分厚いのには理由がある。株初心者にやさしい『会社四季報』の魅力とは

熊田もみじ
2020年5月1日 8時30分

初心者にやさしい『会社四季報』

株の始め方は人それぞれですが、なかには、多種多様な銘柄からどれを選べばいいのか戸惑う人もいるのではないでしょうか。そんなときは、『会社四季報』を開いてみるのもひとつの手です。

上場企業の情報がギュギュッと凝縮

会社四季報は、上場しているすべての企業の情報が一冊にギュッとまとめられた書籍です。各社の事業内容や株主、役員などの基本的な概要、財務状況、業績、取材に基づく今後の見通しや予想材料……といった豊富な情報が掲載されています。

会社四季報には、通常版とワイド版の書籍のほか、CD-ROM版、WEB版などがあり、オンラインサービスを利用して情報を得ることもできます。なお、未上場会社版も発行されているので、次なる大型IPOを探す場合などは、こちらが参考になるかもしれません。

読み方・使い方は人それぞれ

会社四季報には、それぞれの企業の情報がコンパクトにまとめられています。コンパクトと言っても、4000社近くある全上場企業の情報が載っているわけですから、一見すると辞書のような分厚さ。ドンッと佇むその存在感に圧倒され、手に取ることをためらう人もいるはずです。

それでも、これだけの情報が一冊にまとまっている価値は高く、業績や今後の予想など決まった項目に分かれて掲載されているので、自分に合った使い方ができます。

例えば、じっくりと腰を据えて全体に目を通すのが合う人もいれば、雑誌を開く気分でパラパラとめくる人もいます。項目ごとに拾い読みしたり、気になった企業の情報だけを熟読したり、日によって読み方を変えてみたり。かなり分厚いので、うたた寝の枕としても役立つかもしれません。

本当に株を始めたばかりの人なら、「この企業も上場していたんだ」という発見があったり、「こんな企業もあるのか」と興味を持つきっかけになったり、株への興味を深めるきっかけにもなるはずです。

四季報だけで勝てるわけじゃない

また、四季報のすごいところは、全上場企業に担当者をつけて、「決算発表や新製品情報、工場取材、社長をはじめとした幹部への取材などを通じて日常的に会社を取材し続けて」いるところ。そして、それをもとにした、独自の業績予想を立てているところです。

しかも、それを年4回、四半期ごとに出しているのですから、記者の方々は一体いつ寝ているのやら……。

そんな四季報の予想に信頼をおく人も多いようで、四季報がポジティブな予想を出した銘柄に買いが集まって株価が上がる……なんてことも、あるとかないとか。とはいえ、四季報の見方が必ずしも正しいではありませんし、四季報で勝てるなら誰も苦労しません、ええ。

株を始める上でも、必ず四季報が必要なわけではありません。全ページを読破すれば勝てるわけでもありませんし、四季報なんて見たことない(でも実績を残している)、という投資家・トレーダーもたくさんいます。ちょっと残念ですが、この点は絶対に忘れてはいけません。

ユニークな見出しも見所

ところで、会社四季報のページを繰っていると、ユニークな見出しを見つけます。財務情報などの数字が小さな文字で詰め込まれている誌面にあって、そこだけ何とも平和な空気を漂わせていて、個人的に楽しみにしています。

『2020年1集 新春号』から、実際にわたしの目に留まった見出しをいくつかピックアップしてみました。

  • 「ゴジラ」……パソナグループ<2168>。淡路島「ニジゲンノモリ」で等身大ゴジラを20年夏に設置予定であることを紹介

  • 「脱トマト」……カゴメ<2811>。初の研究畑出身、山口聡氏が2020年1月付で新社長に就任、『野菜生活』のアジア展開などを紹介

  • 「たれ戦略」……エバラ食品工業<2819>。競合の安値攻勢に対し容量の多様さで差別化を図ることや、同時に節約志向に対応するたれを拡販することなどを紹介

  • 「特命班」……テンポイノベーション<3484>。中途採用担当の専門部署設立などを紹介

  • 「彫り深い」……鶴弥<5386>。陶板壁材に深い彫り入りの新柄を投入したことを紹介

  • 「大海に乗り出す」……ベストワンドットコム<6577>。2019年12月、大手旅行会社競合の添乗員同行ツアーに参入したことを紹介

  • 「不適切募集」……かんぽ生命保険<7181>。約1900万人の顧客に対し契約調査書面を発送、その後の対応などを紹介

  • 「オトナに照準」……スターツ出版<7849>。大人向け恋愛小説原作の電子コミック化を販促強化することなどを紹介

  • 「空中店舗」……コスモスイニシア<8844>:遊休駐車場上空に収益物件の開発を提案、横浜に1号店が進捗していることなどを紹介

楽しげなワードが並んでいて、企業だけでなくビジネスそのものにも興味が湧いてきます。ただ、今後はコロナ禍で発行されますので、もっと厳しいワードが多くなるのかもしれません。その中でポジティブな見出しがあれば、ぜひ注目したいですね。

大事なのは「株価がどうなっているか」

とはいえ、やはり気になるのは「実際の株価がどう動いたか」。企業を探す就活生ではなく、銘柄を探す個人投資家としては、それがすべてです。

弁護士ドットコム<6027>は、『会社四季報ワイド版18年春号』で「転職支援」という見出しに惹かれて注目しました。管理部門向け転職支援サービスを開始したとのことで、時事ネタの法律的見解を紹介するネットニュース企業というイメージがあったので、意外性に目が留まり、期待感を持ちました。

同社の株価は、四季報発行日の2019年3月16日時点では2,261円でしたが、半年後の9月14日には4,155 円まで上昇。働き方改革というテーマ性にも合致していることから、注目が集まったのかもしれません。

ステイホームのお供にも

ヤフーファイナンスをはじめ株に関する情報サイトは内容が充実しており、そこには四季報よりも多くの情報が、しかもリアルタイムで掲載されています。でも、1銘柄ずつ順に見ていくのは大変ですし、そもそも存在さえ知らない企業については調べようもありません。

株を始めてみたいけれど、どの銘柄を買えばいいのかわからない、どのように企業情報を収集すればいいのかわからない。そんな理由で一歩を踏み出せずにいるのなら、『会社四季報』という扉を開いてみるのもいいかもしれません。

世はステイホーム週間。毎日、四季報をめくっていれば、あっという間に終わってしまうでしょう。現在の最新号は3月16日発売の『2020年2集 春号』。多くはコロナ前の情報だと思われますので、その点は注意が必要ですね。

[執筆者]熊田もみじ
[くまだ・もみじ]ライター。依頼に合わせ、美容から節税まで幅広いジャンルを執筆。たまに入ってくる軍資金を握りしめ、『会社四季報』を眺めるのが楽しみのひとつ。ともすると右脳で行動しがちな性格に抵抗すべく、ファイナンシャル・プランナー資格の取得も密かに目論んでいる。
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