1月の株価はどうなる? ご祝儀相場で歴史的に急騰する銘柄とは
まもなく2020年。東京オリンピック・パラリンピックを控えた新年の株価は、一体どうなるのか? いつ上がるのか、いつ下がるのか。それは誰にもわかりませんが、株式市場の「パターン」を理解しておくことは、何らかの手がかりになるかもしれません。さて、1月のパターンは──
歴史的に上昇しやすい1月相場
1949年以降の勝率は7割以上と、歴史を振り返ってみても、1月は一年を通じて最も強い月です。ただし、過去10年は6勝4敗と平均並みの成績に落ち着いています(※この勝ち負けは、月末の株価が月初と比べて、上がっていれば「勝ち」、下がっていれば「負け」)。
1月は海外ファンドの運用開始月でもあり、ポジション調整の売りに注意が必要です。特に大型株は年末の株価上昇の反動で売られやすく、その一方で、中小型株や新興株は個人投資家を中心に活況になりやすい傾向があります。
その他には、インフルエンザ関連銘柄やダボス会議にも注目が集まりそうです。
ご祝儀相場からの暗転に要注意
年明けの取引初日は「大発会(だいはっかい)」と呼ばれ、毎年、晴れ着姿の女性たちがニュースになります。おめでたい雰囲気そのままに、正月相場はいわゆる「ご祝儀相場」と言われるお祝い色が強く、新年への期待から日経平均株価は高く始まるのが恒例となっています。
また、海外のファンド勢は1月が運用開始月です。12月末の決算を終えたヘッジファンドが新年度入りするため、新規マネーの流入による株価上昇も期待できますが、近年は、ポジション調整の売りによって下落しやすい傾向も。特に初旬から中旬に相場のムードが一変することがあるため、注意が必要です。
下旬からは、3月期決算企業の第3四半期の決算発表がスタートします。ただ、本決算まで業績修正を行わない企業が多いこともあって、第3四半期はさほど重要視されません。投資家の目はすでに来期に向いており、決算プレーはあまり見られずに、来期の業績予想に基づいた展開がされやすくなります。
決算発表が終わるまでは機関投資家は動きにくいため、この時期の株式市場の主役は個人投資家となります。中小型株や新興株を中心に活発な取引が繰り広げられます。
過去3年の1月相場を振り返る
2017年は、大発会こそ大幅上昇と好調なスタートでしたが、米トランプ大統領の就任後は経済政策への先行き不透明感から株価は乱高下を繰り返しました。
2018年も、大発会は大幅に上昇しましたが、その後、24,000円台で揉み合ったものの、アメリカの長期金利の上昇懸念が台頭して下落していきました。
2019年は、1月2日に米アップルが売上高予想を下方修正したことによる「アップルショック」が発生。大発会の4日は急激な円高・ドル安で大荒れとなり、日経平均株価は12月末から2.26%下げる波乱の幕開けでした。しかし、アメリカの金融引き締め政策が終了するとの観測が高まったことから戻り歩調に。
(Chart by TradingView)
このように、正月相場で大きなイベントもなく材料も少ない中、ここ数年は海外のニュースが引き金となって株価が大きく動いています。2020年も、米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱(ブレグジット)などの動向を慎重に見守る必要があります。
「お年玉銘柄」はどこにある?
