鵜呑み厳禁! 地味だけど堅実と言われる「割安株投資」の真実

株式投資にはいろいろな手法があり、この「割安株投資バリュー投資とも)」は、世界的に有名な投資家ウォーレン・バフェットも推奨する投資手法だと紹介されることが多いものです。しかし、それが「あなたの資産運用」にマッチしているのかどうかはわかりません。良い面も悪い面も含めて、割安株投資とは何かを正しく理解して、利益につなげられるようにしましょう。

そもそも「割安株」はなぜ割安なのか?

割安株投資とは、一時的にその銘柄の本質的価値よりも低い株価で取引されている「割安株」が、いずれ株価が自律修正して本来の価値を反映する価格に上昇していく過程で利益をあげる、という投資手法です。

一般的に割安株投資というときには、割安な普通株を買うことを指しますが、より広義に捉えて、あらゆる割安な証券(債券、優先株など)への投資を指すこともあります。

また、銘柄の本質的価値というのは、恣意的な価格操作や市場の心理的な雰囲気などによって形成された株価とは異なるもので、その企業の資産、収益力、配当、将来の業績見通しなどといった事実によって裏付けられた、本来的な価値のことを言います。

株価は投資家心理に左右される

これに対して、株式市場における株価は、多くの場合、投資家の心理を反映しています。つまり株価は、その企業の本質的価値によるのではなく、投資家の心理によってかなり感情的な値段を付けられていることが多いのです。

アベノミクスのような上昇相場では、市場の熱狂によってあらゆる銘柄が強気に買われ、多くの銘柄の株価がぐんぐんと伸びていきます。反対に、ひとたび経済危機の傾向が見られれば、その熱狂がごく短期間のうちに冷め、株価が大暴落を見せることもあります。1日で10%くらい騰落することはよくあることです。

そのような騰落の前後において、企業の収益力や財務力や企業体質などは、それほど変化していません。前日に比べて株価10%が下がったとしても、企業の価値が1日で大きく変化することはないのです。

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しかし、実際に株価は大きく変化します。このことから、「株式の価値と価格は常に連動しているわけではない」ということがわかります。市場全体を見渡せば、価値相応の株価を付けている株式があるなかで、非常に割高な価格で取引されている銘柄もあれば、非常に割安な価格で取引されている銘柄もある、というわけです。

ガンホーが任天堂を超えた日——「割高株」の例

割高株の例を挙げるならば、2013年のガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>が良い例でしょう。スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」の大ヒットによって株価が急上昇し、ガンホーの時価総額は一時期、任天堂<7974>を超えました。しかし、ガンホーが最高値を付けたその時、大幅に割高な株価で取引されていたことは、結果として振り返ることができます。

ガンホーの収益の軸は「パズドラ」ほぼ一本。そこへの依存度が強いうえに、流行り廃りが激しいスマホゲームです。つまり、法改正やスマホゲーム全体の衰退など、何かの事象によって大きく業績が左右される可能性を含んでいました。

また、任天堂よりもブランド力が乏しいことなどを考えても、収益力に乏しいガンホーの時価総額が任天堂の時価総額を超えるということは、当時、異常事態だったと考える投資家もいました。

ただし、当時の任天堂は営業赤字が続いていた時期でもあり、その時価総額が下がってきたところに、飛ぶ鳥を落とす勢いのガンホーが一時的に超えた、という「事件」になったのでした。

現在の株価を見てみると……

2016年7月19日の時点でガンホー・オンライン・エンターテインメントの株価は282円。2013年当時の最高値1633円と比較すると、株価は6分の1程度になったことになります。対照的に任天堂は、「ポケモンGO」の大ヒットによって時価総額が倍の4.5兆円となっています(2016年7月19日終値)。

ガンホー・オンライン・エンターテインメント<3765>

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任天堂<7974>

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なぜ「割安株投資」で利益が出せるのか?

では、なぜ割安株に投資することで利益を期待できるのでしょうか?

