など制限がついている場合もあります。いずれも、株主を増やしたいという会社側の意欲を表していると言えるでしょう。

この他にも、会社がリリースや決算説明会資料で「一部上場を目指す」と明記したり、社長自ら公言したりする場合もあります。このように様々なポイントから企業が放つ「昇格シグナル」を察知することで、先回り投資が可能になります。

JPXの適時開示情報閲覧サービスには、企業から日々発表されるニュースが掲載されていますので、先回りを目指すなら、ぜひここをチェックしてみてください。

出世株を探すコツとは?

東証2部・マザーズにIPOで新規上場した企業は、最低1年間はそこに在籍する、というルールがあります。逆に言うと、1年在籍すれば1部に昇格することが可能です。したがって、新規上場から1年目を迎える銘柄の中から昇格候補を探してみるといいでしょう。

ジャスダックなどに上場している場合は、時価総額250億円以上が要件となるためハードルが高く、1部昇格は多くありません。しかしながら、ジャスダックから東証2部を経由して1部昇格を目指すのは、出世街道の「王道」です。このルートを歩んでいる銘柄には、ぜひ注目しておきましょう。

本当に上がった出世株の話

・ビーロット<3452>の場合

ビーロット<3452>は、富裕層向け不動産経営サービスを提供する会社です。東証マザーズ上場だった同社は、2017年8月に「東証一部への市場変更申請を行う準備を具体的に進めている」として、昇格の条件である「株主数2,200人以上」を満たすための施策として立会外分売を発表し、同時に株主優待も新設しました(2016年12月末の株主数は1593人)。

ここから株価は動き出します。11月にも立会外分売を行うと発表した際には「すでに一部への市場変更申請を行なっている」とされていました。その後も株式分割や立会外分売を行い、2月2日にめでたく東証1部へ昇格。株価は、8月の発表時から約3倍になっていました。1部昇格への「期待感」が材料となり、大きく株価を伸ばしたのです。

1部昇格を狙うときの注意点

どんな投資法にも言えることですが、東証1部昇格への期待があるからといって必ずしも株価が上がるとは限りません。マーケットの状況によっては、1部昇格が好材料とならないこともあります。また、予想された時期に昇格の発表がなければ、かえって失望売りから急落することもあります。

さらに、先回りして昇格予想が的中しても、必ずしも利益を手にできるとは限りません。先ほどのビーロットの場合も、1部昇格の発表後には株価はピークアウトとなってしまいました。含み損となってしまう前に、しっかりと利益確定をさせることをお忘れなく。

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2018/10/29
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東証1部昇格は最高のステイタス! そんな「出世株」で儲けるには?」の著者
岡田 禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。現在テレビ東京系で放送中のドラマ「インベスターZ」の脚本協力もしている。 日本証券アナリスト協会検定会員(CMA) ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
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