2025年の株価はどうなる? 干支の相場格言「辰巳天井」どおり蛇は天井を突くのか
干支で読む、2025年の株式市場
株式市場には「アノマリー(Anomaly)」と呼ばれる〝法則のようなもの〟がたくさんあります。日本では、こんな「干支アノマリー」とも言える相場格言が伝えられています。
辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる
これによると巳年の2025年は、辰年だった今年に続き株価は「天井」をつける……とのこと。
2024年の日経平均株価は、新たな史上最高値42,224円をつけたものの、夏場の急落後は4万円の手前を行ったり来たり。来年こそはその壁を大きくぶち抜いて未知の領域へと突き進むのか? それとも……?
未来のことは誰にもわかりませんが、「過去どうだったか?」を知ることはできます。過去の巳年の日経平均株価を振り返って、令和7年の株式市場がどんなものになるのか思い描いてみることにします。
それでは、12年ごとに時間旅行をしていきましょう。
〈参考〉【特集】干支で読む株式相場
2013年の株式市場──アベノミクス元年
- 年始の始値:10,604.50円
- 年末の終値:16,291.31円 +5,686.81円(+53.6%)
「天井」という言葉から想像されがちな「めいっぱい上がって、ぱっつんぱっつんです!」というイメージよりも、むしろ、天井知らずのノリノリ右肩上がり。年末から年始で株価が1.5倍となる、まるでヘビに翼が生えたかのような夢あるチャートです。
それもそのはず、第2次安倍内閣による金融緩和+財政出動+成長戦略=「アベノミクス」が本格始動したのが、この年でした。4月には日銀による異次元緩和が行われ、「黒田バズーカ」とも呼ばれたその痕跡がチャートからもうかがえます。
〈参考記事〉【株と平成と私】FXから仮想通貨へ──アベノミクスでハイになって学んだこと
ちなみに、この前年のチャートも似た傾向です。
・2013年(平成25年)はこんな年
[新語・流行語大賞]
- 「お・も・て・な・し」
- 「じぇじぇじぇ」
- 「倍返し」
- 「今でしょ!」
史上最多の4つも大賞に選ばれた異例の豊作イヤー。
株価も上がるわ、東京オリンピックも決まるわ(「お・も・て・な・し」は滝川クリステルさんの東京オリンピック誘致の決め台詞)、国民的人気ドラマが2つも出るわ(「じぇじぇじぇ」はNHK『あまちゃん』、「倍返し」はTBS『半沢直樹』)。
まさにイケイケドンドンな世相に、林修先生も「今でしょ!」と言わざるを得ません。
2001年の株式市場──こんにちは21世紀
- 年始の始値:13,898.09円
- 年末の終値:10,542.62円 -3,355.47円(-24.1%)
21世紀最初の年の株式市場は、わかりやすく右肩下がりのチャートを描きました。4月に誕生した小泉内閣への期待もむなしく、景気の悪化とともに株価も下落。9月にはアメリカ同時多発テロが発生し、1万円の大台も割り込んでいます。
天井感とは程遠いチャートとなっていますが、ちなみに、この前年のチャートも似た傾向です。
・2001年(平成13年)はこんな年
[新語・流行語大賞]
- 米百俵、聖域なき改革、恐れず怯まず捉われず、骨太の方針、ワイドショー内閣、改革の「痛み」
かなり盛りだくさんな印象ですが、いずれも、この年の4月に第87代内閣総理大臣となった小泉純一郎さん自身の発言や、その小泉さんにまつわる言葉が並んでいます。そんな一年でした。
ちなみに、発足時の財務大臣は「塩爺」こと塩川正十郎さん。
1989年の株式市場──〝砂漠〟という天井へ
- 年始の始値:30,165.52円
- 年末の終値:38,915.87円 +8,750.35円(+29.0%)
ザ・バブル! 見事に美しい右肩上がりです。日経平均株価は年間29%もの上昇を見せ、4万円寸前まで迫りました。ただ、大台の壁は厚く、突破は令和まで待つことになります。
行きすぎた投資によって資産価格が大きく大きく上昇し、株式市場も大狂騒。12月29日大納会で、日経平均株価は38,915円87銭(いわゆる「砂漠行こう」)の史上最高値をつけました。今年ようやく35年ぶりに更新した、その記録です。
