日本株には夢がある! 円安に振り回される相場でプロが密かに注目している銘柄とは

窪田 剛
2023年7月3日 12時00分

Absent Satu / Adobe Stock

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

2023年6月相場を振り返って

5大商社株、買い増しや!!

どうも、ウォーレン・バフェットです。6月19日に、日本の5大商社株を買いましたことを発表させてもらいました。今は平均8.5%ですが、9.9%までは買おうと思っています。でも、それ以上は会社側の同意がない限り買わないつもりです。
──バークシャー・ハサウェイ社の公式リリース(注:筆者による超訳でお届けしました)

6月もまた日経平均株価は大きく上昇しました。バフェット氏が「日本株ええやん」と発言してから「商社の次はどこだ!?」という思惑で全体が買われていましたが、結果は、「5大商社株の買い増しや!」ということでした。流石です。ブレない。かっこいい。

あと、全然関係ないですが、世界で10番目くらいに大きな会社であるバークシャー・ハサウェイ社のホームページ、めっちゃシンプルです。流石です。ブレない。かっこいい。

6月相場で上がった株・下がった株

そんな2023年6月の株式相場を売買代金値上がり率値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾)。

・2023年6月の売買代金トップ20

・2023年6月の値上がり率トップ20

・2023年6月の値下がり率トップ20

6月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

「日本の商社、ええやん」

売買代金ランキング──

【第7位】三菱商事<8058> 1.76兆円
【第14位】三井物産<8031> 8,796億円
【第15位】丸紅<8002> 8,447億円
【第19位】伊藤忠商事<8001> 6,554億円
【第41位】住友商事<8053> 4,386億円

言葉もありません。

商社は稼ぐ力は大きいものの、エネルギー関連のせいで安定性がなく、事業が多すぎるがゆえに株価は割安のまま放置されていることは周知の事実でした。ところが、世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏が「日本の商社、ええやん」といっただけで爆上げです。

なかでも三菱商事は、6月だけで一時5,586円から7,455円まで約33%も上昇しました。時価総額が約10兆円という三菱商事が、です。すごい。

さらに、5大商社ではありませんが、双日<2768>や豊田通商<8015>など他の商社株も大きく上昇しています。

バークシャー社に直接買われているわけではないかもしれませんが、日本株は「カタリスト」(=なにかしらのきっかけ)があると大きく上昇する可能性のある、夢のあるマーケットだということを改めて感じました。

株価は過熱なんて気にしない

売買代金ランキング──

【第1位】レーザーテック<6920> 5.08兆円
【第3位】ソシオネクスト<6526> 2.80兆円(先月は21位5406億円)
【第4位】アドバンテスト<6857> 2.47兆円(先月は1.34兆円)
【第6位】東京エレクトロン<8035> 1.90兆円兆円
【第12位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 9914億円(先月は6184億円)
【第17位】信越化学工業<4063> 7195億円(先月は5796億円)

過熱している?? 株価はそんなことは気にしません。過熱しているといわれている半導体関連株は、6月もまた高値を更新しました。

なによりもソシオネクストは16,760円から28,330円(+69%)という上昇を演じ、売買代金ランキングで3位に入るほど注目されました。後半は失速してしまいましたが、半導体関連が引き続き、日本市場の中で主役の地位にあることを感じさせてくれました。

商社と半導体、後半戦に入る2023年相場でも楽しみなセクターです。

連想ゲームが始まった

売買代金ランキング──

【第21位】カバー<5253> 6413億円
【第29位】ANYCOLOR<5032> 5376億円

トップ20には入っていない番外編ですが、あえて取り上げておきます。

両社ともにVtuber事務所を運営しています。「Vtuber事務所とはなんぞや」「なんでそんなに儲かるんや」というのは各社が発表している資料を見ていただくとして、簡単に言うと、ジャニーズなどアイドルのファンクラブのようなビジネスの最新版、ということで概ね良いかと思います。

