さらば平成! 波乱に満ちた30年の株式市場で最も大化けした銘柄とは

岡田 禎子 2019/04/08 8:00

いよいよ「平成」の時代が終わりを迎えます。平成の株式市場は、史上最高値で幕を開けたものの、その後はバブル崩壊から世界的な経済危機へと、厳しい状況が続きました。多くの退場者も生んだ30年でしたが、一方で、投資家に多大な恩恵をもたらした銘柄も誕生しています。

「大化け銘柄」で振り返る平成

1989年1月から始まった「平成」の時代。

この30年の間に、日本の株式相場ではどのようなことが起こり、市場はどう反応し、株価はどう動いたのでしょうか? また、どのような銘柄が投資家の注目を集めたのでしょうか?

時代を代表する「大化け銘柄」を交えながら、平成の株式相場を振り返ります。

・平成時代の日経平均株価の推移


(Chart by TradingView

バブルとその後始末に追われた10年

1989年1月7日。昭和天皇の崩御により、元号が「平成」に変わりました。

当時の株式相場は、不動産価格の上昇を背景としたバブル相場で、「円高、低金利、原油安」のトリプルメリットが株高を支えていました。

日経平均が史上最高値を記録

1987年のNTT日本電信電話<9432>)の上場によって、投資家だけでなく一般の人を巻き込んだ財テクブームが巻き起こり、「買えば必ず上がる!」とばかりに多くの企業や個人のマネーがこぞって株式市場に流れ込んできました。

日経平均株価の予想PERは60倍以上(株価収益率:一般的には15〜20倍が適正)、PBRは6倍(純資産倍率:1倍で定価)を超えるなど、説明不能な水準となり、平成元年末の大納会(12月29日)には38,915円87銭という史上最高値をマークしました。

バブル崩壊、63%超の大暴落

しかし、これが日本の株式市場の歴史的な大天井となります。平成2年(1990)の日本経済新聞の正月アンケートでは、「日経平均は年末に44,000円前後」が大方の予想でした。ところが株価は一転、下落の一途を辿ります。

きっかけとなったのは、大蔵省(現・財務省)と日本銀行による引き締め政策です。大蔵省は土地関連の融資を減らして不動産価格の抑制を狙った総量規制を同年3月に導入、日銀は前年5月から同年8月にかけて、2.5%から6%という急激な公定歩合の引き上げを行いました。

この政策により株や不動産の価格が下落し、バブルは崩壊。日経平均株価は平成元年末につけた最高値から、平成4年(1992)8月までに63%以上も下落したのです。

「失われた20年」の始まり

平成9年(1997)11月には、4大証券会社の一角を担っていた山一證券が破綻、翌10年(1998)には日本長期信用銀行日本債券信用銀行が相次いで経営破綻します。

バブル崩壊後に悪化していた景気は、これら金融危機が重なったことで一段と沈み、日本経済はデフレに突入します。これが、日本を長期的に苦しめる「失われた20年」の始まりでした。


(Chart by TradingView

【平成の大化け銘柄①】ファーストリテイリング<9983>

アパレル業界の革命児、「ユニクロ」の誕生はファッション業界の産業構造を塗り替えます。

平成10年(1998)、ユニクロ原宿店がオープン。運営するファーストリテイリング<9983>の株価は、同年6月につけた最安値から平成30年(2018)11月には230倍超にまで上昇しました(以下のチャートは株式分割後の株価で作成しています)。

ITバブルの到来と崩壊に踊る市場

日本がバブル崩壊の後遺症に喘いでいた頃、アメリカではITバブルが起こっていました。

当時のアメリカでは自動車産業が衰退し、コンピュータやインターネット関連企業の注目度が高まっていました。そんななか、マイクロソフト<MSFT>の「Windows95」が大ヒット。同社のピーク時の時価総額は6000億ドル(約60兆円)を超え、創始者のビル・ゲイツ氏は世界一の大富豪となります。

多くの企業が「第二のマイクロソフト」を目指してIT事業に参入し、その一方で、投資家は「第二のビル・ゲイツ」を目指してIT関連銘柄を買い漁ります。こうして株価はバブル化、「根拠なき熱狂へ」と突き進んだのです。

異常な高騰からの大暴落

アメリカのITバブルは当然、日本へも影響しました。

日本株の時価総額トップはNTTドコモ<9437>になり、ソフトバンクグループ<9984>はトヨタ自動車<7203>の時価総額を超え、ヤフー<4689>の株価は1株1億円を超えるなど、異常ともいえる高騰が起きます(注:当時のヤフーは売買単位〔単元〕が1株でした)。

OA機器や通信回線・機器の販売を手がける光通信<9435>は、ピーク時には1株24万円の高値をつけましたが、その後、携帯電話の架空契約による売上の水増しが発覚。マーケットの信用を失った結果、歴史的な20営業日連続ストップ安となります。

