マーケットに嫌われている…と思ったあなたへ。一流の投資家が教える、怒りと願望のなくし方

朋川雅紀
2023年5月31日 12時00分

InsideCreativeHouse / Adobe Stock

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投資家に必要な「客観的な見方」

客観的な見方を身に付けるには、「マーケットはこのようになるはずだ」とか、「マーケットはこうならなければおかしい」というような先入観を持たず、「マーケットではどのようなことも起きうる」と考えなければなりません。

そうすれば、何が起こっても恐れることはないですし、マーケットの情報を拒否したり自分勝手に解釈したりすることもなくなります。

マーケットの動きを“色眼鏡”で見ることは、どのような状況下でも適切に行動できる自信と自分への信頼が欠けている証拠になります。そうした投資家は、マーケットが自分の思惑の範囲を超えて大きく動くようなときに、恐怖やストレスや不安な気持ちにとらわれてしまいます。

もっとも、マーケットの将来については何らかのシナリオや方向性は持つべきです。そうでなければ、取引は実行できないでしょうから。

マーケットに対して客観的な見方をするということは、過度な期待感でマーケットを見るのではなく、いろいろな可能性を中立的に評価するという意味なのです。

「怒りの感情」との向き合い方

マーケットと正しく向き合うには、一定のルールを遵守しなければなりません。

しかしながら、過去のつらい経験からそうしたルールの必要性を学んだ人は、マーケットから何らかの結果を求めるようになります。つまり、ルールを守る見返りを求めてしまうのです。将来に対する期待感とは、マーケットを自分の期待通りに変えようとする要求の裏返しかもしれません。

私たちはもともと、何の期待も持たずに何かに取り組むようなことはあまりないですから、マーケットの世界にもこうした期待を持ち込んでしまいます。

したがって、「マーケットは自分の思い通りにはならない」と再度自分に言い聞かせるべきです。そうすれば、マーケットが自分の思うような方向に向かわなくても腹が立つことはありません。

日常生活において、自分の思い通りにならなかったり、他人から自分の嫌がることをされたりすると、怒りを感じることがあります。

もしあなたがマーケットに対して腹を立てているのであれば、マーケットが自分に意地悪をしている、とか、自分はマーケットから嫌われている、といったような深層心理が働いている証拠です。マーケットに拒否されているという“幻想”に反応するからこそ、怒りの感情が湧き上がってくるのです。

「強い願望」が邪魔をする

もしも強い願望を持ってマーケットと向き合えば、マーケットの動きを客観的に評価できるような情報を自らシャットアウトすることになります。

私たちはマーケットを自分の思うようにコントロールすることはできません。でも、だからと言って自分の願望も諦めたくない、と思うならば、マーケットからの情報を自分に都合のいいように解釈するほかないからです。

将来に対する強い願望は、マーケット情報を認識しようとするときに、願望と一致しないものを受け付けないというメカニズムを無意識に作り上げてしまいます。起こりそうもないことだけに目を向けていると、起こりそうなことに気づかず、最終的にはつらい結果となって目を覚まされることになります。

客観的な視点とは、いろいろな可能性を中立的に評価することで、これを別の言い方をすると、特定の情報にあまり思い入れをしないということです。そのためには、「次に何が起こるかを考えながらマーケットの動きを観察する」ことが大切です。

客観的な視点を持つために

何か行動を起こすときにストレスを感じないようにする、あるいは、マーケットに対して恐怖心を抱かないようにする、ということを心がけるのは、意外と難しいものです。

残念ながら、マーケットはあなたの声を聞いてくれません。マーケットは、あなたの個人的な事情には全く興味がないのです。あなたが土下座しようが、泣き叫ぼうが、そんなことはお構いなしです。

そうであれば、あなたのほうからマーケットの声を聞くようにするしかありません。マーケットを丁寧に観察すれば、マーケットは多くのヒントを提供してくれます。

最も有効な方法として私がオススメしたいのは、自分が取りたい行動と反対の行動を取ることを想像する、というやり方です。もしあなたがある銘柄の買いを行いたいと考えているなら、売りを行う場面を想像するのです。売らなければならない理由を考えるのです。1つや2つは出てくるはずです。

これはリスク管理にも役立ちます。買い目線一色になっていたあなたの頭を冷やす効果にもなります。すでに買いを実行していてポジションを持っていた場合には、もしポジションを持っていなかったらどうしただろう、ということを考えるのです。

客観的になるということは、できるだけ多くの可能性とその結果を予想することです。そして、それぞれのシナリオに基づいて起こりそうなことを予測したものの、そうした予測が外れたときには、ポジションを全て解消するか、少なくともポジションの一部を処分するのが賢明でしょう。

いつでも正しくあろうと考えないようにすることが大切です。マーケットに対する評価が中立的であるほど、その結果を歪んで解釈することもなくなり、苦痛を伴う気づきを強いられることもないでしょう。

[執筆者]朋川雅紀
[ともかわ・まさき]大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立。現在は投資信託のファンドマネージャーを務めるかたわら、個人投資家の教育・育成にも精力的に取り組んでいる。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。
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