10月の株価はどうなる? クラッシュこそ絶好の買い場となる銘柄を探せ

岡田禎子
2024年10月1日 12時00分

《10月といえばハロウィン、11月は七五三、12月はクリスマス……と、月によって誰もが思い浮かべる共通のイメージがあるように、実は、株式投資にも「◎月といえば▲▲▲株」といったお決まりの銘柄があります。では、10月に恒例の上昇しやすい銘柄とは?【今月の株価はどうなる?2024】》

10月に上昇しやすい銘柄は?

10月は日米ともに株価が上昇しやすい月です。その一方で、10月は「クラッシュ月」という異名をとる月でもあり、1987年のブラックマンデーや2008年のリーマンショックののちに急落した過去もあるため、突発的な株価下落には注意したいところです。

そんな10月相場で株価が上昇しやすいのは、どのような銘柄でしょうか?

過去10年で、10月の勝率が高かった銘柄を調べてみました。6勝4敗というイマイチの成績だった日経平均株価よりも好成績を残した銘柄の顔ぶれをみると、住宅、電気機器、情報通信、食料品、機械、半導体などが並んでいます。

10月のアノマリーで上がる株

10月に強い銘柄として知られているのが、大和ハウス<1925>です。過去10年は、なんと10勝無敗。前月比の騰落率は2020年が+1.41%、2021年が+0.32%、2022年が+2.33%、2023年が2.79%で、いずれも好成績をマークしています。

この株価上昇のポイントとしては、中間決算の決算発表と10月特有の事情があげられます。

大和ハウスは3月期決算のため11月中旬に中間決算が発表されますが、同社は毎年、この中間決算で上方修正を出すことが多いのです。そこで、翌月に控えた中間決算に向けて、上方修正を期待した投資家の買いが10月のうちから入りやすい、というわけです。

今期も、第1四半期で通期の経常利益を3600億円から3900億円に上方修正し、売上営業利益率も7.7%から9.5%に改善するなど、好調を維持しています。中間決算での追加の上方修正にも期待が高まります。

アメリカ大統領選でも注目度アップ

さらに、秋のこの時期は住宅市場の繁忙期にあたるため、住宅関連銘柄が上昇しやすいという事情もあります。

特に今年は、利下げが実施されたアメリカで、住宅ローンの低下による住宅市場の活性化が期待されることや、大統領選では民主党ハリス候補が重点政策として住宅建設の促進を掲げていることもあって、例年の秋以上に住宅関連銘柄が注目を集めつつあります。

大和ハウスは、2017年にスタンレー・マーチン社、2020年にトゥルーマーク社、2021年にはキャッスルロック社と、次々にアメリカ企業を買収しており、全米トップ50エリアのうち22エリアに進出済みです。大統領選の行方とともに見守りたい銘柄だといえるでしょう。

国慶節の大移動で上がる株は?

中国の建国記念日にあたる「国慶節」。2024年は10月1日から7日までの7連休となります。この期間は中国全土で盛大な祝典が行われ、学校や企業も休暇となるために、多くの中国人が国内外問わず旅行に出かけます。

日本政府観光局(JNTO)によると、2023年10月の訪日外国人は251万6500人で、前年比+404%、コロナ前の2019年と比べても+0.8%と上回りました。このうち2023年の中国人は25万人で、処理水問題などがあった中でも多くの中国人が訪日しました。

2024年の国慶節には、はさらに多くの中国人が日本を訪れることが予想されます。

中国人観光客というと、いまだに「爆買い」「団体旅行」の代名詞で語られがちですが、実際には「(旅での)体験型」「個人旅行」へと、旅の成熟化が進んでいます。インバウンドも、これまでの「客数」の勝負から、高価格帯商品など「客単価」の上昇による売上増加へと変わってきているのです。

また、中国人観光客の特徴として、他国と比較して圧倒的に、化粧品・香水と家電製品を購入する傾向にあることは押さえておきたいポイントです。

このような現況から注目したい銘柄として、百貨店では高島屋<8233>、三越伊勢丹ホールディングス<3099>、実店舗にも力を入れるコスメ情報サイトのアイスタイル<3660>や、家電量販店のビックカメラ<3048>、化粧品の資生堂<4911>などが挙げられます。

ほかには、ドラッグストアではマツキヨココカラ&カンパニー<3088>、サンドラッグ<9989>、サツドラホールディングス<3544>、中国人に人気の漢方薬を手がけるツムラ<4540>や湿布薬「ロイヒつぼ膏」を展開するニチバン<4218>、「アレジオン」など目薬の参天製薬<4536>などでしょうか。

中間決算で上がる株を見極める

10月下旬から、3月期決算企業の中間決算の発表がスタートします。

中間決算の特徴として、通期の業績見通しを変える企業が多いことが挙げられます。特に、証券大手各社が発表した今年度(通期)の経常利益予想は7〜8%となっており、4期連続で過去最高を更新する見通しです。前回の6月からは1%程度の上方修正となっており、上振れ期待が高まります。

中間決算を見る際は、上方修正を「発表しそう」な銘柄や「発表した」銘柄に着目することがポイントになります。過去のパターンとして、第1四半期決算で会社計画に対して進捗率が高い銘柄や通期予想を上方修正した銘柄は、中間決算でもその勢いが弾んで上方修正を出すことが多いです。

例えば、第1四半期で経常利益の通期計画に対する進捗率が50%以上で、なおかつ過去5年平均をも上回っている高砂香料工業<4914>、Jパワー<9513>、リログループ<8876>、ゼリア新薬工業<4559>などは業績上振れの確度が高く期待したいところ。

他に第1四半期で上方修正した銘柄には、三栄コーポレーション<8119>、アドバンテスト<6857>、レック<7874>、三井金属<5706>、日本郵船<9101>、フジクラ<5803>、サンリオ<8136>などがあります。

さらに言うと、中間決算で上方修正を発表した企業は、本決算でも上方修正を発表するケースが多いので、少し長めの視点でも物色していきましょう。

10月の日経平均株価はどう動く?

個別株に投資するには、相場全体の流れもしっかり掴んでおきましょう。過去のチャートを確認すると、10月の日経平均株価は総じて右肩上がりの上昇傾向にあるものの、月末にかけては失速気味になりやすい、という特徴が見て取れます。

「魔の9月相場」は抜けたものの、クラッシュ月であることや、3月期決算企業の中間決算を控えて積極的には買いにくい、といった事情があるためです。

10月後半は米IT大手企業の7〜9月期の決算発表が始まります。好調な決算を受けて東京エレクトロン<8035>やレーザーテック<6920>など日本の半導体関連株などが本格始動するのかにも注目したいところです。

ただし、10月27日に衆議院議員選挙(いわゆる総選挙)が実施されることが発表されました。翌11月にはアメリカ大統領選挙も控えていますので、より慎重な姿勢が要求されます。

ハロウィン効果に期待

10月に株価が上昇しやすい株をご紹介しましたが、「恒例」だからといって今年も必ず上がるとは限りません。しかしながら、「クラッシュ月」として知られる10月相場であっても、むしろ「絶好の買い場」となる銘柄はあります。

また、10月末に株を買って翌4月末に売れば最も効率的にリターンを上げることができる、という「ハロウィン効果」というアノマリーもあります。中間決算で好業績銘柄をピックアップすれば、この効果をうまく使えるのかもしれません。

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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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