株価を動かすニュース、どうやって投資に生かせばいいのか ニュースから株価の行方を占う
ニュースから株価の行方を占う
株式市場に影響を与えるニュースにはさまざまなものあります。しかし、それらが株価にどう影響するかとなると、その情報によっては曖昧さやさまざまな解釈があるため、投資家には難しい判断が求められます。
大量のニュースに振り回されず、効率的に生かすには、どんなニュースが出ればどのように株価が動くのかを、事前にイメージしておくことが必要です。
株式投資はよく「美人投票」に喩えられます。
この投票では、投票者全体の平均に最も近い投票をした人に賞品が与えられます。したがって、自分が「この人がいちばん美人!」と思う人に投票するのはアウトで、「より多くの投票を集めるのは誰か?」を予想しながら票を投じるのが真の投資家のやるべきことです。
つまり、材料(ニュース)を見聞きしたら、「市場はどう考えるか?」と常に考えることが最も重要なのです。
ここで言う「市場」とは、機関投資家やヘッジファンド、年金基金、そして個人投資家といった、マーケット(株式市場)の参加者のことです。これら参加者たちが、ニュースに対して一体どんな思惑を抱くだろうか、ということに頭を巡らせるのです。
ヘッジファンドの考えなんてわかるわけない……と思うかもしれませんが、実はこの「市場の思惑」には大体のパターンがあります。それを知っていれば、その後の株価の動きも予想しやすい、というわけなのです。
株価を動かすニュースを見極める
株価を構成する要素は大きく2つあり、「会社の業績・将来性」と「社会・経済の状況(マクロ環境)」とが具体的な株価を形成しています。ニュースをもとに株価の行方を占うときは、まず、そのニュースがどちらに影響するのかを理解することが大切です。
・株価を動かす主なニュース
【会社の業績・将来性】
- 市場予想を上回る(下回る)決算発表
- 自社株買い
- 増配・復配
- 新製品開発の成功
- 他社との業務提携
- 証券会社による目標株価変更 など
【社会・経済の状況(マクロ環境)】
- 国内外の景気動向
- 金利動向
- 国際情勢
- 為替動向
- 外国人投資家の動向
- 国内の政局 など
ニュースを見極める3つのポイント
さらに、ニュースから株価の行方を考えるする上でポイントとなるのが、次の3つです。
- 市場に与えるインパクトの大きさ
- 時間軸での影響度
- 企業業績に与える影響
多くの人が知るニュースは株価に大きなインパクトを与えます。なぜなら株価とは、より多くの人がその株を買うと上がり、多くの人が売ると下がるものだからです。
たとえば、日本経済新聞の一面にデカデカと大きな見出しが載るようなニュース(好材料)が出ると、その影響力は大きく、“飛びつき買い”の投資家も多くなり、株価は大きく跳ね上がります。
同じニュースでも中面での小さな扱いなら、知る人ぞ知るネタとして、じわじわと広がっていくでしょう。すると、株価もじわじわと上昇する……というように、ニュースが出たときにどれくらい大勢の人に知られるかによって、その後の株価の動きは全く異なります。
また、株価を動かすニュースには、大きな瞬発力を出すものとじわりと効いてくるものがあります。それは、マーケットの参加者には2種類のタイプがいるからです。ヘッジファンドや個人トレーダーなどの短期筋と、長期保有目的の年金基金や投資信託などです。
キャピタルゲイン狙いの短期筋は巨額の資金を動かして株価のボラティリティを作りますが、時間に制約があります。一方で、長期投資家は株価のトレンドを作ります。短期・長期それぞれの投資家にどれくらいの影響を及ぼすか考えることで、時間軸での株価の影響度が予想できます。
そして、株価を決める最大の要因は、その企業の「業績」です。
投資家は、その企業の決算や他社の情報も併せて、企業の将来性を予想し、その将来性への期待が高まれば株価は上昇することになります。したがって、企業収益に与えるインパクトが大きいニュースほど株価に影響します。
実際のニュースから投資戦略を考える
それでは実際のニュースをもとに、それが株価に与える影響と投資戦略について考えてみましょう。
▶ニュースで株価は上がる? 好材料なのに急落することも 実際のニュースから考える投資戦略(アイスタイル、三越伊勢丹ホールディングス、KDDI、ファンケル)