バレンタインデーは株価が上がる? 甘いアノマリーの真偽は…

山本将弘 2020/02/06 12:00

日経平均はバレンタインデーに上がる?

株式相場の世界には、データや理論で説明が付かない「アノマリー」と呼ばれるジンクスが存在します。そのひとつが「チョコレート・アノマリー」。バレンタインデーに日経平均株価が上昇するというものです。

そもそもアノマリーとは

アノマリー(anomary)とは、日本語で「変則的事実」という意味。株式相場の世界においては「マーケットの動きにおいて、合理的な説明ができないものの、予測が当たりやすい経験則」のことをいいます。

例えば、「二日新甫(ふつかしんぽ)は荒れる」という相場格言。これは、2日から取引が始まる月は相場が荒れやすくなる、ということを表したものです(「新甫(しんぽ)」とは、商品先物取引の用語で、新たに始まる限月のこと)。

また、日本株は4月に株価が上昇しやすい傾向にあり、これは「4月効果」と呼ばれています。

しかし、これらの現象について合理的に説明することはできないそうです。相場は、経済的要因だけに基づいているのではなく、参加している人間の心理に大きく影響を受けることの現れと言えるのかもしれません。

勝率100%もある「上げの特異日」

過去の経験則から、日経平均が上昇することが多い日は「上げの特異日」といわれます。なかでも「5月29日」や「6月21日」は、リーマンショック後にまったく負けがない「勝率100%の日」として知られています。

それらと比較すれば勝率は落ちますが、それでも高確率で日経平均株価が上昇するといわれているのが「2月14日」、つまりバレンタインデーなのです。

なぜバレンタインデーに株価が上がるのか?

バレンタインデーに日経平均株価が上昇しやすい理由については、はっきりとしたことはわかっていません。

一説によれば、「チョコを贈ったり、もらったりすることで、気持ちがポジティブになること」が要因かもしれないのだとか。実際、行動経済学の分野においては、「人の気持ちを明るくさせることが相場にプラスに働く」ということに関する研究が進んでいるそうです。

ただ、会社での虚礼廃止や、バレンタインデーというイベントそのものがマンネリ化している(近年ではハロウィンのほうが経済効果が高いといわれます)ことなどを考えると、「バレンタインデー→気持ちが明るくなる→株価が上がる」というのは、やはり合理的な説明としては難しいように思えます。

実際の株価はどうなっているのか

明確な理由はわからないものの、とにかく「上がる」といわれているバレンタインデー。では、実際のところ、2月14日の日経平均株価はどのような動きを見せているのか、データを振り返ってみましょう。

・2019年2月14日:前日比4円77銭安(−0.02%)

2019年のバレンタインデーは、確率が高いといわれる「チョコレート・アノマリー」にもかかわらず、3営業日ぶりに反落。前日比4円77銭安となりました。前日まで株価が大きく上昇していたこともあり、利益確定の売りが先行したことなどが要因とされています。

取引開始直後には、アメリカの対中関税に関する報道が入ったことで円安傾向になり、90円以上も上昇する場面もあり、バレンタインの神風が吹いたかのように思われましたが、長く続かなったようです。

・2018年2月14日:前日比90円51銭安(−0.43%)

2018年のバレンタインデーも「チョコレート・アノマリー」はどこ吹く風。3日連続の下落となり、前日比90円51銭安という結果に。為替市場で円高ドル安が進んだことで、自動車などの輸出関連企業の業績悪化を警戒するムードとなり、売りが膨らみました。

また、当日朝に発表されたGDP(2017年10~12月期)の速報値で伸びが減速していたことも、投資家の買いを阻んだのかもしれません。後場には300円近く下落し、心理的節目といわれる21,000円を一時割り込むなど、重たい空気のバレンタインデーとなりました。

・2017年2月14日:前日比220円17銭安(−1.13%)

2017年のバレンタインデーは、さらに大きな下落に。3営業日ぶりの反発で前日比220円17銭安。米FRB議長の議会証言や、粉飾決済問題に揺れる東芝<6502>の決算発表が遅れたことなどが、投資家心理にブレーキをかけたようです。

また、当時の前年来高値に接近していたことから利益確定の売りが多くなり、さらにアメリカ政治をめぐるニュースも売り注文が増える要因となりました。

過去20年の2.14を総ざらい

ここ3年の結果だけを見ると、チョコレート・アノマリーの恩恵を受けられていないことがわかりました。そこで、2000年以降の2月14日の日経平均株価の値上がり率をまとめてチェックしてみたいと思います。

2000年から2019年まで「2月14日」に取引があったのは、計15回。そのうち、日経平均株価が上昇したのは9回、下落したのは6回という結果でした。つまり、2000年以降の2月14日の勝率は60%ということになります。

これで本当に「上げの特異日」といっていいものか、実に微妙な結果となりました。

「リーマンショック後の勝率が8割を超える」とする情報もありますが、2006年から2013年にかけて連続して上昇していた時期を切り取れば、そういう数字になるのかもしれません。しかし、その後は下がる一方となっているのは、見てのとおりです。

2020年の2.14はどうなる?

アノマリーは相場に実際に存在します。しかし、それが本当に(現在でも)当てはまるのかどうかは、データをもとに検証してみる必要があるでしょう。確率が高いといわれているはずの「チョコレート・アノマリー」ですらこの結果であることを考えれば、事実を確認することの重要性が身にしみます。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大への不安が世界を覆っており、バレンタインデーどころではない……という側面も出てきそうです。いずれにせよ、アノマリーに囚われすぎてはいけないという教訓を得たように思います。

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2020/02/06
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[執筆者]山本将弘
山本将弘
[やまもと・まさひろ]フリーランスライター。マーケティング、金融、就職・転職、スポーツ、インテリア、ペットなど、幅広いジャンルの記事を執筆。それぞれテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。株に関しては、将来の備えとリスクヘッジのために、セブンポケットを目指して奮闘中。【株窓アワード2019】 →この執筆者の記事一覧へ

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