ソニー、トヨタ、BASE… 2020年、コロナ禍の株式相場で輝きを放った銘柄たち
《コロナに揺れた2020年。そんな波乱の相場では、どんな銘柄が注目を集めたのでしょうか。かぶまど執筆陣が、コロナ相場で気になった銘柄を振り返ります》
世界に見せつけた底力
・ソニー<6758>
2020年の銘柄は、何と言ってもソニー<6758>です。11月17日に19年ぶりに株価が10,000円を付けて、その存在感を改めて印象づけました。
一時は「ソニーの時代は終わった」ともいわれましたが、今や稼ぎ頭となったゲーム事業のおかげで大きく変貌し、ゲームや音楽、映画などコンテンツメーカーとして華麗な復活を遂げました。コロナ禍の巣ごもり需要を受けて、10月には今期の営業利益を上方修正するなど業績も絶好調です。
足下では、11月に新型ゲーム機を発売し、傘下のアニプレックスが制作を手がけた映画「鬼滅の刃」の大ヒットや、またアニメ配信会社の買収なども好材料で、株式市場の注目を集め続けています。
さらに、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が選ぶ「持続可能な経営企業100社」ランキングでは、世界の上場企業約5,500社の中で首位となったソニー(記事はこちら)。
長年「アップルになれたのに……」と複雑な思いで同社を見ていたのですが(ちなみに上記ランキングでアップルは68位)、今年ばかりは「ソニーごめんなさい」と反省いたしました。
岡田禎子(ファイナンシャル・プランナー)
・トヨタ自動車<7203>
2020年の象徴的な銘柄は、ど真ん中ですが、トヨタ自動車<7203>でしょう。
年初からコロナの感染が拡大するにつれて、自動車業界への懸念が広がり、3月には6,000円を割り込んで5,771円の安値を付けました。しかし、2018年の安値の6,045円は下回ったものの、2016年の安値4,917円までは売られず、過去の急落局面に比べると底固いなとの印象をもって見ていました。
リーマンショック後に行った構造改革で、外部環境に対する耐性が出来ていたこともあるのでしょう。その後の戻り相場では緩やかな戻りが続き、最近では自動車市況の回復や全固体電池、EVなどのテーマでも買われており、主力株の強さを表すようなチャートになりました。
佐々木達也(元・証券アナリスト)
コロナに負けず大躍進
・SEMITEC<6626>
コロナショックによる損失を一気に挽回した銘柄が印象に残りました。それが、光・温度センサー類のメーカーであるSEMITEC<6626>です。
日経平均株価が17,000円台だった4月下旬の時点で中国株がすでに回復していたので、いずれ日本株も回復するだろうと思って見ていました。
そんな中で、コロナ禍でも省人化の潮流が変わることはなく、省人化に欠かせないセンサー類は引き続き成長するだろうと考えて、個人的に注目していたのがSEMITECでした。同社が手がける光センサーは、人の目の代わりとなる機械です。
4月下旬に2,030円台で購入し、8月下旬に4,000円台で売却。2倍の成果です。ただ、現在は6,000円に迫る勢いなので、もう少し強気の見通しでもよかったかなと若干後悔しております。
山口 伸(研究職の個人投資家)
・BASE<4477>
コロナ禍で大躍進したのは、「ネットショップを30秒、しかも無料で開設」を売りにしたECプラットフォーム運営のBASE<4477>。コロナショック下の3月には774円の安値をつけましたが、その後は一気に株価を伸ばし、10月には17,240円の高値をつけます。実に、22倍以上の上昇となりました。
新興市場のコロナラリーを代表する銘柄であり、マクアケ<4479>とともに巣ごもり関連の主力ネット株として投資家の注目を集めました。
「米国株? 今は日本株でしょ!」とマザーズ市場への個人投資家のかってない熱量を目の当たりに感じた2020年。その中でも最も目を離せなかった銘柄です。
岡田禎子(ファイナンシャル・プランナー)
・チェンジ<3962>
今年の株式相場を代表する象徴的な銘柄として、トヨタと並んで取り上げたいのが、チェンジ<3962>です。ふるさと納税サイトの運営のほか、自治体や企業のテレワークやデジタル変革(DX)を支援しています。
年初の株価は1,430円で始まり、コロナの感染拡大でテレワーク関連として買われていきました。その後、9月に菅政権が発足して、デジタル庁の設立など国策としてデジタル変革がテーマになる中で、株価は上昇の勢いを増し、一時は12,780円の高値を付けました。
まさにコロナで市場からの評価が大きく〝チェンジ〟した銘柄として、この先も記憶に残りそうです。 グロース株の上昇が話題となった2020年の投資家心理をよく表しているチャートではないでしょうか。
佐々木達也(元・証券アナリスト)