2023年の株式市場はどうなる? 注目のテーマ・イベントから「上がる株」を考える

岡田禎子
2022年12月26日 17時00分

2023年の株式市場はどうなる?

2022年の株式相場はアメリカの金利や世界的なインフレに降り回された一年でした。

1月の金利上昇によるアメリカ株急落に始まり、サマーラリーで盛り返したと思えば、9月にはしっぺ返しの下落。12月に入ると年末ラリーと思いきや、FRBパウエル議長のタカ派姿勢を受けて株価は再び大きく下落──。

2023年も、世界的な物価高や景気悪化の影響で株式相場は上がったり下がったりの乱高下が続くと予想されています。

一筋縄ではいきそうもない相場に立ち向かうには、相場の大きな流れと今後どのような投資テーマが注目されるのか事前に予測することが不可欠。来たる2023年はどんな相場になるのか。そして、その相場で輝きを放つのは、どんな銘柄でしょうか。

逆業績相場入りからの、金融相場へ?

世界的な物価高が続く中、インフレを抑制しようと米FRBが政策金利の引き上げを進めています。

2023年はこの利上げの影響が実体経済に悪影響を及ぼすと見られ、世界景気の悪化が懸念されています。特に年明け1月からはアメリカ企業の決算発表が相次ぐため、その内容によって景気悪化がますます意識されるでしょう。

相場サイクルでいえば「逆業績相場」入りとなり、株価的では一段下の下落相場となります。

しかしながら、足元ではインフレもピークアウトの兆しが見られています。そこで、2023年半ばにはインフレも落ち着き、FRBは利上げの打ち止めに転じて、年の後半から2024年には利下げが実施され、「金融相場」になって株式相場は本格的な上昇に向かう……というのが大方のメインシナリオです。

その一方でリスクシナリオとしては、高インフレ・高金利が継続するとすれば、逆業績相場が一段と深くなり、株価もさらに落ち込む……という展開をたどる可能性もあります。

日本の株式市場はアメリカ市場の影響を免れることはできません。経済再開やインバウンド受け入れが本格化するため欧米に比べて日本は相対的に優位、という声もありますが、世界的な景気悪化となるなら日本経済だけが安定を維持することは難しいのではないでしょうか。

2023年も、アメリカの金利とインフレの動向に常に目を光らせておく必要がありそうです。

2023年に注目したい投資テーマ

そんな2023年に注目したい投資テーマには、どんなものがあるでしょうか。

まずは経済再開(リ・オープン)銘柄が挙げられます。コロナ禍からの規制緩和によって人の流れが回復し、その恩恵を受ける企業は2023年も業績好調が続くと期待されています。具体的には、ANAホールディングス<9202>やJR各社、旅行関連株、外食、サービスなどが該当しそうです。

また、中国はデモ拡大の影響もあってゼロコロナ政策の大幅緩和を発表しました。中国の経済再開は日本株に追い風になると考えられ、中国で小売・外食・サービス・日用品を扱う企業や高島屋<8233>など百貨店や、資生堂<4911>などのインバウンド関連株への期待も大きく高まっています。

また「国策に売りなし」の相場格言に従って、国の政策に関連した銘柄にも注目です。

なかでもDX・医療関連銘柄に熱い注目が集まっています。ビジネスの現場に押し寄せたDXの波は、コロナ禍で前倒し的に加速していますが、特に成長余地が巨大と見られているのが医療関連です。政府も、いわゆる「骨太の方針」の中で、医療DXを強力に推進することを明確に打ち出しています。

このテーマでは、医療従事者向け医療サイトを運営するケアネット<2150>や医療ヘルスケア分野の人材採用システムのメドレー<4480>、イメージワン<2667>などが代表的な銘柄です。

さらに岸田総理は「人への投資」を経済対策の柱のひとつに掲げています。企業の生産性向上に欠かせないデジタル領域でのリスキリング支援に5年で1兆円を投じる計画を表明し、市場拡大へ期待が集まっています。関連銘柄としては、社会人向け教育サービスのインソース<6200>などがあります。

カレンダー投資で相場を先読みする

2023年にはいくつかの重要イベントが予定されています。そこから、今後人気になりそうな投資テーマと注目される銘柄を考えてみましょう。

【4月】黒田日銀総裁の任期満了

日本銀行の黒田東彦総裁は2023年4月に任期満了を迎えます。次期総裁候補には、雨宮正佳副総裁や中曽宏氏(前・副総裁、現・大和総研理事長)などが有力視されていますが、いずれにせよ、アフター黒田銘柄が重要テーマに浮上しそうです。

