突然の急落は見極められるのか? 次に来る波乱相場に備える秘策とは

山下耕太郎 2020/01/17 8:00

波乱相場を生き抜くために

全面安の大発会でスタートを切った2020年相場ですが、2018年の日本株は3回の急落がありました。1度目は2月に起きた「VIXショック」、2度目は10月に日経平均株価が27年ぶりの高値24,270円をつけた後の急落。そして3度目はクリスマスにかけておきた急落です。

また為替市場では、2019年1月3日7時過ぎに、108円台で推移していたドル円が104円台後半まで急落。いわゆる「フラッシュ・クラッシュ」が起きました。

このような急落に、個人投資家としてどのように対処すればいいのか。波乱相場の見極め方と対処法について解説したいと思います。

過去の日経平均株価の下落例

近年、市場取引のコンピューター化が進み、短時間で急落することが多くなったといわれていますが、歴史的にはどれくらいの暴落が起きているのでしょうか。日経平均株価の過去の値下がり率と値下がり幅を見てみましょう。

・日経平均株価の下落率トップ10

・日経平均株価の下落幅トップ10

1987年のブラックマンデーは別格としても、日経平均株価が1,000円超値下がりすることや10%前後の値下がりは、過去に何回か起こっていることがわかります。ちなみに、冒頭で紹介した2018年2月6日のVIXショックの値下がり幅は1071.84円で17位です。

波乱相場を見極める

フラッシュ・クラッシュなど予期せぬ急落もあるものの、ある程度、波乱相場の訪れを見極めることができると言われている指標があります。それが「VIX指数/日経VI」と「騰落レシオ」です。

・VIX指数/日経VI

VIX指数は将来の相場変動の大きさを表す指標で、「恐怖指数」とも呼ばれます。シカゴ・オプション取引所が、S&P500種指数のオプション取引の値動きをもとに算出・公表しています。

日本では、日経平均オプションをもとに算出されている日経VI(VI=ボラティリティ・インデックス)があります。日経VIの過去10年間の推移を見てみましょう。

(「日経プロフィル」より)

日経VIは日経平均株価と逆の動きをする傾向があると言われています。つまり、日経平均株価が上昇すると日経VIは下落し、日経平均株価が下落すると日経VIは上昇するのです。

2020年1月15日終値時点の日経VIは14.36。過去10年では最低水準にあるので、日経VIが上昇(日経平均株価が下落)する可能性には注意が必要です。日経平均が下落した場合、日経VIは30~40程度まで上昇することが多くなっています。

ただし、同じく30~40程度まで上昇することが多いアメリカのVIX指数は、リーマンショック時に60近くまで上昇しています。

・騰落レシオ

騰落レシオは、一定期間における値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率を表します。通常、短期では5日間、中期では25日間の値上がり・値下がり銘柄数をもとに計算します。

  •  騰落レシオ(%)=(一定期間の値上がり銘柄数)÷(一定期間の値下がり銘柄数)×100

この数値が大きいほど値上がり銘柄が多いことになり、相場の天井が近いと判断されます。一般に、120%以上で過熱圏、70%以下で底値圏と言われますが、相場急変時は150%以上や50%以下になることもあります。2020年1月15日時点の騰落レシオ(25日)は99.07%です。

波乱相場に備える

日経VIや騰落レシオで高値圏だということはある程度わかるものの、実際にいつ急落が起こるかは誰にもわかりません。そこで大切になるのが、急落への備えです。

たとえば、相場が値下がりしたときに価格が上がるような商品を保有しておけば保険になります。日経225先物やオプションなどデリバティブ商品も有効ですが、そのためには先物・オプション口座を開設する必要があります。しかし、証券口座で株式と同じように取引できる商品もあります。

・インバース型ETF

相場が下落したときの保険として代表的な商品がインバース型ETFです。ETFは証券取引所に上場している投資信託で、株式と同じように取引できます。

そのうちインバース型とは、日経平均株価やTOPIXなど対象となる株価指数と逆の値動きをするETFを指します。たとえば、日経平均のインバース型ETFの場合、日経平均が5%下落すると、5%値上がりするわけです。代表的な銘柄として以下のようなものがあります。

  • NEXT FUNDS 日経平均インバース上場投信<1571>
  • TOPIXベア上場投信<1569>

・金ETF

金(ゴールド)も株式市場の急落時に上昇する傾向があることから、安全資産として保有されます。株式と異なる値動きをするため、金は戦争や災害など有事の際に資金の逃避先としても選ばれやすくなっています。

2008年のリーマンショック時も、世界中のあらゆる資産が大暴落した中で金価格は急回復。金を保有していた投資家は、資産全体の損失をカバーできました。

金は、もちろん現物や先物でも取引できますが、株式口座で取引できる金ETFであれば、株式と同じように値段を見ながらいつでも売買でき、数千円という少額で取引できるなどのメリットがあります。代表的な銘柄は以下のものです。

  • 純金上場信託(金の果実)<1540>

突然の急落に慌てないために

VIX指数/日経VIや騰落レシオを注視して波乱相場をしっかり見極め、インバース型ETFや金ETFで備えていたとしても、予想外の突然の暴落は起こります。2018年のように3回も急落が起きる年は多くはありませんが、1〜2回の急落であれば十分に可能性があります。

いざというときになって慌てないためには、過剰なリスクを取りすぎないことが肝要です。

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2020/01/17
[執筆者]山下耕太郎
山下耕太郎
[やました・こうたろう]一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌 →この執筆者の記事一覧へ

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