12月の株価はどうなる? 年末株高への期待とともに急騰する銘柄とは

岡田 禎子 2019/11/25 8:00

12月相場は年末株高がお約束?

12月は年末に向けて株高になりやすい月です。過去10年を見ても、月初と月末の日経平均株価を比較した勝率では7勝3敗と好成績です。

月の前半は、節税対策の売りやクリスマス休暇を控えて大型株は上値が重く、IPOのラッシュにより新興市場が盛り上がりやすくなります。後半は、大納会(年内取引最終日)に向けて個人投資家の動きが活発化して上昇しやすい傾向にあります。

クリスマス商戦や年末商戦、新年への期待感から相場が楽観視されやすいのも12月相場の特徴です。ただし、そんな中でも12月中旬の「メジャーSQ」による波乱相場には注意したいところです。

前半と後半で景色が変わる

前半と後半で景色が全く変わるのが12月の相場です。前半は株価が下落しやすく、後半は年末に向けて上がる、という2つの異なる景色を形成しやすい月と言えます。

前半は、個人投資家による節税対策の売りが出やすく、株価が下落しやすい傾向にあります。利益が出ている投資家が、含み損の銘柄を売却して損を確定することで、損益通算するのです。これにより、確定申告時の税金を減らすことができるからです。

中旬にやってくるメジャーSQ(先物取引などの決済期日)を通過すると、外国人投資家、国内機関投資家ともにクリスマス休暇入りとなり、薄商いとなります(「メジャーSQ」については後の項目で詳述)。

そして後半は、年末年始にかけて相場が強くなる傾向があります。薄商いの中、個人投資家主体の相場展開となり、個別のテーマ株など中小型株やIPOなどが中心となって動きが活発になります。

(Chart by TradingView

過去3年の12月の日経平均株価を見てみると、2016年は米トランプ政権への期待感や米FRBの1年ぶりとなる利上げも追い風となって月末高へ、2017年はトランプ大統領のロシアゲート疑惑により下落したものの、その後は切り返す展開と なりました。

2018年は、米中貿易摩擦の懸念が後退したことで上昇する場面もありましたが、FRBが利上げの継続方針を示したためアメリカ株が再急落となり、日経平均株価は7年ぶりとなる年間下落となりました。

師走の浮かれ気分にご用心

年末株高の傾向があると言っても、注意しなければいけない点もあります。気持ちがクリスマスやお正月にばかり向いていると、思わぬところで足をすくわれてしまうかもしれません。

メジャーSQ前は乱高下の予感

日経平均株価やTOPIXなどの株価指数を、あらかじめ決められた日に決められた価格で売買することを約束する「先物取引」や「オプション取引」は、個人投資家も多く手がけています。

これらの取引では、満期日までに反対売買を行わなければ、決済期日に清算価格で決済されることになりますが、この清算価格を「SQ(Special Quotation=特別清算指数)」と呼びます。

SQを算出する決済期日は、先物取引では3・6・9・12月の第2金曜日、オプション取引では毎月第2金曜日と決まっており、2つの決済期日が重なる3・6・9・12月の第2金曜日が「メジャーSQ」と呼ばれるのです。2019年最後のメジャーSQは12月13日です。

SQの値は、日経平均株価(日経225)構成銘柄の寄り付き価格(始値)で決まります。そのため期日が近づくにつれて、値を上げたい、あるいは下げたい、といった様々な思惑から、ヘッジファンドなど海外勢を中心に構成銘柄の売買が膨らみ、株価が乱高下しやすくなる傾向があります。

特に、金曜日にメジャーSQを控えた週は注意が必要です。2018年12月は、水・木の2日間で日経平均株価が667円高くなりましたが、金曜には441円安と急落しました。SQに向けたポジション一巡の影響が要因のひとつとされ、過去にもSQが相場の転換点となるケースが何度もありました。

IPOラッシュに漂う一抹の不安

12月は年間を通じてIPOが多い月です。IPOとは「Initial Public Offering」の略で、新規公開株式のことです。企業が資金を集めるために、株式市場に上場して一般の投資家に株式を売り出し、資金の調達を図ります。

