「強い銘柄」は本当に強かった! 毎月のアノマリーで上がった株から見えてくる共通点とは【今月の株価はどうなる?】

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2019年にスタートして今年で7年目に突入した人気連載「今月の株価はどうなる?」。
株式市場には月ごとの恒例イベントやお決まりパターンがあり、それに基づくアノマリー(経験則)で株価が上昇する「定番銘柄」もよく知られています。この連載では、ベテラン投資家や証券アナリストなどが、それぞれの視点から各月の「傾向と対策」を解説してきました。
2024年からは個別株を愛する個人投資家の岡田禎子さんが、過去10年の騰落率データをもとに実際にその月に株価が上昇している「●月に強い銘柄」をピックアップ。選ばれた銘柄の中には「10連勝」「9連勝」しているものも多く、アノマリーの手堅さがうかがえます。
ただ、過去は過去。その傾向が次も続くかどうかはわかりません。記事で取り上げた銘柄たちの株価は、一体どうだったのか──。筆者の岡田さんが2025年の“成績”を振り返り、アノマリーの有効性を検証します。
「強い銘柄」は本当に強かった
連載でお届けしている「今月の株価はどうなる?」。2025年も12か月を走り切りました。振り返ってみると、やはりアノマリーは裏切らない──そんな場面が多く見られた一年でした。一方で、決算発表を境に売られる銘柄もあり、思い通りにいかないのも株式市場です。
そこで、一年の値動きをたどりながら、その背景と今後に活かせるヒントを整理したいと思います。まずは2025年の連載で取り上げた12銘柄について、前月終値との比較をもとに3段階の評価を行いました。
その結果、前月終値から上昇し、なおかつ終値も上回ったのは4銘柄、前月終値から上昇したものの終値は下がってしまったのが8銘柄、そして、前月終値よりも下落した(高値・終値ともに下回った)銘柄はありませんでした。
- ◎ 前月終値から上昇し、終値も高かった……4銘柄
- ○ 前月終値から上昇したが、終値は下落……8銘柄
- ✖️ 前月終値よりも高値・終値ともに下落……0銘柄
前月より株価が下がってしまった銘柄がなかったことに、筆者としてまずはひと安心です。また、各月の相場状況と銘柄の値動きを振り返ることで、終値では前月を下回ってしまった8銘柄の中には、弱さにつながる共通点も見えてきました。

・1月相場に強い銘柄:トランザクション<7818> ○
〈解説記事はこちら〉1月の株価はどうなる? 新春の波乱相場で上昇を期待したい銘柄とは
2025年相場は波乱の幕開け。それでも「推し活銘柄」は崩れませんでした。
トランザクション<7818>は推し活消費の代表的銘柄。14日に発表された第1四半期決算は経常利益3%増という無難な内容で、発表直後は利益確定の売りに押されました。しかし、その後は押し目買いで持ち直しました。
この月、相場は「DeepSeeK(ディープシーク)ショック」でAI関連株が総崩れとなり、全体として落ち着きを欠いたため、株価は伸び悩みました。それでも基調は崩れず、2月以降の上昇につながりました(以下の株価は分割調整後の数字です)。
- 12月終値:1,037円
- 1月高値:1,060円(+23円/+2.22%)↗
- 1月終値:967円(-70円/-6.75%)↘

・2月相場に強い銘柄:東和フードサービス<3329> ○
〈解説記事はこちら〉2月の株価はどうなる? 底堅い相場で期待されるのは高配当株と、それから…
「インバウンドは裏切らない」を地で行く展開となりました。
東和フードサービス<3329>は高級喫茶「椿屋珈琲」などを首都圏で直営展開する会社。春節需要と決算期待を背景に株価は上昇し、28日発表の第3四半期決算で増益と利益率の改善が確認されると一段高となりました。ただ、その後は“材料出尽くし”で調整しました。
相場は、トランプ関税の不透明感や半導体株安で方向感を欠き、物色は内需株へと向かいました。
- 1月終値:2,061円
- 2月高値:2,120円(+59円/+2.86%)↗
- 2月終値:2,052円(-9円/-0.44%)↘

・3月相場に強い銘柄:積水ハウス<1928> ○
〈解説記事はこちら〉3月の株価はどうなる? 人気の高配当株に最後の買いチャンスがやってくる
2025年の3月相場は、内需株の底力が際立った月でした。
積水ハウス<1928>はハウスメーカー大手で、国内外での不動産開発も手掛けています。6日発表の本決算は増益着地。当期(2026年1月期)についても5期連続の最高益と増配を発表し、株主還元姿勢の強さが改めて評価されました。
さらに、17日には土屋ホールディングス<1840>との資本業務提携を発表し、事業拡大への期待も加わって、株価は月末にかけて上昇基調を維持しました。
相場は、関税リスクや円高進行で輸出株が売られる展開でしたが、内需株が受け皿となりました。
- 2月終値:3,390円
- 3月高値:3,473円(+83円/+2.45%)↗
- 3月終値:3,340円(-50円/-1.47%)↘

