その株、いつ買えばいいの? 一年で最も上がる日・下がる日からわかったこと
株価が上がる日・下がる日はいつ?
株をやっていて最も頭を使うのが「どの株を買えばいいのか?」ということですが、あーでもないこーでもないと考えて、「よし、これを買おう!」と決意したところで、次にブチ当たるのが「いつ買えばいいの?」という難問です。
そんなときに参考になるかもしれない面白いデータがあります。それが、1年366日の日経平均株価の「騰落率」です。
騰落率とは、終戦の混乱を超え、東京証券取引所が再開された1949年5月16日から現在までの、毎日の日経平均株価の日付別の上昇確率を計算したもの。平たく言えば、「この日付の日経平均株価は前日より上がったか下がったか」を1949年から累計したデータです。
1949年から築かれた約70年分のデータ。当然ですが、株式市場がお休みとなる祝日や、土・日にあたる日はデータが加算されません。そのため、70年分フルカウントという日付はなく、おおよそ55年分ぐらいのデータがたまっている日が多いようです。
それでも、約55年の実績は貴重です。そこからは何らかの「傾向」も読めるのでは……?ということで、月ごとに「最も上がった日(つまり、買いの日)」と「最も下がった日(つまり、売りの日)」を見てみましょう。
最も上がる日・下がる日は、ここだ!
日経平均株価の騰落率は「日経プロフィル」というサイトの中で「騰落率カレンダー」として掲載されています。このサイトは、日経平均株価をはじめ、日本経済新聞社が算出する様々な指数に関するデータが紹介されていて、とても興味深いです。
騰落率は毎日、夜の19時頃に更新されます(本記事の騰落率は2021年3月1日現在のもの)。それぞれの日付において、株価が前日より上がった場合を「勝ち」、前日より下がった場合を「負け」として、その勝率(上昇する確率)が算出されています。
それでは、各月の騰落率の上位と下位の日付を見てみましょう。つまり、「最も上がりやすい日」と「最も下がりやすい日」は以下のようになっています。
・4月の騰落率
- 最も上がりやすい日=18日……63.64%(35勝20負0分)
- 最も下がりやすい日=20日……43.64%(24勝31負0分)
・5月の騰落率
- 最も上がりやすい日=4日……76.67%(23勝7負0分)
- 最も下がりやすい日=14日……37.50%(21勝35負0分)
・6月の騰落率
- 最も上がりやすい日=30日……70.18%(40勝17負0分)
- 最も下がりやすい日=6日……37.93%(22勝36負0分)
・7月の騰落率
- 最も上がりやすい日=1日……67.86%(38勝18負0分)
- 最も下がりやすい日=22日……33.93%(19勝37負0分)
・8月の騰落率
- 最も上がりやすい日=11日……64.81%(35勝19負0分)
- 最も下がりやすい日=6日……39.66%(23勝35負0分)
・9月の騰落率
- 最も上がりやすい日=13日……66.07%(37勝19負0分)
- 最も下がりやすい日=4日……33.33%(19勝38負0分)
・10月の騰落率
- 最も上がりやすい日=6日……64.91%(37勝20負0分)
- 最も下がりやすい日=22日……40.35%(23勝34負0分)
・11月の騰落率
- 最も上がりやすい日=22日……68.42%(39勝18負0分)
- 最も下がりやすい日=7日……32.76%(19勝39負0分)
・12月の騰落率
- 最も上がりやすい日=26日……72.41%(42勝16負0分)
- 最も下がりやすい日=10日……41.07%(23勝33負0分)
・1月の騰落率
- 最も上がりやすい日=14日……75.00%(39勝13負0分)
- 最も下がりやすい日=23日……46.55%(27勝31負0分)
・2月の騰落率
- 最も上がりやすい日=11日……80.00%(12勝3負0分)
- 最も下がりやすい日=21日……42.59%(23勝31負0分)
・3月の騰落率
- 最も上がりやすい日=15日……66.67%(36勝18負0分)
- 〃 =26日……66.67%(38勝19負0分)
- 最も下がりやすい日=16日……43.64%(24勝31負0分)
なぜ、その日に上がる・下がるのか?