投資家にとってIPOと言えばお宝株。初値で売った場合の勝率は8割を超えると言われ、2018年の初値上昇率(公開価格と初値の差)トップのHEROZ<4282>は、実に988.9%の上昇を記録しました。

2019年の12月も年末にかけて有望銘柄のIPOが続きます。しかしながら、2019年上半期にIPOした銘柄を見てみると、初値上昇率の平均は80.7%で、2018年の平均の104.9%に比べて値動きの低調さが目立ちます。

2018年末の超大型案件だったソフトバンク<9434>も上場直後から公開価格を下回り、多くの個人投資家が含み損を抱えたことは記憶に新しいところ。当選したからといってすぐには飛びつかず、個別のスペックを見極めて判断するようにしましょう。

サンタに願う今年プレゼントは?

クリスマスは、経済効果が7000億円とも言われる年内最大かつ最後の商業イベントです。多くの企業にとって一年のうちで最も重要な商戦となっており、株式市場でも注目を集めるイベントの一つとなっています。

クリスマス関連銘柄としては、まずは玩具メーカーやゲームメーカーなどがあります。加えて、プレゼント需要による売上増が期待される百貨店や、クリスマスケーキを扱う菓子メーカー、テーマパークなども挙げられます。

なかでもゲーム株は、米グーグルが11月19日、クラウドゲームサービス「Stadia(スタディア)」の提供を北米とヨーロッパで開始したこともあり、今後の市場拡大が期待されています(日本での展開時期は未定)。

クリスマス関連銘柄は、11月から12月のクリスマスにかけて上昇しやすい傾向があるのが特徴です。2018年12月は日本株が軟調な中、バンダイナムコホールディングス<7832>やオリエンタルランド<4661>が力強い上昇を見せました。

・バンダイナムコホールディングス<7832>

「ガンダム」「ドラゴンボール」など人気キャラクターを多数抱える玩具最大手のバンダイナムコホールディングス<7832>は、クリスマス関連の代表銘柄です。

2018年は、11月初めに4,000円台だった株価が、利益率の高いトイ・ホビー事業の好調によって中間決算が好結果となったことも追い風となり、12月末には4,950円の高値をつけるなど大きく上昇しました。

2019年の株価は、10月下旬に付けた最高値からは調整となっていましたが、クリスマス・年末商戦が意識され始める時期に入り、クラウドゲームの普及による業績拡大期待などもあって再浮上の動きを見せています。

(Chart by TradingView

2019年のクリスマスには、サンタクロースからどんな贈り物が届くのでしょうか?

[代表的なクリスマス関連銘柄]
  • 任天堂<7974>……「ニンテンドースイッチライト」「ポケットモンスターソード・シールド」に期待。
  • タカラトミー<7867>……老舗玩具メーカー。「トミカ」「プラレール」など定番に強い。
  • オリエンタルランド<4661>……「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」運営。
  • J.フロントリテイリング<3086>……百貨店「大丸松坂屋百貨店」運営。
  • 不二家<2211>……クリスマスケーキ特需に期待。

良い年越しを迎えるために

株式相場には、「物事の終わりに勢いを増す」という意味の、こんな格言があります。

掉尾の一振(とうびのいっしん)

年末の大納会(年内取引最終日)までの5営業日の間に株価が上昇する、というアノマリーでもあり、確度が高いことで知られています。年明け新年相場への期待感から買いが増えることや、年末に期末を迎える年金やファンドなどのお化粧買い(保有資産の評価を上げるための買い)が入る、といった理由が考えられます。

ただし、たしかに12月は月末に向けて株高となりやすい傾向にあるものの、2018年は12月25日に1,000円超の大幅下落を見せました。2019年も、米中貿易摩擦や香港情勢など様々な理由によってリスクが高まり、波乱相場となる可能性もあります。

年末だからと楽観的にならず、常に慎重な姿勢で相場と向き合うことが、無駄な損失を防ぎ、来たるべき利益をつかむためには何より大切です。


相場には確かにパターンがあるものの、必ずしもそのとおりにならないのが株の難しいところ。しかし、そんな中でも、「明日上がる銘柄」をしっかりと見抜き、利益を確実にものにしているプロのトレーダーたちがいることも、また事実です。

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2019/11/25
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[執筆者]岡田 禎子
岡田 禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

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