それは、株価が割高あるいは割安で取引されているとき、市場価格はいずれ自律修正して本来の価値を適正に反映するとされているからです。つまり、割高な株式はいずれ価格を下げて本質的価値に近づき、割安な株式はいずれ価格を上げて本質的価値に近づいていく、ということです。

自律修正作用が働くということ

自律修正作用は、割安株よりも割高株に顕著な傾向です。ガンホーのように大ヒット商品を生み出したり、そーせいグループ<4565>のようにM&Aを行ったりしたことによる暴騰が起こると、のちに適正価格まで落ちてくる、というケースはよく見られます。

株価が暴騰しているとき、その株価は果てしなく右肩上がりを続けそうな気さえするものですが、実際にはそのようなことはあり得ず、どこかで自律修正作用によって引き戻されていくのです。

理論的には、株価の暴騰に伴って本質的価値も高まれば、株価は高く維持されることになります。しかし、株価が投資家心理を反映して急速に伸びるのに対して、本質的価値は企業の地道な努力によって徐々に高められていくものですから、そう簡単に株価に追いつくことはなく、やはり、いずれは株価が落ちてくることが多くなります。

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もちろん、割安株にも自律修正作用は起こります。市場から無視されて割安に落ち込んでいる銘柄は、いずれは本質的価値に近づいて株価を上げていきます。これが、割安株投資で利益が得られる仕組みです。

「安全」「安心」な投資をしたいなら

割高株投資のメリットとしてまず挙げられるのは、安全性です。

本質的価値はもっと高いにもかかわらず割安価格で取引されている割安株は、適正価格や割高価格で取引されている株式に比べて価格が落ちにくく、堅実な投資ができる可能性が高いのです。そのため、より安全性の高い投資が可能となります(あくまで平常時の話であり、日経平均株価が暴落しているような状況では、割安株もその難を免れられません)。

また、株価の自律修正作用というのは長期間にわたって働くことが多いため、割安株投資では1年や2年は寝かせることも多く、市場の変動に一喜一憂せずに冷静に投資をすることができるのもメリットです。本質的価値は高いのだから、多少株価が下がっても「いずれ戻ってくるから大丈夫」と考えて冷静でいられるのです。

【参考記事】知らなければ損? ROE(株主資本利益率)からわかる優良銘柄

投資で失敗する理由のひとつに、冷静さを欠いた投資による損失があることを考えれば、このことは非常に大きなメリットだと言えるでしょう。

ずっと割安のまま……という危険もある

もちろん、割安株投資にもデメリットがあります。それは、割安株のなかには、かなりの長期間にわたって割安であり続けている株式もあるということです。

そのような銘柄は案外多く、たとえばオプトエレクトロニクス<6664>は明らかにこれに当たります。同社はバーコードリーダーのレーザーエンジンで世界2位、国内シェアは9割を誇る企業ですが、本質的価値からはかなり低い価格で売買されており、ここ4年間はずっと割安価格を維持しています。

なぜ、このように割安価格を維持し続ける企業があるのかと言えば、その企業が割安価格にあるときに特に目立った業績を上げなかったために、多くの投資家から無視され続け、うまく自律修正作用が働かなかったからです。実際、オプトエレクトロニクスの10年前と現在を比較してみると、目立った動きがなく、純資産は3億円減っており、売上も10億円減っています。

いくら優れた商品や大きなシェアを持つ企業でも、このような状態では投資家から注目を浴びることはなく、なかなか自律修正作用は上手く働きません。つまり、自律修正作用は常に機能するわけではないのです。

目的に合わせて選びましょう

割安株投資は、成長株投資とは対極にある投資手法です。爆発的な成長力を秘めた成長株に投資するのではなく、本質的価値までは株価を戻すであろう割安株に投資し、元本の安全性を確保しながら、長期間でそれなりに満足のいく利益を上げることを目指す、ひとつの「投資手法」です。

自分の投資目的に即して、うまく活用してみてください。

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2016/08/22
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鵜呑み厳禁! 地味だけど堅実と言われる「割安株投資」の真実」の著者
株の窓口 編集部
「こうすれば絶対に勝てる」「これを買えば儲かる」といった、ひとりの個人の独断や成功体験よりも「普遍的な事実」こそが重要だと考え、小手先のテクニックではない、投資・トレードの本質をお伝えします。多くの個人投資家が無防備なまま株式市場に参加し、大切なお金をなくしています。そうした負の流れを変えるべく、株初心者の方や、これから株を本気で始めようとしている方にもわかりやすい解説を心がけています。
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