株式投資でも「買い物リスト」を作っていますか? そのメリットと注意点

朋川雅紀
2024年12月5日 11時00分

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買い物リストの効用

本日のテーマは「買い物リスト」です。

みなさんも、スーパーへ買い物に行くときなどは買い物リストを作成することがあると思いますが、そのメリットは何でしょうか?

もちろん、「買い忘れを防ぐこと」が買い物リスト作成の主なメリットだと思います。買うべきものをリスト化しておくことで、店で必要なものを買い忘れてしまうのを防ぐことができます。

他に、効率的な買い物ができることもメリットになります。リストに沿って買い物をすることで、店の中を効率的に回り、時間を節約できます。

そして、衝動買い防止などにも役立ちます。「リストにないものは買わない」というルールを作ることで、衝動買いを減らし、無駄な支出を抑えることができるということです。

ストレス軽減にも役立つかもしれません。買い忘れのストレスや衝動買いをしてしまった後悔から解放されます。

株式投資の買い物リスト

株式投資においても、買い物リストの作成は欠かせません。

基本的に「買う」という行為は、株であろうと食料品や日用品であろうと変わりはありません。

ただ、買うタイミングだけは、株式投資とスーパーでの買い物とでは大きく異なります。スーパーでの買い物はその日に買うものだけをリストにしますが、株式投資の場合は将来に備えたリスト作りが必要です。

株式投資における買い物リストは、投資家が購入を検討している銘柄のリストです。このリストは、投資家が企業を調査・分析した上で、将来的に保有する価値があると考える企業(銘柄)をまとめたものになります。

株式投資の成功には計画を立てることが不可欠であり、その一環として、買い物リストは非常に重要な役割を果たします。

株式投資のための買い物リストを作成する意義を考えてみましょう。

  • 目標の明確化……投資を検討している銘柄を具体的にリストアップすることで、投資の目的や目標を明確化できます。単に「よさそうだ」という漠然とした状態から、具体的な投資計画へと一歩踏み出せるのです。
  • 情報収集の効率化……投資対象となる銘柄が明確になれば、その企業に関するニュースや分析レポートなどを効率的に収集できます。必要な情報に的を絞って集めることで、情報過多による混乱を防げます。
  • 感情的な判断の抑制……投資対象の銘柄を事前に絞っておけば、突発的なニュースや市場の変動に振り回されず、事前に決めた計画に基づいて冷静に判断することができるようになります。
  • ポートフォリオの効率化……ポートフォリオの分散化を意識して、必要なピース(銘柄)をリストアップすることで、リスクを考慮した効率的なポートフォリオの構築が可能になります。
  • 高値掴みの回避……すぐに飛び乗るのではなく、どのような状況になったらエントリーするかを考えることで、高値掴みを回避することにもつながります。

買い物リストの注意点

これらの点を考慮すれば、株式投資の買い物リストに含めるべき情報には、銘柄(投資したい企業名)はもちろんのこと、購入タイミング(目安となるテクニカル指標や株価)や購入株数(目標とする保有比率)なども加えるといいでしょう。

また、買い物リストを作成する際の注意事項としては、株式市場の状況や企業の業績は常に変化するため、定期的にリストを見直し、必要に応じて修正することが重要だという点があります。

買い物リストはあくまで計画であり、必ずしも100%の実行を意味するものではありません。市場状況の変化や新たな情報に基づいて、柔軟に対応することが求められます。あまりに多くの銘柄をリストに加えることも、管理が難しくなるので好ましくありません。

あの人の保有リストを真似する?

買い物リスト作成のために、著名投資家の保有リストを活用するのも面白いかもしれません。

著名投資家の保有リストは、投資初心者から経験者まで、多くの人にとって魅力的な情報源になります。なぜなら、長年の実績と豊富な経験を持つ彼らが選んだ銘柄には、私たちが気づかないような潜在的な価値や成長性がある可能性があるからです。

しかしながら、ただ単に著名投資家の保有リストを参考にすれば、必ずしも良い結果が得られるとは限りません。ひとつには、情報公開のタイミングの問題で、必ずしも最新の状況を反映していない可能性がある点に注意が必要です。

何より、投資の目的(目標とするリターンや取ることのできるリスク量)や、それに基づく投資スタイル(バリュー投資、グロース投資など)や投資期間は、すべて投資家によって異なる、ということを念頭に置いておくこと必要があります。

その人がなぜその銘柄を選んだのか、その理由を掘り下げて分析することが重要です。

企業の財務状況、成長性、業界の動向などから投資判断の根拠を固めることに加え、他の情報源と照らし合わせることも必要でしょう。アナリストレポートや経済ニュースなど、あらゆる情報源から得られる情報をもとに総合的に判断することが大切です。

著名投資家が保有している銘柄が、必ずしも自分の投資目標に合致するとは限りませんが、大いに参考になることもあるでしょう。まずは自分自身の投資目標を明確にし、それに合った銘柄を加えた買い物リストを作成してください。

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[執筆者]朋川雅紀
朋川雅紀
[ともかわ・まさき]大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立。現在は投資信託のファンドマネージャーを務めるかたわら、個人投資家の教育・育成にも精力的に取り組んでいる。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。
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