注目すべきは中小型株・新興株
1月の株式相場は個人投資家が主役。年末のうちに節税対策の売りを終えて、ボーナスも懐に入ったことだし、年末年始の休みには銘柄選びに勤しんで……という方も多いでしょう。実際、年が明けると潤沢な資金を活かして、中小型株や新興株を中心に活発な取引が行われる傾向にあります。
また、ヘッジファンドも12月末の決算を終えて、投資家に説明しやすい大型株から、知名度はさほどなくとも高成長が期待できる中小型・新興株などに投資資金を流入します。
その結果、1月は新興市場のパフォーマンスが一年を通して最も高くなる傾向にあります。
また、例年1月はIPO(新規株式公開)が途絶える端境期となるため(2019年は0件、2020年も0件予定)、直近のIPO銘柄が活躍する月となります。年末のIPOラッシュで埋もれた銘柄にも再び資金が入り、セカンダリー投資が活性化、値が飛びやすくなります。
ここでも大型株ではなく、東証2部やジャスダックに年末に上場した銘柄に注目すると面白いでしょう。
・田中建設工業<1450>
不動産会社からの元請方式を主体に、解体工事の前工程を請け負う田中建設工業<1450>。翌日にソフトバンク<9434>の上場を控えた2018年12月18日にジャスダックに新規上場し、公募価格2,400円を7.1%上回る2,800円で初値を付けます。
ただ、同日に上場したテクノスデータサイエンス・エンジニアリング<7046>の初値が、公募価格3,200円を87.5%も上回る6,000円と高成績だっただけに、同社の初値は資金分散の影響が見られる弱いIPO結果となりました。
しかし、1月8日に2,450円の底値をつけた後は、PER12倍という割安感から見直し買いが入り、月末には2,769円まで上昇しました。
(Chart by TradingView)
インフルエンザ対策はお早めに
毎年、冬季に流行するインフルエンザ。その感染力は高く、日本では毎年10人に1人が感染すると言われています。流行の始まりは11〜12月頃、ピークを迎えるのは1〜3月頃です(2019年は11月15日に厚生労働省が流行入りを宣言)。
インフルエンザが流行すると、株式相場でも毎年、関連銘柄が物色対象となります。特に新型インフルエンザが流行した場合には、その物色が強くなります。2009年には、大幸薬品<4574>の株価が約6倍になるなど急騰する銘柄が続出、その他の関連銘柄も幅広く買われました。
(Chart by TradingView)
本格的なシーズン到来を受けて、予防ワクチンや感染した際の抗インフルエンザ薬を手掛ける企業、感染防止のためのうがいや手洗い、マスク着用といった需要が拡大する期待から、それらの製品を取り扱う関連銘柄注目されます。
【代表的なインフルエンザ関連銘柄】
- 塩野義製薬<4507>……抗インフルエンザ新薬「ゾフルーザ」
- 中外製薬<4519>……インフルエンザ治療薬「タミフル」
- ダイワボウホールディングス<3107>……抗ウイルス不織布マスク「プロテクシード」
- 明治ホールディングス<2269>……殺菌・消毒効果「明治うがい薬」
株式市場も注目、ダボス会議
スイスに本部を置く民間団体、世界経済フォーラムが毎年1月にダボスで開催する年次総会が「ダボス会議」です。財界・政界・民間をはじめとする各国のリーダーが一堂に会して、世界が直面するグローバルな課題の解決に向けた議論がなされるとあって、近年、株式市場でも注目を集めています。
2020年は1月21日〜24日に開催予定です。50周年の節目となる今回のテーマは「持続可能な世界」。気候変動やその他の環境問題のほか、人工知能(AI)やIoTがもたらす第4次産業革命などが主要議題として挙げられています。
2018年には、米トランプ大統領の発言(「私は強いドルを見たい」や、条件付きでTPP復帰を検討する等)など、ダボスから届いた便りが株式市場のムードを一転させました。トランプ大統領は、2019年は出席を見送ったものの、2020年は今のところ出席予定で、その発言に再び注目が集まりそうです。
新年早々、腕が鳴るぜ
大発会が安い年は一年を通じて荒れやすい
日本では年明けの3日間、アメリカでは5日間が、その年の相場を決めると言われています。
いずれにせよ、1月は個人投資家が主役に躍り出る月。新興市場での空中戦に参戦する、第3四半期の決算内容から来期業績が期待できそうな銘柄を掘り当てる、急落局面では高配当利回り銘柄をすかさず拾う……など、さまざまに腕が鳴りそうです。
さてさて、2020年はどんな幕開けとなるでしょうか?