株価がどう動くかは誰にもわからない… だから株式投資は面白い!【株初心者のための13選】

かぶまど編集部
2024年2月16日 15時00分

《株価は好調、さらに新NISAのスタートで、新たに株式投資を始める人が増えています。そこで、株初心者にぜひ読んでほしい記事を、ベテランの個人投資家である岡田禎子さんがセレクト。株式投資の醍醐味と教訓がつまっています》

「株式投資の面白さが凝縮して描かれていて投資をやってみたい人の背中を押してくれる名作記事です」──岡田禎子

株式投資はなぜ面白い?

株式投資はなぜ面白いのでしょうか。お金を増やせるから? 働かずに収入を得られるから? もちろん、それらも理由のひとつでしょう。

でも、「株価がどう動くのかは誰にもわからない。だからこそ株式投資は面白い」とも言えるのではないでしょうか。株式投資の面白さについて、ちょっと変わった視点から考えてみたいと思います。

株価はあらゆる要因で変動する

株式投資をしている人なら、明日の株価がどのように変動するのか、気になるのは当然でしょう。

それは言うまでもなく、株価の変動具合で利益が出るのか、損失が出るのかが変わってくるからです。それゆえ株式投資に関わる多くの人が、未来の株価を予想しようとします。

重要な経済指標が発表されたとか、円安が進行しているとか、アメリカの経済政策が発表されたとか。株価の変動に影響すると言われるさまざまな要因についてアンテナを張りながら、株価がどちらに振れるのかを考えているわけです。

しかし、ここでひとつ、理解しておかなければならないことがあります。それは……

結局のところ、株価は思い通りには動かない

株価は思い通りには動かない

世の中には、株価の変動に影響を及ぼすとされる出来事がたくさんあります。しかし、その出来事が実際に起こったとしても、株価が必ず反応し、セオリー通りの動きを見せるとは限りません。

そもそも、株価はどうして変動するのでしょうか? 株価を動かすのは、企業の業績の良し悪しでもなければ、経済指標の数値や為替相場、アメリカや中国の動向でもなく、「人間の心理」です。

株価チャートの向こう側には、市場に参加している数多くの人がいます。そして、その時々の人々の心理が値動きとなって表れたものがチャートであり、もっと噛み砕いて表現するなら、「市場に参加している人々がどのように感じ、どのような売買判断をしたのか」が株価を変動させているのです。

人の心理は移ろいやすく、しかも、決して合理的とは言えません。同じ出来事に対する反応も、あるときはポジティブだったり、別のあるときはネガティブだったり。世界中からの市場参加者の集団心理ともなれば、あらゆる思惑が絡み合って、さらに複雑さを増します。

つまり、この先の集団心理がどう動くかは、誰にも予測することはできません。だからこそ、株価がどのように動くのかは、結局のところ誰にもわからないのです。

「怖さ」に打ち勝つ方法とは

そう断言されると、あるいは「株式投資って、やっぱり怖いものだ」と感じてしまうかもしれません。しかし、いたずらに怖がる必要はありません。

株式投資は、長期的に株式を保有する「投資」と、ある程度短期的に株式を売買する「トレード」の2つに大別することができます。

「トレード」を行う場合、リスク要素のひとつとなるのが売買による損失の発生です。仮に株価10,000円の株式を1株購入したとして、株価が9,000円に下落した場合、あなたならどうするでしょうか?

「この銘柄は勢いがあるから、必ず元の株価以上に戻るはずだ」
「このまま売却したら1,000円の損失になるから、株価が上がるまでこのまま様子を見よう」

もしもこのように考えているなら、そこに危険性があることは否定できません。その理由はほかでもなく、「株価がどのように動いていくかは誰にもわからない」から。もしかすると、株価は8,000円、7,000円と下落を続け、損失額がさらに大きくなるかもしれません。

過去には、大手携帯電話キャリアの株価が、ネットバブルによって100倍以上に沸騰したことがありました。しかし、ネットバブルが崩壊して、沸騰した株価は80分の1にまで下落したのです。上の例に合わせて考えれば、10,000円だった株価が125円程度まで下落したことになります。

「ほら、やっぱり怖いじゃないか」。そんな声が聞こえてきそうですが、大丈夫。たったひとつのことを守っていれば、大きな損失は避けられます。

損失額は自分で決められる

株式投資において大きな損失を避けるための方法、それは、「損切り」をするタイミングをルールとして決めておき、機械的に実行することです。

損切りとは、損失を抱えている状態で株式を売却し、損失を確定させること。「ロスカット」とも言われます。そして、損切りのルールを決めるということは、「株価がどれだけ下がったら損切りをするかをあらかじめ決めておく」ということを意味します。

たとえば、「購入したときの株価から5%下落したら損切りをする」と決めていたとしましょう。先ほどの株式なら、株価が10,000円から9,500円に下落したら、損切りをして損失を確定させるのです。損失は500円。あらかじめルールとしていたわけですから、この損失は想定内ということになります。

「損失額を自分で決められること」は、トレードにおいて最も重要なメリットのひとつであり、このメリットをうまく用いることで、損失額を最小限に抑えられる可能性があるのです。

正解のない永遠のパズル

株式投資では、先述したものも含めて、いくつかの方法でリスクをコントロールすることができます。株式投資は、未来の株価を当てるゲームでもなければ、単なるギャンブルでもありません。リスクをコントロールする方法を身につければ、資産運用の有効な手段のひとつになり得るのです。

株価がどう動くのかは誰にもわからないが、大きな損失が発生するリスクはコントロールできる

これが本質であるなら、株式投資は「正解のない永遠のパズル」のように楽しいもの、と言えるのではないでしょうか。

世界経済の変動にアンテナを張りながら投資する銘柄を選択する行為は、きっと知的好奇心を強く刺激するでしょう。時には損失が出ることもありますが、それを最小限にコントロールする方法がちゃんとあります。そして、うまくいけば売却益というご褒美が待っています。

「株式投資を知らないこと」こそがリスク

さらにうれしいことに、この「永遠のパズル」は自宅で心ゆくまで楽しむことができます。ひとたびその魅力に触れたら、あなたの探求心はどんどん膨らんでいくはずです。

正しい知識があれば、知的好奇心を刺激するパズルに参加でき、うまくいけば資産を増やせるかもしれない。ひょっとすると、これを知らないことが、人生のチャンスを逃す最大のリスクなのかもしれません。

(初出:2020年8月13日)

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[選]岡田禎子

証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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[執筆者]かぶまど編集部
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無防備なまま株式市場に参加して大切なお金をなくしてしまう人をひとりでも減らしたい──そんな思いから、未来の株価や相場を予測するのではなく、過去の事例やデータといった「普遍的な事実」に焦点を当てた記事を発信します。同時に、株初心者の方や、これから株を本気で始めようとしている方にもわかりやすい解説を心がけています。
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