半導体株が一気に復活! 日本株の行方を知るためにプロが監視を続ける銘柄とは

窪田 剛
2023年12月1日 9時30分

《日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか? オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師の窪田剛さんが、3つのランキングから相場を振り返る【ランキングで見るプロの注目銘柄】》

2023年11月相場を振り返って

アメリカの金利上昇局面の終わり。そして株高へ。

11月の日経平均株価は、6月につけた33,767円を一時超えて33,853円をつけました。そして、これまで低迷を続けていた新興市場銘柄、さらには金利上昇に目途がついたアメリカの株価も大きく上昇しました。

まだまだ懸念点もありますが、そうはいっても期待したくなります。今後上昇していくならば、その上昇にしっかりと乗れるように、この1か月を振り返っていきましょう。

なお、ここで取り上げる指数について、今月からTOPIXの代わりにダウ平均株価を。また、東証グロース指数の代わりに、旧マザーズ指数がついに心機一転「東証グロース市場250指数グロース250)」という指数になったので、そちらを採用していきたいと思います。

TOPIXも大事な指標ではあるのですが、ここでは、より多くの人が見ている指標を追いかけていきます。

11月相場で上がった株・下がった株

そんな2023年11月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾)。

・2023年11月の売買代金トップ20

・2023年11月の値上がり率トップ20

・2023年11月の値下がり率トップ20

11月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

売買代金ランキングの注目株

【第1位】レーザーテック<6920> 8.06兆円
【第4位】東京エレクトロン<8035> 1.47兆円
【第6位】アドバンテスト<6857> 1.06兆円
【第10位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 8954億円
【第15位】ディスコ<6146> 7671億円
【第19位】ソシオネクスト<6526> 5677億円

10月に失速してしまった半導体が一気に復活の兆しを見せています。

高値を更新している銘柄も多く、売買代金も大きいものが多い(上位20銘柄中、半導体関連が6銘柄)ため、これらの銘柄が今後さらに上昇してくれば、全体を牽引して、日経平均も年末までに高値を大きく更新してくるかもしれません。

特に、売買代金トップを走り続けているレーザーテックの高値(上場来)は36,090円ですが、11月終値で33,040円まで上がりましたので、あと10%ほどの上昇で高値更新となります。

半導体株、そして日経全体の方向性と勢いを判断するために、このレーザテックの値動きは必ずチェックしておきましょう。

値上がり率ランキングの注目株

【第3位】大泉製作所<6618> +79.1%(724円→1,297円)
【第10位】日本マイクロニクス<6871> +70.2%(2,252円→3,835円)

3位の大泉製作所は、半導体関連企業のフェローテックホールディングス<6890>にTOBされるということで大きく上昇しました。10位の日本マイクロニクスも同じく半導体関連企業で、11月13日に発表した業績の上方修正をきっかけに大きく上昇しています。

どちらも売買代金ランキングの上位に入るほどの大きさはありませんが、半導体関連銘柄の強さを感じます。半導体関連、10月にいったん終わったと思いましたが、息を吹き返しました。しっかりと監視していきましょう。

・今後大きなテーマになるかも?

【第31位】さくらインターネット<3778> +54.9%(1,156円→1,791円)

ランキングは31位と振るっていませんが、今後気をつけておくと大きなテーマになるかもしれないのでピックアップ。同社はデータセンターを運営しています。生成AIももちろん需要として大きいのですが、個人や国家のデータ管理も非常に重要で大きな需要になってきます。

アマゾンの「AWS」やマイクロソフトの「Azure」などは、便利とはいえ、海外企業のサービスです。やはり、国家機密データは国内で管理すべし。そのために、国家予算を国内データセンター企業に投下します──

というようなことが度々ニュースになるため、国内データセンター運営会社として注目しておくといいかもしれません。

企業規模(500億円)に対して国から投下される予算の割合が大きかったり、または、地政学的リスクのような話になると防衛武器重工関連が買われやすかったりするのですが、今後はこういった企業も監視しておくといい気がします。

あ、ヤフー(日本)がLINE(韓国)と一緒になりましたね。そして、さっそく情報流出しましたね。LINEは便利ですが、どこまで利用すべきか迷いますね。

トレードやってて、こんなことまで考えるようになるとは思わなかったぜ。

「その日」まで、がんばる

株式投資の勉強を始めたのは、大学生の頃でした。その後、短期売買をメインに手がけるトレーダーに転身したのですが、投資について勉強したことは今でも役に立っています。

25年近く前、投資の勉強をしていれば必ず目にしたのが、伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏とその盟友であるチャーリー・マンガー氏の、バークシャー・ハサウェイ。

お二人の健康リスクが会社の最大のリスクであったのですが、ついに2023年11月28日、バークシャー・ハサウェイ副会長のチャーリー・マンガー氏が亡くなりました。99歳でした。

バフェット氏はご健在とはいえ、1930年生まれの93歳です。

マーケットで売買をして生きている身としては、バフェット氏の存在は、とても大きく、安心できる、心のよりどころのようなものだと感じています。そのご盟友が亡くなったというのは、私にとってもとてもショックな出来事でした。

人はいつか必ず……。その日のために、なるべく早く稼ぎたいですね。そして、世の中の役に立つようなお金の使い方をしたい。がんばらなきゃな。

チャーリー・マンガーさん、お会いしたことはありませんが、ありがとうございました。謹んでお悔やみ申し上げます。そして、心からご冥福をお祈りいたします。

(本記事は「株の学校トピックス」からの転載記事です)

[執筆者]窪田 剛
窪田 剛
[くぼた・つよし]トレーダー、投資家。オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師。数日から数週間保有するスイングトレードをメインに手がける。トレーダーとして日々相場と向き合うかたわら、エンジェル投資家としてベンチャー企業に出資したり、社会貢献活動にも力を入れる。スキーとサウナ、温泉とゲームが好き。著書に『株の学校』『株の学校 超入門』(いずれも高橋書店)がある。
最新記事
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格など投資の最終決定は、ご自身のご判断で行っていただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証するものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等にはお答えいたしかねますので、予めご了承くださいますようお願い申し上げます。また、本コンテンツの記載内容は予告なく変更することがあります。