『四季報』のユニークな見出しに込められた、深〜い意味

3000社を超える上場全社の情報を網羅した『会社四季報』(東洋経済新報社)。ライバルの『日経会社情報』(日本経済新聞社)が2017年3月発売号を最後に休刊、電子版に移行したため、もはや『四季報』の無双状態となりました。

この王者、実はなかなかお茶目なところもあり、「大喜利か!」とツッコみたくなるようなユニークな「見出し」も、結構よく見かけます。そんな見出しを活用する方法を解説したいと思います。

『四季報』独自の業績予想

『四季報』の特色として、上場企業なら必ず出している期末の業績予想数値ではなく、『四季報』自体が独自の予測数値を出している点があります。

企業が出す数値が「強気」か「弱気」かは、企業ごとに面白いほどカラーが異なります

堅実な数値を出してしっかり実現する期待を裏切らないところから、「大丈夫?」と思うほど強気なところまで。めちゃくちゃ強気なところですと、期末直前に「ゴメン、やっぱり目標に届きませんでした!」と修正のお知らせなどを出したりもします。

当然、企業が公式に出す業績予想数値と、『四季報』の予想数値で大幅に違いが出てくるケースもあります。それはページの“隅っこ”を見ればすぐわかるようになっています。それについて詳しくは、以下の記事をご参考に。

【参考記事】鍋敷きにしない『四季報』活用法 見るべきはページの“隅っこ”

見出しは『四季報』の視点

『会社四季報』には、上場全企業の株価チャート、過去の業績数値などが掲載されていますが、このような数値情報のほかに、9行の「記事」のコーナーがあります。わずか9行ですが、ここが「いちばんの注目ポイント」だと2017年の4集・秋号にも書かれています。

この9行は2部構成になっています。前半が「業績欄」、後半が「材料欄」です。

[業績欄]期末の営業利益は前期と比べてどうなるか?

先ほど紹介した『四季報』独自の業績予想数値について、「こういう根拠から出しました」と述べているのが、9行の記事の前半「業績欄」です。そして、この業績欄でどんなことを言っているのかをコンパクトに示したのが、業績欄の「見出し」になります。

見出しでは【順 調】【好 調】【堅 調】【横ばい】という言葉をよく見かけますが、これは「前期の営業利益から順調(好調/堅調/横ばい)です」という意味です。主語が「売上高」でなく「営業利益」であることに注意しましょう。

『四季報』では、とくに主語がなければ、それは基本的に「営業利益」を指します。売上高や純益(当期純利益)について言いたいときは、それらが主語につきます。

業績欄の見出しで特筆すべきは【独自増額】もしくは【独自減額】です

これらは「会社予想数値ではこうだけれど、『四季報』としては独自予想数値で増額(減額)しました!」という意味。会社の予想数値と乖離が起きているということで、『四季報』の記事内容で相場が動く「四季報相場」が発生することもあります。

【参考記事】1社当たり0.6円! 投資家のバイブル『会社四季報』の5つのチェックポイント

[材料欄]その他の中長期的なトピックなど

9行の記事の後半である「材料欄」は、「業績欄」のように直近の業績に直結するほどのことではないけれど、中長期的に面白いな、というトピックスが取り上げられます。

業務提携や新規事業の紹介などが多く、見出しにも【提 携】【拡 大】【開 発】といった言葉を多く見かけるのですが、たまに、ダジャレなどユニークな見出しも出てきます。9月に発売された最新号(2017年4集・秋号)で見かけた、ちょっとユニークな見出しの一部を紹介しましょう。

帝国の矜持】……某ホテル業。長年の歴史を活かした新サービス展開を紹介
お買い得】……某通信業。ベンチャー企業を割安に買収した経緯を紹介
18歳若返り】……某通信業。見出しどおり、会社トップの若返りを紹介
おひとり様】……某旅行業。一人旅限定ツアーの新サービス紹介
ネコ深堀り】……某保険業。猫向け保険を強化
値下げの嵐】……某流通業。プライベートブランドの値下げを紹介
すくすく成長】……某アパレル業。子供服の積極展開を紹介

こうしたユニークな見出しがあると目に止まりますよね。戦前生まれ(1936年創刊)の『四季報』は、変化をよしとしないクラシカル100%な媒体に見えつつ、意外とチャレンジングというか、お茶目なところもあるのです。

また本号では【働き方】など、時短勤務や女性活用といった働き方改革に触れている企業が多く、材料欄をパラパラと眺めるだけで、いま多くの企業が注目しているトピックスもわかります。上場しているすべての企業が掲載されているので、この情報量は他ではなかなか得られません。

楽しめる資料として活用を

このように「ひとつの項目を気軽にパラパラめくって比較できる」のは、紙媒体ならではの利点でしょう。書籍などの電子化が進んでいますが、『四季報』はぜひ紙で続けてほしいものです。

見出しについてまとめると、以下のようになります。

①『会社四季報』の文字9行の記事コーナーは「業績欄」と「材料欄」に分けられる

②前半「業績欄」には、「期末の営業利益が前期に比べてどうなるか」を『四季報』が独自に予想したものが掲載されている。注目は【独自増額】【独自減額】

③後半「材料欄」には、トピックス的な項目が記載されている。ユニーク見出しはココ

なお、最新号(2017年4集・秋号)もひととおり見てみたのですが、今回はダジャレ系は不作でした。残念。たまに、大塚商会「たのめ~る」のTVCMと一騎打ちできるような、しょうもない見出しもあったりするので、ぜひ、それを見つけることを楽しみにパラパラと眺めてみてください。

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