2021年の相場はどうなる? 牛がつまずいても利益を出せる人になるために
干支で読む、2021年の株式相場
もうーいーくつ寝ーるーとー♪ と暢気に歌ってもいられない2020年の師走。いかがお過ごしでしょうか。年が明けたらコロナは、そして東京オリンピックは、一体どうなるのか……。そしてもちろん、2021年の株式相場の行方も大いに気になるところです。
相場には「アノマリー(Anomaly)」と呼ばれる〝法則のようなもの〟がたくさんありますが、日本ではこんな干支アノマリーも知られています。
辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)はつまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる
これによると「丑はつまずき」。つまり丑年(うしどし)の2021年の株式市場はなんだかいや~な予感がしますが、それは本当でしょうか? とはいえ未来を予測することは不可能なので、ここでは過去の丑年を振り返ることで、来たる令和3年を思い描いてみたいと思います。
2009年(平成21年)──リーマンショックの翌年
【2009年の日経平均株価の推移】
- 年始の始値=8,991.21円
- 年末の終値=10546,44円 +1,555.23円(+17.3%)
このチャートだけを見ると順調な右肩上がりのようにも見えますが、実は、この前年に思いっきり「つまずいて」います。
前年の2008年9月15日、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻しました。「リーマンショック」です。この年の年始の始値は15,155.73円。それから2年経って、概ね右肩上がりで終わった2009年の年末の終値が10546,44円であることを見ると、まだまだ回復は道半ばと言えます。
【2009年の新語・流行語大賞】
- 政権交代
リーマンショックによる経済危機で国民も変化を求めたのか、8月の総選挙で自民党が大敗、鳩山由紀夫首相による民主党内閣が発足しました。他の流行語を見ると「派遣切り」などリーマンショックの余波が続く厳しい世相が垣間見えます。
ちなみに、この年には「新型インフルエンザ」もエントリーされているのですが、いまコロナ禍にして思うとレベルが全く違いますね……。
1997年(平成9年)──失われた20年の序盤戦
【1997年の日経平均株価の推移】
- 年始の始値=19364.24円
- 年末の終値=15258.74円 −4,105.5円(−21.2%)
この3年前あたりから「失われた20年」と言われる時代がスタートしています。5月には2万円を超えるも、その後はずるずると右肩下がり。年始の始値から見ればマイナス20%の下落となり、「つまずいている」と言えそうです。
【1997年の新語・流行語大賞】
- 失楽園
大人世代の不倫を描いた渡辺淳一先生の小説「失楽園」は、なんと日本経済新聞の連載でした。お堅そうな日経さんですが、いやいや、なかなかお好きなようで……。
そして、この年の4月から消費税が3%から5%に上がりました。24年前は消費税が半分だったんですね(遠い目)。
1985年(昭和60年)──バブル前夜
【1985年の日経平均株価の推移】
- 年始の終値=11558.06円
- 年末の終値=13,083.18円 +1,525.12円(+13.2%)
小幅ながら概ね右肩上がり。とりあえず、つまずき感は見えません。
【1985年の新語・流行語大賞】
金賞受賞は「分衆」。私的にはハテ……?なのですが、博報堂生活総合研究所の社長さんが編み出した言葉だそう。日本人の価値感が多様化・個性化・分散化し、従来の「大衆」ではなく「分衆」になった、ということだそうです。バブル前夜の国民の強気な姿勢、追い風も感じられる言葉です。
なお、他の受賞語には「NTT」も。そうそう、日本電信電話<9432>はこの年に民営化されたのでした。
1973年(昭和48年)──丑つまずく
【1973年の日経平均株価の推移】
- 年始の終値=5232.86円
- 年末の終値=4306.80円 −926.06円(−17.7%)
前年の1972年が、株価がおよそ倍になるという、まさに「子(ね)は繁栄」の一年だったのですが、1973年は右肩下がりと、こちらもアノマリーどおりになっています。ようやくアノマリーにはまってくれて気持ちいいですが、まさか、丑がつまずいたのはこの年なのでは……
【1973年はこんな年】
この年の2月に為替レートが1ドル=308円の固定相場制から、変動相場制に移行しました。スタートは1ドル=277円。
ついでに言うと、日本では出生率がピークとなり、この年に生まれた人は209万人。2020年で47歳になった方々で、いわゆる「団塊ジュニア」と呼ばれる人々です。ちなみに、2019年の出生人数は86.4万人で、およそ4割まで減少。そりゃ高齢化社会にもなるわけです。
1961年(昭和36年)──岩戸景気の最終盤
【1961年の日経平均株価の推移】
- 年始の終値:1,366.74円
- 年末の終値:1,432.60円 +65.86円(+4.82%)
戦後の高度成長期の中でも特に長く続いた「岩戸景気」(1958年7月~1961年12月)の最終年。年末と年始の数値を比較すると「微増」程度なのですが、チャートを見ると、7月に向けて右肩上がりに伸ばすものの、10月には年始始値を割り込むまで下落。「つまずいている」と言えるかも?
【1961年はこんな年】
世界に目を向けると、東ドイツが東西ベルリンの境界線を閉鎖、のちにここが「ベルリンの壁」となりました。アメリカではジョン・F・ケネディが大統領に就任しています。
つまずかない丑も結構多い
リーマンショックから回復途上の2009年、後半からずるずる下がる1997年、案外右肩上がりの1985年、前年から一気につまずいた1973年、行ったり来たりで落ち着きのない1961年……と、過去の丑年を振り返ると、総じて「つまずく」とまとめるにはとても無理があることよくがわかります。
じゃあ一体、2021年はどうなるんだ?という話ですが、結局、相場の未来なんて誰にもわからないのです。過去には〝法則〟と呼べる実績があったとしても、時代の移り変わりとともに、その効力が失われていくのは当然と言えるでしょう。
長年にわたって利益を積み重ねる投資家・トレーダーは、どんな時代にも通用する本質的な考えを身につけているからこそ、安定して利益を出し続けられるのです。2021年こそ、たとえ相場がつまずいても自分は軽やかに階段を上っていけるような、そんな力を身につけたいですね。