いよいよ4万円へ! プロが「黄色信号」と警戒するサインと日本株の可能性

窪田 剛
2024年3月30日 12時00分
美しい桜並木通りを小さな戦車がゆく

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

2024年3月相場を振り返って

ついに4万円。

2月22日に34年ぶりに高値38,915円を超えた勢いそのままに、日経平均株価は4万円を突破。一時38,000円台で調整をするも、月末にかけて再度上昇し、なんと終値でも4万円を超えてきました。

年度末に日経平均株価が高値で引けました。それも、史上初の4万円台で。

ただ、ちょっと注意が必要かもな、というサインがあります。それは何か。

あなたもその感覚を持てるように、しっかりと3月相場を振り返っていきましょう。しかも今月は、もうひとつの「歴史的なアレ」もありましたからね。

3月相場で上がった株・下がった株

そんな2024年3月の株式相場を売買代金値上がり率値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾)。

・2024年3月の売買代金トップ20

・2024年3月の値上がり率トップ20

・2024年3月の値下がり率トップ20

3月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

・売買代金ランキングの注目株

【第1位】レーザーテック<6920> 5.59兆円
【第2位】東京エレクトロン<8035> 3.55兆円
【第3位】ディスコ<6146> 2.83兆円
【第6位】アドバンテスト<6857> 2.02兆円
【第8位】ソフトバンクグループ<9984> 1.79兆円
【第13位】SCREENホールディングス<7735> 1.45兆円
【第14位】ソシオネクスト<6526> 1.44兆円
【第19位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 1.02兆円
【第21位】信越化学工業<4063> 8925億円

日経平均株価が半導体指数と言われ始めて3か月が経ちました。売買代金上位のほぼ半数を半導体関連銘柄が占めています。多くの銘柄が高値圏にあり、相場は盤石なイメージを受けます。

ただ、ただ……崩れ始めたり、高値更新できなくて足踏みしている銘柄も散見されます。全体指数である日経平均株価は強いにもかかわらず、半導体関連はそれを先導できていないのかもしれないな? と思う場面があります。

過去の経験上、こういうときは危険なんです。でも、危険信号で言うと、まだ50くらいです。信号が黄色になったくらい。そんなふうに言葉では表現し切れない感覚なのですが、私自身も強気一辺倒が弱まっている感じを受けているし、実際、ポジションや売買もそうなっています。

この感覚をうまく伝えるのは難しいのですが、次の2銘柄+1銘柄を見ると、さらにその感覚を強くします。ランキングからは少し外れますが、私自身の備忘録としても残しておきますので、ぜひ参考にしてほしいと強く思います。

・さくらインターネット<3778>

 2月終値:6,450円
 3月高値:10,980円(月初から+70%)
 3月終値:5,680円(高値から-48%)

・住石ホールディングス<1514>

 2月終値:2,783円
 3月高値:5,570円(月初から+101%)
 3月終値:1,379円(高値から-75%)

・三井E&S<7003>

 2月終値:1,844円
 3月高値:2,898円(月初から+57%)
 3月終値:1,915円(高値から-34%)

まず上の2銘柄、さくらインターネット住石ホールディングスは、ここ数か月にわたって強く推移していたものの、3月に高値を付けた後、失速してしまいました。下の三井E&Sは、2月に入ってから注目されていた銘柄ですが、上2銘柄と同じく3月にピークを付けてしまいました。

この3銘柄の特徴として、時価総額という意味では半導体関連銘柄より小さい、という点があります。ただし、注目度と注目される期間を合わせると、今年に入ってからはヒーローのような、マーケットの主役のような存在でした。ですが、これらの銘柄もピークを付けてしまいました。

ただし、半導体関連はまだ生きています。4月以降も高値を更新する銘柄もあるでしょう。でも、1月2月のような勢いがあるかというと、ちょっと疑問です。それでも、そんな不安な気持ちを一気に吹き飛ばしてくれるような、まるで戦車のような重さと勢いが、いまの半導体関連銘柄にはあります。

黄色信号は点滅した。でも、まだまだここからの勢いもある。

そんな、言葉にならない感覚を受けた3月のランキングとなりました。

日本株が秘めるポテンシャル

半導体銘柄の強さの確認、そして、黄色信号を感じる動き。強弱入り混じる年度末相場となりました。

そんな3月相場ですが、大きな動きもありました。それは、日銀によるマイナス金利の解除です。そもそも「マイナス金利」という言葉自体がおかしいのですが、それほどに日本経済はおかしな状態になっていました。そのおかしな状態が「解除」されたということです。

これは、為替や日本株にとって大きな意味を持ちます。今はまだ小康状態ですが、経済の正常化へ向けた一歩を踏み出した、と捉えたいと思います。もちろん、そうではない部分も多分にあるのですが、3月に大きな変化があったということは覚えておいてください

いろいろと大きな出来事があった3月相場ですが、それでも、歴史的に初めて日経平均株価が4万円を付けて終わり、不安な一面はあれど、それはちょうどいい「調整のきっかけ」程度になる可能性も大きいです。

今回のコラムは、言葉にし切れない感覚のようなものをお伝えできればと思ってしたためましたが、いま現在(2024年3月29日夜)、私自身、今年の日本株マーケットに対してはとてもポジティブです。調整はあるにせよ、とんでもないポテンシャルを秘めていると感じています

この感覚をこれからも伝えていきたい。来月以降もぜひ楽しみにしてほしいと思います。

新年度、はじまります。

(本記事は「株の学校トピックス」からの転載記事です)

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[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
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