このことはIT関連銘柄全体に影響を及ぼし、こうして日本のITバブルは終焉を迎えました。


(Chart by TradingView

「物言う株主」の台頭

この頃の株式市場では、平成13年(2001)の銀行株式保有制限法の成立によって金融機関の持ち合い解消が進んだことで、投資ファンドによるM&Aや外国人投資家など「物言う投資家」の存在感が増していました。

その代表格である村上世彰氏の村上ファンドは、投資対象とした企業の株を購入して経営権への積極的な関与を行い、企業価値の向上を目指す投資手法で、東京スタイル(現・TSIホールディングス<3608>やニッポン放送、TBSなどを手がけて脚光を浴びました。

【平成の大化け銘柄②】ヤフー<4689>

平成12年(2000)1月、国内上場・店頭株で初の株価1億円の大台に乗せたヤフー<4689>。平成9年(1997)11月に公開した時の初値は200万円でしたので、わずか2年余りで50倍以上という急成長でした(以下のチャートは株式分割後の株価で作成しています)。

リーマンショックで世界的な経済危機に

平成15年(2003)に底割れした日本経済は、小泉政権の誕生によって、平成19年(2007)には18,000円台まで回復していました。しかし翌年、リーマンショックが起きます。世界の市場が混乱に陥り、日本の市場も大打撃を受けます。

当初、リーマンショックの元凶となった米サブプライムローンによる日本への影響は限定的だと言われていましたが、米ドルが極端に売られて急激な円高となったことで輸出企業が大ダメージを受け、一気に不況に陥ります。日経平均株価は、終値でバブル崩壊後最安値となる7,054円98銭をつけます。

追い打ちをかけるように、平成23年(2011)には東日本大震災に続いて福島第一原発事故が起き、翌年にはギリシャ危機に始まるヨーロッパの信用不安などで世界的な景気後退の見通しが極めて高まり、最悪の投資環境に陥ります。


(Chart by TradingView

【平成の大化け銘柄③】MonotaRO<3064>

工具・工場用品のネット販売を手がけるMonotaRO<3064>。「工場界のアマゾン」といわれる革新的なビジネスモデルで、株価は10年で100倍以上も上昇しました。


(Chart by TradingView

そして、アベノミクス相場へ

平成24年(2012)11月、当時の野田総理が衆院の解散総選挙を公約したことで、市場のムードが一変します。

期待感から株価は力強く上昇

真っ先に反応したのは外国人投資家。前年の年間の買い越し額をわずか6週間で上回るなど、猛烈な勢いで日本株を買いました。

同年12月に安倍政権が誕生すると、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」からなる経済政策「アベノミクス」を打ち出し、この期待感から、株価は力強い上昇に転じます。

3本の矢の一つである「大胆な金融政策」として、平成25年(2013)4月に日銀の黒田総裁が打ち出した金融緩和策は、物価上昇率2%をターゲットに長期国債やETF、REITの保有額を2年で2倍にするという大胆な方法で、「黒田バズーカ砲」と呼ばれました。

これにより、ドル円が1か月半で93円から103円にまで上昇するなど、加速度的に円安と株高がもたらされます。日経平均株価は約半年で15,000円台を回復し、その上昇率は8割に達しました。

相次ぐショックで退場者続出

その後の株式市場は、平成27年(2015)にチャイナショックが起き、翌年にはブレグジットトランプショックなどもあって、多くの個人投資家が退場を余儀なくされる厳しい展開となりました。

米トランプ政権誕生後は世界的な株高となり、日経平均株価は再び上昇基調に入ったものの、平成30年(2018)になって失速、年末の大暴落をもたらします。そんななか、平成最後となった大納会では日経平均株価が20,000円台を死守したのも記憶に新しいところです。


(Chart by TradingView

【平成の大化け銘柄④】ディップ<2379>

求人情報サイト「バイトルドットコム」を運営するディップ<2379>は、アベノミクスの成長戦略の一環として位置付けられる「働き方改革」関連の代表的な銘柄です。株価は80倍以上に上昇しました。


(Chart by TradingView

30年で変わったもの・変わらないもの

平成元年と直近の時価総額上位を比較すると、銀行株中心だった顔ぶれが様変わりしていることがわかります。しかし、トヨタ自動車<7203>やソニー<6758>といった老舗企業が多く、アメリカのグーグルアマゾンのような革新的な企業は登場していません。

それでも、この平成の30年の間に新しいビジネスの企業が続々と現れ、大化け銘柄が多く誕生したこともまた事実です。新しい時代の風を映しながら、次々とスターを生み出すのが株式市場。新しい「令和」の時代には、どんな銘柄に出会えるのでしょうか。

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2019/04/08
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[執筆者]岡田 禎子
岡田 禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。 日本証券アナリスト協会検定会員(CMA) ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

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