追い風か逆風か。汚名返上し新装開店。投資家が2025年相場も気にする銘柄たち
《日経平均株価が史上初めて4万円の大台を突破し、新たな領域に足を踏み入れた2024年。夏の急落はあったものの、今年も多くの銘柄が相場をにぎわせました。2024年相場を振り返って、かぶまど執筆陣の注目銘柄を紹介する【今年の銘柄2024】》
ド派手な上昇に心ときめく
・リミックスポイント<3825>
2024年後半、アメリカ大統領選挙でのトランプ氏勝利の余波を受けて、ビットコイン関連銘柄が勢いづきました。
メタプラネット<3350>、セレス<3696>、マネックスグループ<8698>などが大きく上昇して話題となりましたが、なかでも約10日で2.8倍というビットコインもびっくりの急騰を遂げたのが、リミックスポイント<3825>です。
かつては「暗号通貨(仮想通貨)といえばリミックスポイント」というくらい代表的な関連銘柄でした。特に2017〜2018年の暗号通貨狂乱期における上昇は、それはもう、「ものすごい」としか言いようのないほどでした。
しかし、2023年に暗号資産取引所「ビットポイント」をSBIグループに営業譲渡してからは、法人向け電力小売が主力の企業と化していました。
ところが、2024年11月、上方修正とともに「金融投資事業を再開する」「暗号資産を追加購入した」と発表したのです。マーケットでは「第二のメタプラネット」として投資家の注目を一気に集め、株価は強い上昇を始めます。
さらに、トランプ次期政権が「暗号通貨担当の新ポストを検討」とのニュースが伝わると、ビットコインが最高値を更新。それに連動するように、リミックスポイントの株価も一気に駆け上がりました。
「あゝこの感じ」。懐かしさを感じるとともに、相も変わらずド派手な上昇に思わずときめいたのでした。
不祥事があっても株価2倍
・川崎重工業<7012>
2024年は防衛関連銘柄が話題となった一年でした。防衛銘柄といえば、自衛隊との取引額ランキングで長年トップに立つ三菱重工業<7011>が代表格で、今年1月に800円台だった株価は2200円台まで上昇しています。
そんな三菱重工業に続くのが、川崎重工業<7012>です。なかでも潜水艦分野では三菱重工業との二枚看板を築いてきましたが、今年その潜水艦分野で、架空取引による裏金捻出が発覚。これにより、株式市場の注目は三菱重工業に集中しました。
しかし、自衛隊にとって潜水艦、そして川崎重工業は欠かすことのできない存在です。実際のところ、川崎重工業の株価は1月の3000円台から12月には6000円台まで上昇しており、2倍以上の伸びを見せています。
不祥事があっても株価2倍。これは驚異的です。それだけ、2024年は防衛銘柄に対する注目度が高まったと言えるでしょう。
川崎重工業の場合、不祥事の影響があった分、三菱重工業に比べると株価の伸びしろが残されていると考えられます。2025年はこれを克服して、三菱重工業との差を埋めるような動きを見せるか注目されます。
昔の名前で出ていては…
・ハークスレイ<7561>
「ほっかほっか亭」の中食事業で成長したハークスレイ<7561>。現在は、菓子類の製造・卸販売を中心とした物流と食品加工および、店舗リースや人材紹介などの飲食店向けソリューション事業に注力している。
同社は今、事業構造の転換期を迎えている。2028年3月期までの中期経営計画で特に興味を惹かれるのは、「累積で178億円の投資を実施。うち120億円をM&Aに投じる」としている点だ。
すでに今春、餃子・春巻きなど冷凍・チルド食品のホソヤコーポレーション(未上場・売上規模約73億円)を傘下に収めた。前後して青木達也会長が、「例えば年商50億円規模の企業を年に3社買収すれば、3年で900億円の売上高の上乗せが可能」と発言。
具体的に、M&Aを仕掛けていく業態は? 同社IR室長の荻田修氏にたずねてみたところ、「食品加工・物流業者を主体に、と捉えていただければ」との回答だった。
足元の収益動向は好調。2023年3月期は、33.4%の営業増益、7円増配(18円配)。前2024年3月期も、66.8%の営業増益に6円増配(24円配)。そして今期も、4.8%の増収、0.6%の営業増益、12.4%の最終増益、2円増配(26円配)という計画で立ち上がった。
「ハークスレイ=ほっかほっか亭」の認識では、これからのハークスレイは把握しえないだろう。足元をしっかり把握しなければ投資機会を失う。
この逆風をどう乗り切るか
・レノバ<9519>
2024年の株式市場では、11月のアメリカ大統領選挙が大きな関心事のひとつでした。一部で期待の高かった共和党のトランプ氏が圧勝し、議会の上院下院と大統領のすべてを共和党が占める、いわゆる「トリプルレッド」の状態となります。
トランプ氏が公約に掲げる規制緩和や関税強化などをめぐっては、すでに関連銘柄に資金が流入しています。その一方で、太陽光などの再生エネルギーに対しては補助金や優遇措置を打ち切り、化石燃料へ回帰することを公言しています。
これにより、世界的に再生エネルギー関連銘柄への逆風が続いています。個人的に気になっている銘柄のひとつが、太陽光や風力、バイオマス発電などを手がけるレノバ<9519>です。
直近の株価は700円前後と、2023年末から約4割の下落。再生エネルギー株人気だった2021年の高値6390円からは約9分の1です。直近のPBR(株価純資産倍率)は0.7倍台ですでに解散価値を下回っていますが、日足チャートでは下げ止まりの気配はまだ見られません。
再生エネルギー関連株の底入れはいつ頃になるのか。2025年はトランプ新政権の動向が注視されるだけに、これらの銘柄にも注目したいと思います。