ポイントとなるのは、「日銀の金融緩和政策は出口に向かうのか?」です。

12月20日、日銀は突然、緩和策の一部修正を決定。長期金利の変動幅の上限を、これまでの0.25%から0.5%に引き上げました。この方針転換は、マーケットでは事実上の「金融引き締め」にあたると受け止められ、円高・ドル安が加速、株式市場も大幅に値下がりしました。

黒田総裁は今回の措置について「利上げではない」と述べましたが、次期総裁が意図する選択肢を取れやすい形でバトンタッチするための地ならし、とも考えられます。もし、日銀が金融政策の正常化に向かうとすれば、利上げによる利ザヤ拡大が期待される銀行株には追い風となります。

【5月】G7広島サミット

2023年5月19日〜21日の日程で、G7サミット(主要7ケ国首脳会合)が広島で開催されます。

広島・岡山などで食品スーパーを展開するハローズ<2742>や、グループ子会社が広島お好み焼き店などを展開するイズミ<8273>といった広島関連銘柄のほかにも、警備関連銘柄や、インバウンド需要が見込まれることから阪急阪神ホールディングス<9042>や広島鉄道<9033>などの鉄道・レジャー関連に注目が集まります。

またサミットでは、その開催に合わせて環境関連銘柄が人気化しやすいことで知られています。サミットに関する報道などが増えるにつれて注目が集まるでしょう。

【9月】ラグビーワールドカップ2023フランス

2023年9月8日〜10月28日には、ラグビーワールドカップ2023年フランス大会が開かれます。

2019年大会での日本代表の快進撃も記憶に新しいところ。関連銘柄としては、選手の所属企業やオフィシャルサプライヤーの大正製薬ホールディングス<4581>、また、ミズノ<8022>やアシックス<7936>のスポーツ用品企業、公式ユニフォームを手がけるゴールドウイン<8111>などが注目されそうです。

英国風パブを展開するハブ<3030>は、過去のラグビーやサッカーのワールドカップにおいて、日本チームの勝敗次第で株価が乱高下した銘柄。今回も、ピッチ外でのもうひとつの“熱い戦い”を見せてくれるかもしれません。ぜひ、押さえておきたい銘柄です。

【10月】インボイス制度スタート

2023年10月からインボイス制度が実施されます。インボイス制度とは、「仕入れ額控除」を受けるためには「適格請求書(インボイス)」が必要という新たなルール。制度に対応した請求・会計などの経理業務全般のデジタル化が広がると見られ、システムの需要拡大につながるとの期待が高まっています。

経費精算サービス「楽々精算」を展開するラクス<3923>や「奉行シリーズ」のオービックビジネスコンサルタント<4733>など、法人向けシステムを手がける企業に関心が高まりそうです。

2023年は内需グロース株がアツい?

2023年も、金利やインフレの動向次第という不安定な相場が続きそうです。ただ、株式相場が米FRBの姿勢転換を織り込み始めれば、その後やってくる上昇相場への期待から、先行してグロース株(成長株)が選好される可能性があります。

特に、海外要因に左右されない内需グロース株の動きに注目したいところです。ただし、今期増益予想であるなど、個別の分析と選別が重要なのは言うまでもありません。

2023年にはどんな展開が待っているのか。実際のところは、年が明けてみないことには誰にもわかりません。それでも、すでにわかっていることを整理し、事前の予測を立てておくことで、思わぬ事態にも柔軟に対応できるようになります。2023年の投資に、ぜひ参考にしてください。

[執筆者]岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
最新記事
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格など投資の最終決定は、ご自身のご判断で行っていただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証するものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等にはお答えいたしかねますので、予めご了承くださいますようお願い申し上げます。また、本コンテンツの記載内容は予告なく変更することがあります。
お知らせ
» NTTドコモのマネーポータルサイト「dメニューマネー」に記事を提供しています。
dメニューマネー
» 国際的ニュース週刊誌「Newsweek(ニューズウィーク)」日本版ウェブサイトに記事を提供しています。
ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
» ニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」に配信中。「経済」「マネー」「株・投資」ジャンルから、かぶまどをチェック!
SmartNews(スマートニュース)
銘柄選びの教科書
トヨタを買って大丈夫?