株を始める前にまず考えたい、個別株投資のメリット・デメリット

庄子 歩 2020/08/28

本当に個別株で大丈夫?

「これから伸びそうな掘り出し物の銘柄を見つけたい」
「配当金をたくさん受け取りたいから、高利回り銘柄を探している」

などなど、投資を始めようと思った時にまず「個別株」への投資を考える人は多いでしょう。投資と言えば個別株という印象が強いため、それ以外の金融商品は検討したことがない、という方もいるかもしれません。

しかし、金融商品は個別株以外にもたくさんあります。そのため、本当に個別株が自分の投資スタイルに合っているのかどうかを理解することが大切です。それを判断する材料として、個別株のメリット・デメリットを整理してみたいと思います。

個別株投資の3つのメリット

①自分で自由に投資できる

個別株の大きなメリットに、投資する銘柄や売買する株数、タイミングなどを「自分で決めて、自由にできる」という点があります。

例えば、投資信託では運用会社のファンドマネージャーが銘柄を選びます。そのため投資家は、購入する投資信託は選べますが、具体的な銘柄まで決めることはできません。また、株よりもリスクが低いと言われる債券は、満期になれば必ず手放さなければいけません。

その点、個別株は、好きな企業や応援したい企業など、自分で自由に選ぶことができますし、好きなタイミングで売却することもできます。債券と異なり、その企業が上場している限り、ずっと保有し続けることだって可能です。

このように「自由に投資をしたい」という方にとっては個別株は魅力的に感じるでしょう。

②保有コストがかからない

意外と見落とされがちですが、株式投資においてコストを抑えることは非常に大切です。家賃や携帯代などの固定費を下げることは家計の収支にプラスに働くように、投資でも固定費が低いほうが有利です。

個別株のコストは、売買時の取引手数料です。最近は「約定代金の0.1%前後」に設定しているインターネット証券会社が多く、購入と売却をしたとしても0.2%ほどしかかかりません。

一方、投資信託は「信託報酬」という保有コストが必要になります。投資信託や販売会社によって異なりますが、平均で「年0.5%〜2.0%程度」かかるものが多いです。この信託報酬は固定費として、投資信託を保有している限り、ずっとかかり続けます。

なお、投資信託の中でも、日経平均株価などの指数との連動を目指して運用されるインデックスファンドは信託報酬が安い傾向にあります。そのため「コストを抑えたい+個別株と同程度のリスク資産に投資したい」という場合は、インデックスファンドも選択肢に上がるでしょう。

③投資の広い知識を得られる

個別株へ投資をする際には、他の金融商品と比べても幅広い情報やデータに触れることになります。そのため、個別株を通して、投資に関するさまざまな知識を得ることが可能です。

たとえば、FX(外国為替証拠金取引)では為替についての深い知識を得ることができますが、個別株投資でも、その企業にとって円安は有利なのか、それとも円高のほうがいいのかなど、ある程度、為替の動向を理解する必要があります。

また、日経平均株価など特定の指数に連動するETF(上場投資信託)なら、ベンチマークとなる指数の値動きを分析しますが、個別株投資でも当然、主要な指数の動きはチェックしておいたほうがいいわけです。

これらに加えて個別株投資では、投資を検討している企業の事業内容を把握したり、業績や財務状況を調べたり、株価の推移を分析するためには株式チャートの見たりといったことも必要になります。

このように個別株への投資経験を通じて、投資に関わる広い知識を得ることが可能になります。投資の知識を広く肌感覚で学びたい場合は、個別株投資が「適任」と言えるでしょう。

個別株投資の3つのデメリット

①分散投資するには多額の資金が必要

リスクを抑えつつリターンを狙える分散投資は「投資の王道」とも言われていますが、個別株のみで分散投資をするには、ある程度まとまった資金が必要です。

例えば、数十から数千の銘柄を組み入れている投資信託は、1つ保有するだけで、組入銘柄の数だけ分散効果を享受することができます。しかし、個別株で同じだけの銘柄数を保有するには、それなりの資金がないとできません。

「分散投資をしよう」と思った際には、自分の資産状況に照らし合わせて、個別株への投資が適切なのかどうか、一度確認してみたほうがいいかもしれません。

②リスクが大きい

個別株は値動きの幅が大きいため、市場平均に比べて大きな損失を出してしまう可能性があります。もちろん、値動きが大きいからこそ大きな利益につながることもあるわけですが、同時に、それだけリスクが大きいということでもあり、パフォーマンスの良し悪しには大きな差が出ます。

個別株を売買する「アクティブ運用」と「日経平均株価などの指数と連動した運用を目指す「インデックス運用」を比較した場合、アクティブ運用のほうがリターンが広い範囲に分布する、という調査結果もあります。

そのため、少しでもリスクを抑えたいなら、相対的にリスクが低く、平均的にはアクティブ運用を上回る確率が高いと言われるインデックス運用の投資信託(=インデックスファンド)と個別株のどちらが自分に適しているのか、じっくり比較してみるといいでしょう。

③「時間」というコストがかかる

個別株に投資するには、事業内容や業績、株式チャートなど、他の金融商品では触らない様々なデータをひもとく必要があります。確かにその経験は知識として積み重なるものではありますが、「時間」という見えないコストがかかっているのも事実です。

これは、業績や財務状況などから値動きを予想するファンダメンタルズ分析だけでなく、過去の株価や各種指標をもとに値動きを推測するテクニカル分析でも同じ。データを分析し、実際の取引を検証し……という作業には、想像以上の労力や時間を必要とします。

しかも、どんなに時間を費やしたとしても、市場平均より良いパフォーマンスを上げることは簡単ではありません。そのため「投資先にはこだわらない」「なるべく手軽に投資を始めたい」という場合は、投資信託やETF、債券といった個別株以外の金融商品にも目を向けたほうがいいかもしれません。

理想のポートフォリオを作るために

個別株のメリット・デメリットを把握することで「本当に個別株投資がベストなのか」を自分に問うことができます。

個別株以外の金融商品への投資を検討する場合にも、そのメリット・デメリットを挙げ、自分にとってベストな投資先なのかを整理してみてはいかがでしょうか。それが理想のポートフォリオ完成への第一歩となるはずです。

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[執筆者]庄子 歩
庄子 歩
[しょうじ・あゆむ]個人投資家、ライター。証券会社で営業職に従事していた経験を活かし、日本株や米国株を中心に投資をしている。じっくり値上がっていく銘柄が好き。執筆にあたっては、「何をどこまで、どうやって伝えるのがベストなのか」を日々模索している。 →この執筆者の記事一覧へ

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