ここで取り上げたのは、昨年、ANYCOLORが新業態として注目されましたが、2番手として上場したカバーもまたしっかりと利益を上げており、業界としてすでにマーケットで認知され、片方がいい業績を発表すればもう片方にもいい影響を与える、というマーケット特有の動きを6月に見せたから、です。

こういう流れは結構重要でして、たとえば、「JFEホールディングス<5411>がいい決算だったら日本製鉄<5401>もいいだろう」とか、「コマツ<6301>がよいなら日立建機<6305>もいいだろう」というように、いわゆる「連想買い」につながるということです。

こういう「連想買い」のパターンを数多く自分の手札として持っておくと、何かあったときに「あ! これも上がるはず! 買っておこう!」といったトレードができるようになります。かなり短期的なトレードになりますが、ひとつの考え方の参考になるかと思い、ピックアップしました。

ドヤ!

売買代金ランキング──

【第2位】ソフトバンクグループ<9984> 3.04兆円(先月1.4兆円)

AI関連といえば、チャットGPTの大株主であるマイクロソフト<MSFT>とエヌビディア<NVDA>ですが、ソフトバンクグループもしっかりと流れに乗っています。5月末から株価は大きく上昇しており(5,000円から7,000円:+40%程度)、これからだ!というチャートを形成しつつあります。

もちろん、投資による大きなマイナスもありますし、不確定な部分もありますが、注目しておいていい銘柄ということでピックアップ。ちなみに、5月相場の振り返りでピックアップしてから大きく上昇しましたね。ドヤ!

ニッポンのさくら!

値上がり率ランキング──

【第4位】さくらインターネット<3778> +100.6%(648円→1,300円)

ニッポンのデータセンター!
ニッポンのクラウド!!

AIやネットサービスが発展すればするほど、グーグルやアマゾン、マイクロソフトなどのクラウドサービスが便利なため広く利用されるようになっています。その結果、日本企業によるサービスであっても儲かるのはGAFAM、という課題がありました。

そこをなんとかしようということで、「日本で担えるのはやはり、さくらインターネットだ!」というわけです。新たな生成AIの開発に向けた135億円の投資のうち、半額の68億円を経産省が支援する、というリリースによって株価は一気に倍になりました。250億円だった時価総額も500億円に。

GAFAMに比べれば小さい時価総額ですが、日本でこの役割を担えるプレイヤーは多くはありません。そして、どんなに企業規模が違えど、必要であることは間違いありません。期待大。今後も注目したい出来事でした。

……えーっと、もちろんですが、使用するGPUはエヌビディアのようです。半導体は本当に大事。

円安でもしっかり買おう

日本株は力強い上昇が続いていましたが、6月19日から崩れ始め、それ以降、不安定な相場が続いています。最終日こそ33,000円を復活して終わりましたが、いつ大きく崩れてもおかしくない状況であるといえます。

一方で、円安も進行しています。先月末は139円でしたが、今月末は144円と約4%も通貨が下落しています。ということは、日経平均株価は4%以上の上昇をしないと、海外投資家からしたら実質マイナスということになります。言い換えると「割安であり、買い時」という見方もできます。

円安は株価にプラスの影響ばかりではありませんが、大きな流れで見たときには、気をつけておくべき需要なファクターのひとつです。傾向として円安であれば「日本株は買い」の傾向が続くとみることもできます。

通貨でそういう判断をしなくてはいけないのは癪ですが、仕方ありません。しっかりと日本株を買って資産を増やし、通貨安で目減りする以上に資産を増やしてやろうじゃありませんか!!!

今後の期待はあの業種?

私がチャートを見ていいなと思った業種をひとつ紹介して、今月のコラムを閉じたいと思います。

インバウンド銘柄?? 確かにそれもいいですね。半導体? 商社? 証券? 海運? それらもいいな。でも、根拠はないけど、良さそうなのはこれです。

「鉄は国家なり!!!」

年の後半もしっかりと稼いでいきましょう! では、また来月。

【おすすめ】なぜ明日上がる銘柄がわかるのか 元手30万円を数億円の利益に変えたプロの銘柄選び

[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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