・4月相場に強い銘柄:山洋電気<6516> ◎
〈解説記事はこちら〉4月の株価はどうなる? 海外からの追い風に乗って満開に盛り上がる銘柄とは
「やはり4月は強い」──2025年の4月相場は、その一言に尽きました。
山洋電気<6516>は通信機器冷却ファンなど小型・精密サーボモーターが主軸の会社。「4月に強い銘柄」として注目が集まるなか、株価は“じり高”で推移。迎えた25日の本決算は減益着地ながら会社予想を上回り、来期のV字回復見通しと増配が評価されて一段高となりました。
相場は、トランプ関税を巡る警戒で急落後に急反発するなど乱高下。それでも山洋電気はアノマリーと業績期待の両面で需給を集め、強い値動きを維持しました(以下の株価は分割調整後の数字)。
- 3月終値:3,113円
- 4月高値:3,326円(+213円/+6.84%)↗
- 4月終値:3,263円(+150円/+4.82%)↗

・5月相場に強い銘柄:寿スピリッツ<2222> ◎
〈解説記事はこちら〉5月の株価はどうなる? セルインメイに潜むチャンス! 夏へとつながる銘柄とは
2025年の5月相場は、インバウンド関連の強さが改めて確認された月でした。
寿スピリッツ<2222>は全国の銘菓を手掛けるお菓子メーカー。インバウンド銘柄の代表格です。大阪・関西万博や訪日客増加への期待を背景に、株価は上昇基調を維持。13日発表の本決算では経常利益11.5%増と堅調に着地し、来期の最高益見通しと増配を発表して評価がさらに高まりました。
その後は一時的に“材料出尽くし”で下げる場面もありましたが、押し目では買いが入り、株価は再び上昇。相場も関税懸念の後退でリスクオンとなり、需給を後押ししました。
- 4月終値:2,123円
- 5月高値:2,468.5円(+345.5円/+16.27%)↗
- 5月終値:2,332.5円(+209.5円/+9.87%)↗

・6月相場に強い銘柄:トランザクション<7818> ○
〈解説記事はこちら〉6月の株価はどうなる? 波乱に備えつつ最後のチャンスにつかみたい銘柄とは
2025年の6月相場は、流れが大きく変わった月でした。
1月に続いて登場のトランザクション<7818>。株価は業績再評価と増配期待を背景に前月後半から上昇していましたが、中旬以降に失速しました。半導体株への資金集中が進み、中小型株から資金が流出して利益確定の売りが優勢となったためです。
相場は、生成AI向け需要を背景に半導体株が急騰し、主役が完全にシフト。物色の変化が、そのままトランザクションの株価にも反映されました(以下の株価は分割調整後の数字)。
- 5月終値:1,229円
- 6月高値:1,290円(+61円/+4.96%)↗
- 6月終値:1,170円(-59円/-4.80%)↘

・7月相場に強い銘柄:セントラル硝子<4044> ◎
〈解説記事はこちら〉7月の株価はどうなる? いつもと違う夏枯れ相場で注目のホットな銘柄とは
7月から始まる夏相場。2025年は方向感に乏しい一方、個別物色の色が強まりました。
セントラル硝子<4044>は板ガラスメーカーとして国内3位。半導体材料や電池関連への期待、保守的な会社計画を背景に、翌月上旬の第1四半期決算に向けて株価は“じり高”。なお、決算は減益ながらも進捗率の高さが評価され、その後も底堅い動きが続きました。
相場は、関税強化による景気悪化懸念から一時下押しする場面もありましたが、23日の日米合意を受けて急騰しました。
- 6月終値:2,973円
- 7月高値:3,270円(+297円/+9.99%)↗
- 7月終値:3,270円(+297円/+9.99%)↗

・8月相場に強い銘柄:銚子丸<3075> ○
〈解説記事はこちら〉8月の株価はどうなる? 夏枯れなのに熱い!アノマリー×好業績で狙いたい銘柄とは
2025年の8月相場は、AI関連主導の「サマーラリー」が鮮明でした。
銚子丸<3075>は千葉を地盤に首都圏で郊外型の回転寿司店を直営展開。この月、日経平均株価を押し上げたのは半導体株でしたが、物色の裾野が広がる中で内需株にも循環的に資金が回り、買いが波及しました。前月の好決算から続いていた強い上昇基調を維持しました。
- 7月終値:1,570円
- 8月高値:1,628円(+58円/+3.69%)↗
- 8月終値:1,563円 (-7円/-0.45%)↘

