4月の株価はどうなる? 決算発表で上がる株と、みんな大好きソニー&半導体
《4月といえば桜、5月は新緑、6月は梅雨……と、月によって誰もが思い浮かべる共通のイメージがあるように、実は、株式投資にも「◎月といえば▲▲▲株」といったお決まりの銘柄があります。新年度が始まる4月恒例の上昇しやすい銘柄とは?【今月の株価はどうなる?2024】》
4月に上昇しやすい銘柄とは?
名実ともに新年度入りする4月の日本株は、年間を通じて株価が上昇しやすいことで知られています。新年度効果やアメリカの株高に加えて、海外投資家の買いが入りやすいことなどが、その理由です。
そんな4月相場で株価が上昇しやすいのは、どのような銘柄でしょうか。過去10年で、4月の勝率が高かった主な銘柄を調べてみました。
7勝3敗という成績だった日経平均株価よりも好成績を残した銘柄の顔ぶれを見ると、電気機器、スーパー、ゴム、建設、半導体関連などが並んでいます。
4月の決算発表で上がる株
このうち山洋電気<6516>は、「4月に上昇しやすい銘柄」として特にマーケットで広く知られています。通信機器用冷却ファン、電源、工作機械向けなど小型・精密サーボモーターが主軸の会社で、過去10年の4月の成績は、驚きの10連勝となっています。
前月比の騰落率を見ると、2021年4月は33.5%、2022年4月は13.9%、2023年4月は9.9%となっており、いずれも好成績です。
「春の山洋電気まつり」とでも言いたくなるようなこの株価上昇のポイントは、例年4月下旬に行われる3月期末の決算発表です。
決算発表で企業は、当期の成績と同時に新年度の業績見通しを発表します。一般的に、日本企業は保守的な見通しを出しがちなのですが、山洋電気は毎年、強気の見通しを出す会社として知られています。
例えば、過去の期初予想の営業増益率を見てみると、2024年3月期予想が23.7%、2023年が15.8%、2022年に至っては117%と、いずれも高い数字。
このことから、毎年4月になると「今年もまた良い数字を出してくるに違いない!」という期待が投資家たちの間で湧き起こり、恒例の「4月の株高」を演出しているのです。
4月は、2月期決算企業プラス3月期決算企業の決算が、続々と発表される月でもあります。企業の業績見通しの出し方には、強気だったり弱気だったり、それぞれ個性があります。過去はどうだったかをチェックして企業のクセを掴むと、投資のチャンスが広がります。
4月はアクティビスト銘柄にも注目
建設株も、4月に上がりやすい銘柄として知られています。実際、過去10年の好成績銘柄の中にも、ショーボンドホールディングス<1414>や奥村組<1833>、熊谷組<1861>が名を連ねています。
建設株は、業界的に期初予想を非常に低く出して、その後、上方修正を繰り返す性質があります。そのため、5月の本決算発表に向けて上方修正期待が高まりやすく、4月に株価が上昇しやすいのです。
さらに、もうひとつの投資ポイントがあります。それは、アクティビスト(物言う株主)の存在です。キャッシュリッチで低PERの建設株は、アクティビスト投資家も多く保有しています。
6月の株主総会に向けては、ゴールデンウィーク前が「株主提案」の提出期限となります。そのため4月は、「◎◎ファンドが〇〇社に株主還元(自社株買いや増配)や企業価値向上の施策を求める提案を提出」といった報道が出やすく、それら企業の株への買いを呼ぶのです。
アクティビストの活動が活性化するこの時期は、アクティビスト保有株に注目してみましょう。2024年は、東証のPBR改善要求の追い風もあって、アクティビストが日本企業への働きかけをさらに強めることになりそうです。つまり、いつもの4月以上の株価上昇が期待できるかもしれません。
ゴールデンウィークはテーマパークへGO!
ゴールデンウィークに向けて4月後半に買われやすくなる銘柄には、レジャー関連株や百貨店株もあります。2024年は最大で10連休(4月27日〜5月6日)という超大型になることから、一段と期待が膨らみます。
今年は春闘による平均賃上げが5%を超えたこともあり、内需関連株の物色が強まりそうな点も注目したいところです。
「4月の外国人買い」で上昇するのは?
4月相場といえば「4月の外国人買い」というアノマリーが有名です。
海外投資家の売買動向には季節性があり、例年、4月は「突出した買い」が見られます。これは、税還付効果などでアメリカ株が高くなることと、日本の機関投資家による新規マネーの流入を期待した買いが入ることなどが理由として挙げられます。
海外勢の買いが続くと、外国人持ち株比率が高い銘柄に投資家の注目が集まりやすくなります。もちろん、今後の成長性が見込めることが前提となりますが、特にソニーグループ<6758>など海外投資家が好んで選ぶ銘柄が注目されやすくなります。
半導体関連はもともと4月の銘柄だった
4月は、日経平均株価への寄与度(日経平均株価全体に対しての影響度)の高い半導体関連株にも注目したいところです。
実は、もともと4月の銘柄といえば半導体関連でした。中核のアドバンテスト<6857>は、過去10年の4月の勝敗が7勝3敗で、やはり強さを見せています。これには、アメリカの株高・外国人買いが反映されているといえます。
2022年と2023年は、半導体市況の軟化やアメリカの金利上昇で、さすがの半導体株も苦戦を強いられました。しかしながら、現在は在庫調整も完了し、生成AIブームに乗った米エヌビディアの急伸に連動するように、日本の半導体株も上げ足を強めています。
日経平均株価を引っ張っている半導体関連ですが、この4月も青天井となるか、それとも一旦調整するか。現在の世界のマーケットをリードするエヌビディア株の行方次第、ともいえます。
半導体関連株に大きな影響を与える企業の、4月の決算発表も注視しておきたいところです。オランダのASMLは18日、台湾のTSMCは19日、そして4月末には米GAFAMなどが予定されています。
4月の日本株はどう動く?
個別株に投資するには、相場全体の流れをしっかり掴んでおくことも大切です。
過去の相場から、4月の日本株は、初旬は上昇傾向が強く、下旬にかけてダレ気味となる傾向があります。基本的に、月の後半に向かってさらに上昇しやすい月ですが、相場の先行き不透明感が出た場合には利益確定の売りが出やすいのです。
またここ数年の4月は、日米の中央銀行の金融政策によって相場が変動しやすくなっています。2024年も、4月25〜26日に日銀の金融決定会合、4月30日〜5月1日には米FOMCが開催されます。
3月にマイナス金利が解除された日本では早期の追加利上げ、一方のアメリカには利下げへの期待があります。それぞれの会合結果によっては、株式と為替に大きな影響が出る可能性があります。
特に為替相場は、新年度の業績見通しにも大きな影響を与えます。もしも円高ドル安となれば、ただでさえ保守的な見通しを出しがちな日本企業では、その傾向がさらに強まる可能性があります。株価にはマイナス要因となり得るので、為替の動向にも注視したいところです。
4月に輝く銘柄を物色しよう
4月に株価が上昇しやすい銘柄をさまざまご紹介しました。過去のデータを見ていただくとわかるように、実際に4月に強さを見せている銘柄ばかりではありますが、「恒例」だからといって今年も「絶対」上昇するとは限りません。
とはいえ、株式投資は「美人投票」である以上(*)、「みんなが値上がりするだろうと思う株」を把握した上で、先読みして行動することはとても大切です。
大きなトレンドをしっかり見守りつつ、ここで紹介した「4月に輝きを放つ銘柄たち」を参考に、4月の物色を進めてみてください。