日経平均株価がバブル後高値を更新 当時と今で変わったこと・変わっていないこと

山口 伸 2020/12/21

《コロナショックで一時30%以上もの下落幅を記録した日経平均株価。その後は徐々に上昇を続け、11月に入ると、ついにバブル後の高値を更新しました。ただし、株価は同じでも中身は違います》

株価がバブル後高値を更新するまで

2020年の初めに23,000円台だった日経平均株価は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、3月に16,000円台まで下落しました。しかし、その後すぐに回復に転じます。

自動車の生産台数や失業率といった指標は、前年同期比では依然としてマイナスではあるものの、前月と比較すればマイナス幅が縮小している等の理由から、経済活動が回復しているとして、株価は上昇を続けました。

第1四半期決算で下方修正した業績予想を、第2四半期決算時に改めて上方修正する、といった企業も多く見られました。

そして、10月には日経平均株価が年初と同じ23,000円台まで戻り、11月にはワクチン開発に関連したニュースが好材料となって、29年ぶりに26,000円を突破します。

バブルってこんな時代

この26,000円という株価は、ちょうどバブル崩壊直前の1991年初めと同水準の株価です。当時は東北自動車道が全通し、青函トンネルや瀬戸大橋が開通するなどインフラ整備が進みました。1989年に「ゲームボーイ」、翌90年に「スーパーファミコン」が発売され、ゲーム人口が増えていきます。

また、現在は若者のスキー離れ、車離れという言葉が聞かれますが、当時はスキー人気によってリフトに乗るのに数時間待ちという状況も珍しくなかったほか、500万円以上の高級国産車・外国車が人気を集めました。

さらに、最新の大卒有効求人倍率はコロナの影響で1.5倍まで低下していますが、バブル当時は2.5倍を超え、企業側は学生を確保するために豪華な食事会や海外旅行を開催したそうです。ディスコブームも発生し、ボーナスで大金を手にした若者が夜の街に繰り出ました。

29年前に株価が26,000円台だったときは、とても活況に満ちた時代だったわけです。この直後にバブルは崩壊するのですが、それにしても、株価は同じでも時代背景はまったく違いますね。

日経平均株価の変化

29年の時を経て、日経平均株価を構成する225銘柄も大きく変化しました。

バブル崩壊後は毎年数社が入れ替わる程度でしたが、2000年4月には一気に30銘柄が入れ替えとなりました。実態との乖離を是正するために実施された入れ替えでしたが、前例のない規模であったことは確かです。

このとき除外されたのは、三井鉱山<1501>、住友石炭鉱業<1503>などの鉱業関連、東邦レーヨン<3403>、日本油脂<4403>、東洋ゴム工業<5105>などの素材・化学関連で、鉱工業関連銘柄の除外が目立ちます。

一方で、第一製薬<4505>、エーザイ<4523>、テルモ<4543>などのヘルスケア関連や、三菱自動車工業<7211>、富士重工業<7270>などの自動車メーカー、東海銀行<8321>などの地銀、といった銘柄群が採用されています。

旧型の産業からヘルスケアや金融にシフトする動きが見られます。当時のヘルスケア人気の背景には、医療技術の進歩や少子高齢化があったのかもしれません。

時代とともに変貌する日経平均株価

さらに2000年代に入ると、ソフトバンクグループ<9984>、ヤフー<4689>、ファーストリテイリング<9983>が採用。2015年以降は楽天<4755>、サイバーエージェント<4751>、ネクソン<3659>など、新しい産業に関連した企業の採用が目立ちます。

市場においてIT及びEC、ゲーム関連企業の重要性が高まってきたことがわかります。

また、セブンイレブン・ジャパン<8183>とイトーヨーカ堂<8264>の統合によってセブン&アイホールディングス<3382>が採用され、新日本石油<5001>と新日鉱ホールディングス<5016>の代わりにJXホールディングス<5020>が採用されるなど、従来型産業の統合が見られるのも2000年代の特徴です。

バブル期以降は鉱工業などの旧来型産業が除外され、IT・オンラインゲームといった新規産業やヘルスケア関連が採用されました。産業構造の変化とともに構成銘柄の新陳代謝も進んでいるのです。

多様化する株式市場

さらに、1991年時点の時価総額ランキングには、三菱銀行に第一勧業銀行、富士銀行、住友銀行……という具合に銀行が上位にずらりと並んでいましたが、現在では、トップ10に銀行の名前は見当たりません。バブル期は学生に人気の就職先でしたが、今は比較的不人気で、業界の厳しさがうかがえます。

当時の時価総額トップだったNTT(日本電信電話<9432>)は現在でも上位に位置していますが、その上に子会社のNTTドコモ<9437>が来ているというのも、時代の移り変わりを感じさせます(NTTのTOBによる完全子会社化に伴って、NTTドコモは今年12月25日で上場廃止予定)。

自動車や携帯電話、電気機器やヘルスケアなどが時価総額でも上位に位置しており、金融一辺倒だったバブル期よりも多様化が進んでいると言えるのではないでしょうか。

投資家も変化

企業だけでなく、投資家もまた大きく変化しました。上場株式を保有する個人投資家の数は、日経平均株価がピークの38,915円を迎えた1980年代後半には2500万人弱でしたが、2019年には5600万人を超えています。

増加の背景にはネットの普及があります。バブル当時はNTT株がわずか2か月で2.5倍に上昇するなど株式市場は熱狂しましたが、当時の株の買い方は電話や店頭での購入が主流で、値動きを把握するには新聞を読むしかありませんでした。

スマホでいつでもチャートを確認し、その場で注文できる現在と違って、忙しいビジネスマンが手を出すにはハードルが高かったと言えます。また、年金問題などから生じる資産運用意識の高まりや、単元株数の小口化も影響しているのではないでしょうか。

未来のトップ銘柄を探せ

バブル期はカネ余りによって投資が普及し、インドア・アウトドアともにレジャーが普及した時代でもありました。市場では銀行株が人気でしたが、バブル崩壊以降は産業構造の変化とともに、あらゆる点で多様化が進んでいます。

こうした変化は、この先もずっと続いていくことでしょう。日経平均株価はいずれ最高値(38,915円)を超えると思っていますが、そのときにはどんな銘柄が相場を牽引しているのか。IoTやESG、自動運転技術など気になる分野はたくさんあり、投資家としてはとても楽しみです。

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[執筆者]山口 伸
[やまぐち・しん]化学メーカー勤務の研究開発職。平日は研究に没頭するが、お金や資産運用にまつわる話が好きで、休日は資格を活かした副業と株式投資にいそしむ。趣味は街歩きと読書。
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