・9月相場に強い銘柄:スバル興業<9632> ○
〈解説記事はこちら〉9月の株価はどうなる? 不安定な相場で起爆剤となってくれそうな銘柄とは
「好決算でも売られる」の典型例となりました。
スバル興業<9632>は、東宝<9602>系の道路メンテナンス公共工事が主力。8日発表の中間決算は経常利益11%増、進捗率も高く内容は良好で、株価は急伸します。ただ、その後は“材料出尽くし”感が広がり、中旬以降は下落基調となりました。
公共工事関連としての安定性は評価されたものの、相場の主役がAI関連大型株へ移る中で、株価は調整に転じることとなりました。
- 8月終値:3,500円
- 9月高値:3,745円(+245円/+7.00%)↗
- 9月終値:3,495円(-5円/-0.14%)↘

・10月相場で強い銘柄:大和ハウス工業<1925> ○
〈解説記事はこちら〉10月の株価はどうなる? 悪夢を乗り越え年末高へのプロローグを演じる銘柄とは
一度崩れた銘柄が「10月に強い」という意地で立て直しました。
大和ハウス工業<1925>は総合不動産・住宅メーカー。8月決算後の上昇から9月にかけて調整したものの、10月は200日移動平均線が意識されて反発。アメリカの金利上昇への懸念や大型株への資金シフトで売られた反動もあり、割安修正が進みました。
相場は高市首相選出による政策期待を背景に、日経平均株価が52,000円台まで急騰しました。
- 9月終値:5,320円
- 10月高値:5,413円(+93円/+1.75%)↗
- 10月終値:5,233円(-87円/-1.64%)↘

・11月相場で強い銘柄:TDK<6762> ○
〈解説記事はこちら〉11月の株価はどうなる? 年末高に向けて絶好の助走をつける銘柄とは
「決算で買われ、通過後に売られる」の典型的な動きでした。
TDK<6762>は、HDD用磁気ヘッドや2次電池などを展開する大手電子部品メーカー。前月末の中間決算は上方修正と増配を伴う好内容で、株価は急伸。ただ11月に入ると、電子部品・半導体株全体で利益確定の売りが広がり、下落基調に転じました。
業績の強さは揺るがなかったものの、好材料はすでに株価に織り込まれており、決算後は利益確定売りが先行して上値の重い展開となりました。
- 10月終値:2,673円
- 11月高値:2,757.5円(+84.5円/+3.16%)↗
- 11月終値:2,559.5円(-113.5円/-4.25%)↘

・12月相場に強い銘柄:MS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725> ◎
〈解説記事はこちら〉12月の株価はどうなる? “年末高”のアノマリーで上がる株と大型IPOを総点検
2025年の年末相場は、金利の動きに振られた1か月でした。
MS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725>は、「三井住友海上」や「あいおいニッセイ同和損保」「三井住友あいおい生命保険」などを傘下に持つ損害保険大手。
株価は、日銀の利上げ観測を背景に上昇基調を維持しましたが、中旬は様子見ムードや円高進行を受けて利益確定の売りが優勢となり、一時調整。その後は利上げ実施を受けて不透明感が後退し、再び買いが入り直す展開となりました。
金利上昇が追い風となる金融株らしく、相場環境に素直に反応する値動きを見せました。
- 11月終値:3,465円
- 12月高値:3,812円(+347円/+10.01%)↗
- 12月終値:3,683円(+218円/+6.29%)↗

弱かった銘柄の共通点
1か月を通しての値動きが弱かった銘柄としては、6月のトランザクション、9月のスバル興業、11月のTDKが挙げられます。いずれも業績そのものは堅調でしたので、弱さの要因は需給の影響が大きかったと考えられます。
共通しているのは、株価が上昇した後に買いのピークを迎え、その後は売りが優勢となった点です。その背景としては、①決算期待の先回り、②材料出尽くし、③相場の主役交代が挙げられます。とりわけ6月は半導体株への資金集中が顕著で、中小型株には逆風となりました。
つまり、アノマリーの失敗ではなくタイミングのズレが結果を分けた、と言っていいでしょう。
アノマリーが入り口になる3つの条件
こうして一年の成績を振り返ってみると、株式市場におけるアノマリーは2025年も有効に機能しました。どの銘柄も前月終値を上回る水準まで上昇する場面が見られ、全体として底堅さが意識される展開となりました。
とりわけ「今月はこの銘柄!」という認識が市場に共有されている場合、そこに決算期待が重なることで株価が動きやすい傾向が確認できました。
そうは言っても、株を売買するにはアノマリーだけ知っていれば十分、というわけではありません。
株価がしっかり上昇した銘柄は、「増益トレンド」「チャートの強さ」、そして「需給」がそろっていました。筆者も、銘柄選びではこの3つを重視しています。アノマリーを入り口に、これらの条件にはまった銘柄を選ぶことで、より確度の高い投資判断につながるはずです。









