投資家がおすすめする証券会社 使い分けのコツと、手数料より重視すること

岡田禎子
2021年10月19日 12時00分

《証券会社や資産運用会社を経て独立し、さらに20年以上にわたって株式市場と向き合ってきた個人投資家は、どんな証券会社を使っているのか。個別株投資に特別な思い入れをもつ筆者ならではの、証券会社の使い分け法も紹介》

個別株分析派の証券会社選び

私は、個別株リサーチ重視のスタイルで株式投資をおこなっています。

個別株分析で重要なのは、自分が納得するまで調べられるかどうか。ただ、個人投資家では企業リサーチにも限界がありますので、証券会社のサイト内に掲載されている個別銘柄分析や、コラム、アナリストレポートなども参考にしています。

例えば、ファンダメンタルズ分析では主にマネックス証券、マクロや大型株は大和証券、中小型株なら岡三オンライン証券を見て、楽天証券でチャートをチェックし、総合的にはSBI証券で確認する……といった具合に、必要に応じて証券会社を使い分けています。

投資とトレードでも証券会社を使い分け

さらに、短期でトレードする銘柄と資産形成のための長期保有の銘柄は明確に分けています。そのため、資産管理をしやすいよう証券会社も別にしています。

短期トレードにはチャート&板が欠かせないので、楽天証券のトレードツール「マーケットスピード」を愛用。短期売買は情報戦ともいえますが、このツールで「日経テレコン21」など多くの情報が無料で即座に読めるのも魅力なのです。

長期の資産形成には、個別銘柄+NISAやiDeCoを活用しています。日本株以外にもアメリカ株ETFも組み入れていますので、総合力ナンバーワンのSBI証券でまとめて管理。住信SBIネット銀行と連携しているのも便利です。

アメリカ株投資にはマネックス証券で行っています。アメリカ株では先駆的な証券会社でもあり、情報も厚く、さまざまな発注方法ができるので使い勝手が良いです。

私が好きな証券会社・5選

【第1位】楽天証券

ご存じ、楽天グループのネット証券会社。楽天ポイントで株式投資ができるサービスなどで新規口座開設数では3年連続ナンバーワンと、ネット証券最大手のSBI証券に迫る勢いがあります。

・おすすめポイント

  • なんといってもトレードツール「マーケットスピード」が便利。Mac対応で画面もカッコよく、機能的。
  • ツール内のニュースでは「日経テレコン21」やフィスコ、四季報速報なども無料で読める。
  • スマホ版も使いやすい。個別銘柄の情報も必要なものは一通りあるため、気になる銘柄をさっと分析する際に大変便利。

トレードツール「マーケットスピード」でチャート分析からトレード、材料集めまで行えるため、日中はほぼこの画面に向き合っています。板を見ながらの短期売買にも最適です。

強いて挙げるなら、銘柄のスクリーニングツールの「スーパースクリーナー」がMacでは使えないことが難点でしょうか。

楽天証券 _ ネット証券(株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA)

【第2位】SBI証券

SBIグループのネット証券会社。ネット証券では最大手です。

・おすすめポイント

  • 総合力ではナンバーワン! 日本株・外国株取引の商品やサービスが充実していて、IPOの取扱いも多く、投資信託の数も多い。
  • 住信SBIネット銀行との連携が何かと便利(為替レート交換など)で、トータルの資金管理がしやすい。
  • 日本株・アメリカ株それぞれのスマホ版も使いやすい。
  • サポートデスクの質が高い。

アメリカ株取引する際に、為替交換を住信ネット銀行で行って外貨入出金サービスを利用して振替すると、手数料が片道4銭と安く済むところが気に入っています。総合力が高いのでNISA、iDeCo、外国のETFなど長期の資産形成には使い勝手が良く、ひとつの証券会社で管理できる点も魅力です。

ただ、個別銘柄の「分析」欄が独自の企業スコアになっているため、私のように自分で分析する人にはあまり参考になりません。

SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA

【第3位】マネックス証券

マネックスグループの証券会社。アメリカ株投資では先駆け的な存在です。

・おすすめポイント

  • 銘柄分析ツール「銘柄スカウター」が日本株&アメリカ株ともに見やすくて優秀。
  • ファンダメンタルズ分析をする人には企業分析に必要な材料が揃っている。
  • アメリカ株は取扱銘柄数も多く強い。
  • トレーディングツールの「トレードステーション」やスマホ版も使いやすい。

じっくり腰を据えて個別の銘柄分析をする場合には、マネックス証券の「銘柄スカウター」を使ってファンダメンタルズ分析を行い、いろいろなシナリオを考えるようにしています。

日本株の手数料が他のネット証券に比べてやや高めですが、私にとっては十分に価値のある証券会社です。

マネックス証券 | ネット証券(株・アメリカ株・投資信託)

【第4位】大和証券

創業110年を超える、国内第2位の大手証券会社。

・おすすめポイント

  • 往年の4大証券の一角らしく、アナリストやエコノミストによる投資情報レポートやリサーチレポートの質が高い。
  • 動画レポートも充実している。

マーケットの動向を大きく掴む際に、大和証券のサイト内に掲載されている投資情報や各種統計、POSデータなどのマクロ情報などを参考にしています。

ただ、各種レポート・情報などはある程度の経験者向きとなっており、手数料も高めです。

大和証券 | コンサルティングとネット取引の大和証券

【第5位】岡三オンライン証券

創業100年を超える独立系準大手の岡三証券グループが運営するネット証券会社。中小型株に強い証券会社として有名です。

・おすすめポイント

  • 「情報の岡三」として知られており、特に中小型株の分析においては業界でも定評がある。
  • なかでも、アナリストによる企業レーティングやレポートは独自の視点で読ませるものが多い。
  • サイト内の投資情報コーナーは個人投資家向けの個性的なものが充実している。

銘柄選びの際にアナリストの個別株レポートなどを参考にしています。残念なのは、アメリカ株がないこと。

ネット証券会社なら岡三オンライン証券(株・投信・先物・くりっく365・株365)

証券会社選びで投資スタイルを確立

それぞれの証券会社の得意分野を活かし、自分の投資スタイルに合わせて使い分けることで、自分自身の投資方法もより明確になって来たように思います。証券会社によってはやや手数料が高いところもありますが、私の場合は、コストよりも機能や情報量を重要視しています。

ひょっとすると、いろいろと使い分けることは大変なように感じるかもしれませんが、株の世界にはあらゆる側面があり、幅広い視点で相場に向き合うことがとても大切です。リスクヘッジの観点からも、「卵は一つのカゴに盛ってはいけない」は証券会社選びにも当てはまるのではないでしょうか。

《参考》トレーダーはどんな証券会社を使っているのか?

[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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