マグニフィセント・セブンだけじゃない。2023年のアメリカ株式市場で活躍した銘柄たち

かぶまど編集部
2023年12月28日 8時00分

《日経平均株価が33年ぶりの高値を更新した2023年の株式市場。具体的に、どんな銘柄が注目を集めたのでしょうか。かぶまど執筆陣が2023年相場で気になった銘柄を振り返ります》

【特集】相場をにぎわせた「今年の銘柄」2023

2023年のアメリカ市場では「マグニフィセント・セブン(荒野の七人)」と呼ばれる7社が市場を牽引しましたが、それ以外にも株価が大きく上昇した銘柄は存在しています。

《参考》アメリカを牽引する「マグニフィセント・セブン」 日本株に与える影響は?

エヌビディアより魅力的?

・ケイデンス・デザイン・システムズ<CDNS>

ケイデンス・デザイン・システムズ<CDNS>は、半導体の電子設計自動化(EDA)ソフトウェアを提供する企業です。

EDAソフトウェアは、チップ設計プロセスを自動化し、フルフローのエンドツーエンドソリューションで設計精度や生産性を向上させます。EDAツールは数十年前から存在していますが、半導体チップの設計が複雑になるにつれ、その重要性と精巧さを増してきました。

10年にわたる設計ノウハウの優位性と長年の統合により、現在、ケイデンス、シノプシス、メンター(シーメンス傘下)の3社で寡占状態を形成しています。EDA市場の約60%はケイデンスとシノプシスが、80~90%がこの3社によって占められています。

EDA市場は、半導体業界中では比較的、景気循環の影響を受けにくい市場だと考えられています。半導体株と言えば、2023年は何と言ってもエヌビディア<NVDA>ですが、リスク(株価のボラティリティー)を考えると、ケイデンスのほうが魅力的な投資先だと言えます。

(選・朋川雅紀情熱の株式投資論」)

次世代の「夢の薬」を開発

・イーライ・リリー<LLY>

イーライ・リリー<LLY>は大手製薬会社で、中枢神経系、内分泌系、がん治療、骨粗鬆症などの分野に注力しています。革新的な社風と次世代医薬品の開発に向けた強力な財務的コミットメントで同業他社との差別化を図り、長期的な成長を実現しています。

なかでも、特許、規模の経済性、強力な流通網が同社の競争力の源泉となっています。2023年は、肥満治療薬として開発しているGLP-1受容体作動薬「Zepbound(ゼップバウンド)」が市場からの注目を集めました。

肥満治療薬の市場規模は、2030年までに1000億ドルまで成長すると予測するアナリストもいます。10年後には、肥満のアメリカ人の25%以上、オーバーウェイトのアメリカ人の15%以上が治療を受け、その大部分はGLP-1療法を受けることになる、という見通しも出ています。

現在、GLP-1受容体作動薬は米欧2強(同社とデンマークのノボ・ノルディスク<NVO>)の争いになっています。

(選・朋川雅紀情熱の株式投資論」)

リベンジの追い風に乗って

・カーニバル<CCL>

カーニバル<CCL>は、世界最大のクルーズ会社です。コロナ禍前の数年間は、アジア・パシフィックのような急成長している地域や存在感の薄い地域への客船の再配置や配備と、カリブ海や地中海のような安定した人気を誇る地域への供給のバランスを取り、優れたビジネス環境となっていました。

マスコミの影響もあり、クルーズ会社はコロナ禍で最も打撃を受けた業界のひとつでした。コロナ禍の3年間は“モノ”が消費の中心でしたが、いわゆる「リベンジ消費」により、現在は旅行を含む“サービス(コト)”にシフトしています。

旅行関連銘柄には、クルーズ会社以外にも、旅行会社、航空会社、ホテルなどが含まれますが、コロナ禍で最も株価が下がったのがクルーズ会社だったため、コロナ禍からの株価の戻り(上昇)が最も大きくなったのもクルーズ会社です。

世界のクルーズ市場はまだまだ利用経験者の数は少なく、クルーズ会社に長期的な需要成長機会を提供しています。また、先進国における人口の高齢化は余暇時間の増大をもたらし、クルーズ会社に追い風になるでしょう。

(選・朋川雅紀情熱の株式投資論」)

[執筆者]かぶまど編集部
かぶまど編集部
無防備なまま株式市場に参加して大切なお金をなくしてしまう人をひとりでも減らしたい──そんな思いから、未来の株価や相場を予測するのではなく、過去の事例やデータといった「普遍的な事実」に焦点を当てた記事を発信します。同時に、株初心者の方や、これから株を本気で始めようとしている方にもわかりやすい解説を心がけています。
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