各月の最も上がりやすい日を騰落率で分けると次のようになります
- 80%以上……2月
- 70%以上80%未満……1月、5月、6月、12月
- 60%以上70%未満……3月、4月、7月、8月、9月、10月、11月
- 50%以上60%未満……なし
騰落率が366日でトップ、実に80%を超えているのは「2月11日」。つまり、前日に買っておけば80%超の確率で株価が上がる「激アツな日」……に一瞬見えるのですが、ご承知のとおり、現在の2月11日は「建国記念の日」で祝日のため、株式市場はお休み。残念ながら「幻のアゲ日」となっています。
そして、第2位の「5月4日」も、現在は「みどりの日」なので株を買うことはできません。
どちらの日付も、戦後しばらくしてから祝日になったことでサンプル数が他の日付よりも少ないために、確率の数値が大きくなっている、という理由があります。同じような理由で、データとしての信頼性が他の日付よりも下がる場合は他にもあるので、注意が必要です。
次に、各月の最も下がりやすい日に注目します。
- 20%未満……なし
- 20%以上30%未満……なし
- 30%以上40%未満……5月、6月、7月、8月、9月、11月
- 40%以上50%未満……1月、2月、3月、4月、10月、12月
騰落率が30%未満は一日もなく、30〜50%の範囲内に12か月すべてが収まっています。いちばん下がりやすい要注意日は「11月7日」(32.76%)。どんなにイケる!と思っても、この日には買わないほうがいいのかもしれません(幸い2021年11月7日は日曜日でした)。
こうして見てみると、「下がりやすさ」よりも「上がりやすさ」のほうが傾向らしきものがありそうです。上がる確率が7割を超える、つまり、数字だけを単純に見れば「3回買えば2回は上がる」というアツい日が、1月、2月、5月、6月、12月にあることがわかります。
ただ、2月と5月は先ほどの理由(現在は祝日)から省くとして、それ以外の1月、6月、12月の「激アツな3日」は一体どんな日なのでしょうか。
・1月14日──愛と勇気と希望の日
騰落率=75.00%(39勝13負0分)
【この日、何の日?】
- 近年は「成人の日」になることもある(第2月曜日)
- 小正月(1月15日)の前日
- 愛と勇気と希望の日(1959年、南極で1年置き去りされたタロとジロの生存が確認された)
時期的なことを考えると、前月の12月は機関投資家がポジションを解消する時期でもあります。そして、年が明けてフレッシュになった相場で、一般的に1月自体が「上がりやすい月」と言われています。
〈過去の記事〉1月の株価はどうなる? ご祝儀相場で歴史的に急騰する銘柄とは
・6月30日──ハーフタイムデー
騰落率=70.18%(40勝17負0分)
【この日、何の日?】
- ハーフタイムデー(1年の半分が終わった日)
- アインシュタイン記念日(1905年、アインシュタインが相対性理論に関する最初の論文を提出)
時期的に6月と言えばボーナス! 配当、株主優待を目当てにした個人投資家の買いが入るため、株価が上がりやすいと言われています。さらに、6月末から7月にかけては株主総会ラッシュもはじまります。
〈過去の記事〉6月の株価はどうなる? 初のG20サミットと夏本番に向けて急騰する銘柄とは
・12月26日──クリスマスの翌日
騰落率=72.41%(42勝16負0分)
【この日、何の日?】
- クリスマスの翌日
- ボクシングデー(ゴングが鳴ったらボコボコに……という日ではなく、キリスト教に由来する欧米の休日)
1月14日と6月30日は「この日が株式的にどうだ」と言えるものは希薄だったのですが(特に1月14日は)、12月26日に関しては、ある程度はっきりと「上がりやすい理由」を見つけることができます。12月26日は「株主優待や配当の権利確定日になることの多い日」なのです。
年末の株式市場は原則として12月30日まで(土日と重なった場合は前営業日)。そして、「月末までの保有」で株主優待や配当がもらえる銘柄の場合、最終営業日の2営業日前が「権利付き最終日」となるため、この日までに株を買っておく必要があります。
なお、「権利付き最終日」は、以前は最終営業日の3営業日前でしたが、2019年からルールが変わり、2営業日前になりました。したがって、12月26日も以前はよく「権利付き最終日」になっていましたが、今後は最終日にならないことで、特に上がりやすくはならなくなるかもしれません。
〈過去の記事〉12月の株価はどうなる? 年末株高への期待とともに急騰する銘柄とは
株式市場の「パターン」とは?
日経平均株価の366日の騰落率を見れば、「上がりやすい日」「下がりやすい日」について何らかの法則が見えてくるのでは……と思ったのですが、データとして「上がりやすい日」「下がりやすい日」はあっても、どれも明確な理由は見いだせませんでした。
そうは言っても、日経さんがこのようなデータを公表しているということは、こうしたデータもある程度は参考になる、ということでしょう。また、株式市場には一定の「パターン」があると言われています。大体は合理的な理由がありまが、それも言ってみれば、あと付けの理由でしかありません。
ただ、理由はともかく「上がりやすい日」「下がりやすい日」を知っておくことは、株式市場で長く生き延びるための助けになってくれるかもしれません。