株式投資で「絶対に損しない」たったひとつの方法

岡田禎子 2020/04/20

後悔は、先にも後にも立たない

「あのときこうしていれば……」という後悔は、誰にでも1つや2つあるものです。仕事でも、恋愛でも、もしもあのとき、別の選択をしていたなら……、別の扉を開けていたなら……、今の自分は違っていたのかも。

株式投資で後悔することのひとつは、「さっさと売っておけば、こんなに損をせずに済んだのに……(涙)」というもの。せっかく儲かると期待した株で損を出してしまい、ひとり激しく後悔するのです。

でも、相場では後悔する暇などありません。次の新しい銘柄が、あなたを待っています。

こうして株は〝塩漬け〟される

まずは、大きな損失を抱えてしまう典型的なパターンをご紹介しましょう。

ゲームが大好きなAさん。ゲーム会社Gが新しいスマホゲームをリリースすると知り、「これは絶対人気が出るに違いない」とG社株を1,000円で100株、10万円分購入しました。

G社は予定通りに新ゲームをリリース。Aさんの期待通り、株価は1,500円まで上昇します。この時点で5万円のプラス。うれしくてたまらないAさんは、「もっと上がるはず」と信じて、G社株を売らずに持ったままにしておきます。

株価が2,000円になれば10万円の儲けになるから、そのお金で家族で温泉でも行こうかな……と思っていた矢先、G社の株価が大きく下がり、900円になってしまいました。これで1万円のマイナス。たった1万円の損にもかかわらず、Aさんは大ショックを受けます。

しかし気持ちを切り替えたAさんは、「また上がるはず」と期待して、やはりG社株を持ったまま、売らないでおくことに決めました。

その後、G社株はしばらく小刻みに上下しましたが、結局そのままズルズルと下落していき、とうとう500円に。投資金額から半分になってしまいました。心底がっかりしたAさん。株価を見るのも嫌になり、G社株はそのまま「塩漬け株」となりました。

野菜や魚介類など腐敗しやすいものを食塩につけて長期保存する塩漬け。株の世界では、株価が下がっているのに売るに売れないまま長期で持つ状態を、この塩漬け状態に喩えます。株式投資において「やってはいけないこと」のひとつです。

なぜ人は損を抱えてしまうのか

2002年にノーベル経済学賞を受賞した心理学者で行動経済学者のダニエル・カーネマンが提唱した「プロスペクト理論」をご存じでしょうか。この理論が言っていることのひとつは、「人は、目の前に利益があると、それが減ることを回避しようとする」というものです。

先のAさんの場合、いったん利益が出ていたにもかかわらず、一転してマイナスになってしまいました。こういうとき、人は、最初からマイナスになった場合よりも不愉快を抱くそうです。

例えば、一度は決まっていた転職話が急に取り消しになったら……、好きな異性にプロポーズしてOKをもらえていたのに「やっぱり、ごめんなさい」と断られたら……。最初からNGだった場合よりも大きな心のダメージを受けることは理解できますよね。

そしてAさんのように、ぐずぐずと未練が残り、諦めきれずに引きずってしまいます。何とかして、当初得られていたはずの利益を取り戻したくて、損失が広がることには目をつぶり、そのまま株を持ち続けてしまいます。

そうこうしているうちに株価はさらに下がってしまい、もはやどうでもよくなって塩漬け株へ……。本来であれば、株価が下がれば下がるほど損は大きくなり、自分の大事なお金が減ってしまうはずなのに、だんだん損に対して鈍感になってしまうのです。

とくに株を始めた当初は、少しでも利益が出たことがうれしくて、マイナスに転じてからも「戻るはず」という期待から、なかなか株を手放すことができません。そうして塩漬け株だけが手元に残り、株式投資からも足が遠のいてしまいがちなのです。

本当に大切な「損切り」の話

人はかくも感情的な生き物で、なかなか損失を受け入れることができません。本来なら、期待外れで損が出た場合は、さっさと売却して損を確定してしまったほうが手持ち資金のダメージは少なくなります。さらにそれを他の株に回せば、お金を無駄なく上手に増やすことができるはずなのです。

損になった株はさっさと手放して損を確定する──これを「損切り」と言います。塩漬けとは対照的に、株式投資で「必ずやらなければいけないこと」のひとつです。

再びAさんにご登場願いましょう。AさんはG社株に10万円(株価1,000円×100株)の投資をしました。その後、株価は1,500円まで上昇しましたが、もっと上がることを期待したAさんは株を持ち続けます。しかし、その期待に反して株価は900円まで下落。

もしこのときAさんが損切りしていたら、どうなっていたでしょうか。

まず、100株すべてを900円で売却したら、手元に9万円が残ります。では、そのお金を別の株の投資にあててみましょう。例えば、株価900円のM社株を100株購入します。その株が10%上昇すれば、資金は9.9万円になります。元の10万円に近いところまで資金を戻せました。

一方で、株価が500円になるまで売る決心をできなかった場合はどうでしょうか。

ようやく500円で売却して残ったお金は5万円。元の10万円まで戻すには、株価が2倍になる株を見つける必要がありますが、それが至難の業であることは言うまでもないでしょう。それよりも10%上昇する株を探すほうが、ハードルはぐんと下がります(決して「簡単」とは言いませんが)。

絶対に損しないたったひとつの方法

要するに、ぐずぐず悩んでいるよりも、損になったら素早く損切りするほうが、気持ちの上でも、お金の上でも、ダメージが最小限ですむ、ということです。

ところが、頭ではわかっていても、なかなかそれを実行できないのが人間というもの。今の仕事をこのまま続けていても先は見えない……、ダメな相手とこのまま付き合っても望む未来は待っていない……。わかってはいるけれど、行動できないまま日々が過ぎてしまう。日常ではよくある風景です。

しかし、株式投資では「よくある」で済ませてはいけません。損切りできずにいることは、ただ損を大きくするだけでなく、利益を得る大切なチャンスを自ら失っていることなのです。

そこで、人はなかなか損切りできない生き物だと認めた上で、絶対に損切りできる方法を取ることが必要になりますが、実は、それはさほど難しいことではありません。機械的に損切りする仕組みを作ってしまえばいいのです。

例えば、「買った価格から10%下がったら損切りする」もしくは「〇万円損したら損切りをする」というように損切りラインを決めるのです。自らルール化することで、感情に流されず、機械的に、粛々と、損切りを行うことができるようになり、塩漬け株を増やすこともなくなります。

ここで重要なのは、投資する前に損切りライン決めてしまうことです。買った後で株価の動きを見ながら決めるのでは、ズルズルと損切りラインが下がってしまうのが目に見えています。

ルールを作っても自分は守れそうにない……という人には、さらにルールを徹底化するための便利な方法があります。株を購入した時点で「〇〇円以下になったら売却する」という売り注文を同時に入れておくのです。これは「逆指値注文」と言い、文字どおり、ルールを機械的に実行してくれます。

さっさと売って次に行く!

失敗した株は早めに損切りすることで、次のチャンスが巡ってきます。せっかく株式投資を始めたのに、塩漬け株を多く抱えるだけで、株の楽しさ・素晴らしさを知らないまま退場する人を多く見てきました。

でも、たとえ失敗したとしても、そこまでの様々な経験が何ひとつ無駄にならず、すべてを次に生かすことができるのが株式投資です。

しょっぱい想い出にはさようなら。さっさと見切って、次の新しいチャンスを探しに出かけましょう。

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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)【株窓アワード2019大賞】 →この執筆者の記事一覧へ

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