しかしながら、株価はその後、年明け大発会から大きく崩れてしまったため、この年はまさに「天井」をつけたことになります。
〈参考記事〉バブルを生きた元証券ウーマンが振り返る、日経平均株価の30年
ちなみに、この前年のチャートも似た傾向です。
・1989年(昭和64年・平成元年)はこんな年
日本中が泡にまみれていたこの年、国内外で様々な出来事がありました。年始に昭和天皇が崩御し、新たな元号「平成」へ。4月には初めての消費税(3%)導入。11月にはベルリンの壁が崩壊して「冷戦」が終結しました。
任天堂<7974>が「ゲームボーイ」を発売したのも、この年です。
[新語・流行語大賞]
- セクシャル・ハラスメント
いまやニュースなどで見ない日はないと言ってもいい「○○ハラ」という表現。その元祖は、平成生まれの「セクハラ」でした。
この言葉が広がったきっかけは、酒に酔った男性が深夜の駅で女性にからみ、逃げようとした女性が男性を突き飛ばし転落死させてしまった事件です。女性は正当防衛が認められ、無罪になりました。
1977年の株式市場──これぞ「小幅な値動き」
- 年始の終値:4,998.85円
- 年末の終値:4,865.60円 -133.25円(-2.7%)
チャートの形状からは10月に大きく落ちているように見えるものの、実際にはマイナス10%ほどで、年間の値動きもマイナス2.7%。これぞ「小幅な値動き」といったチャートの一年でした。
これは「天井」というピークにいるから? かと思えば、そういうわけでもなさそうで、年足で見ると、ここからバブルが弾ける1990年まで怒濤の右肩上がりが続く道さなかであることがわかります。
その意味で、「天井」かと言われれば微妙なところ。
・1977年(昭和52年)はこんな年
7月、キャンディーズが解散し、普通の女の子に戻りました。9月、プロ野球・巨人の王貞治選手が通算756号のホームランを放ち、世界記録を塗り替えました。そして10月、白黒テレビ放送が廃止。
この年に生まれて今もわたしたちの暮らしに根付いているものとしては、桃屋<非上場>の「五目寿司のたね」と、山崎製パン<2212>が運営するコンビニエンスストア、デイリーヤマザキがあります。
山崎製パンと言えば、株主優待を期待している方も多いはず。年末時点で1000株以上の株主には3000円相当の自社製品詰め合わせが届きます。どうぞお楽しみに。
1965年の株式市場──不況からのV字回復
- 年始の終値:1,227.11円
- 年末の終値:1,417.83円 +190.72円(+15.5%)
年始から右肩下がりで7月中旬に底をつけてからは、年末に向けて右肩上がりになっていく、チャートとしてはわかりやすい「V字」の年でした。
前年から続く証券市場の不振(「証券不況」「40年不況」と呼ばれる)で信用不安が高まり、日経平均株価は1110円を割り込むまで下落。その後、日銀による無担保・無制限の特別融資が決定したことで持ち直し、高度経済成長の活況を取り戻すのです。
・1965年(昭和40年)はこんな年
大塚ホールディングス<4578>が「オロナミンC」を販売、国鉄(現JR各社)は「みどりの窓口」サービスを開始しました。みどりの窓口も還暦です。
なお、JR東日本(東日本旅客鉄道)<9020>は新幹線切符の電子化を進め、みどりの窓口を減らしつつ、その一方で「JREバンク」という銀行業務を今年から始めています。
2025年、株価はいよいよ「天井」へ?
過去5回の巳年を振り返ってみると、年始から年末の騰落では3勝2敗。わかりやすく「天井感」があったのは1989年ですが、上がるときはなかなか派手に上がっていく印象です。また近年は、前年の辰年と似たようなチャートを描くことも多いようです。
相場は「鬼が出るか蛇が出るか」です。どう変貌するかは神様しか知りません。
なお、「蛇の生殺し(殺しも生かしもしないこと)」という言葉は、もともと蛇の強い生命力から来ていることわざなのだそう。損切りできず蛇の生殺し状態になっている株があるのはいただけませんが、蛇のごとき生命力で2025年相場も乗り越えていきたいですね。