少ない元手で急激に資産を増やせる「信用取引」の魅力と注意点

岡田禎子 2020/09/18

最強の武器となり得る信用取引

「株を始めたのはいいけれど、まだ資金が少ないから全然お金が増えない……」「欲しい株が大きく下がっていてチャンスなのに、たくさん買えるだけの資金が足りない……」──そんな悩みを解決できるのが信用取引です。

信用取引の世界へようこそ。少ない手持ち資金で大きな金額を取引できる信用取引は、うまく身につければ効率的に資産を増やせる最強の武器になります。

そもそも「信用取引」とは

信用取引とは、証券会社から現金や株式を借りて行う売買のことで、手持ち資金の約3倍の取引ができます。

「信用」という名前の通り、かつては証券会社の支店長が直々に面接をして選んだ、預かり資産が何千万以上の顧客のみ、という厳しい条件がありました。しかし、現在は誰もが簡単な手続きで信用取引ができるようになりました。

信用取引は、小さな資金で大きな資金を動かし、効率的にお金を稼ぐことができます。また、株の値動きに大きな影響力を持つ信用取引の仕組みを知ることは、株取引をするうえでとても役に立ちます。

信用取引の3つの魅力

信用取引には大きく分けて3つの魅力があります。

(1)手持ち資金の約3.3倍の取引ができる

信用取引では、担保(委託保証金)となる現金や株式を証券会社に預けると、その約3.3倍の金額まで取引が行えます。例えば、30万円の元手で100万円の取引ができるということです。

100万円で購入した株が目論見どおり10%上昇して110万円になった場合、利益は10万円。一方、現物の30万円で取引した株が10%上昇し33万円になった場合の利益は3万円なので、その差は約3倍です。

このように、少ない手持ち資金でより多くの利益をあげることをレバレッジ(てこの原理)効果といい、信用取引ならではの魅力です。現物だけの取引よりも資金効率が良く、お金が増えるスピードもグンとアップします。

(2)「売り」から始めて下落局面でも利益を狙える

信用取引では、株価が下落しそうな局面でも利益を狙うことができます。なぜなら、証券会社から株券を借りて、いきなり「売り」(空売り)から取引を始められるからです。

株価が上がっている時には信用取引の「買い」を、下落している時は「売り」を行うことで、機動的に利益が狙えて、収益チャンスが広がります。

(3)保有している株や投資信託を担保として有効活用できる

信用取引では、手持ちの株式や投資信託を担保にして新規の取引が可能です。現物株では売却して現金を用意するしかありませんが、信用取引ならチャンスを逃さず儲けを狙えるのです。

信用取引の仕組みを理解しよう

・担保30万円で60万円の株を「信用買い」した場合

信用取引の「買い」の場合は、証券会社に預けている現金や株、投資信託を担保にお金を借りて株を買います。一般的に信用買いした株は6か月以内に売って現金化して返済するか、現引き(現金でその株を現物の株として引き取る)して精算します。

例えば、担保30万円で60万円の株を信用買いした場合、株価が80万円に値上がりしたら20万円の儲けとなりますし、40万円に値下がりしたら20万円の損失となります。自己資金の30万円から20万円引かれて、口座には10万円しか残りません。

・担保30万円で60万円の株を「信用売り」した場合

一方、信用取引の「売り」の場合は、証券会社から株を借りて先に売ります。信用期日までに借りてきた株を返済しなければいけませんので、それまでに株を買い戻し、もしくは株を調達してきて「現渡し(同銘柄・同数の現物株を渡す)」します。

例えば、担保30万円で60万円の株を信用売りした場合、株価が値下がりして40万円で返済買いすれば20万円の儲けとなります。値上がりして80万円で買い戻しすれば20万円の損失となり、口座には10万円しか残りません。

オリエンタルランドで信用取引

「東京ディズニーランド/シー」を運営するオリエンタルランド<4661>は個人投資家のファンも多い優良銘柄です。しかしながら、2020年9月16日時点の株価は14,810円。株の売買は100株単位なので、同社株を買いたい場合は148万円の資金を用意する必要があります。

「100万円超えの株を買うのはちょっと……」と躊躇してしまう方も多いはず。でも信用取引を使えば、元手の約3倍までの取引ができるので、つまりは、148万円の3分の1の50万円で買うことが可能なのです。

ショック時も「売り」なら利益を出せる

同社の株は2020年1月15日に16,075円の高値を付けましたが、コロナショックで3月13日には11,250円まで、約30%下落しました。この時、信用取引の「売り」からエントリーしていれば、株価の下落局面でも収益チャンスに変えることができました。

また、3月13日に下値を付けた後、3月25日には14,890円まで株価がV字回復しました。このとき、信用取引の「買い」でエントリーしていれば、株価上昇局面で大きな利益を上げることができたのです。

このように、信用取引では、株価の上昇時は「買い」から、下落時は「売り」から取引を始めることで、どちらの局面からも儲けを狙うことができます。これが現物株のみの取引の場合、株価が下がりそうな局面の時に「売り」から取引することはできないため、成り行きをただ見守るしかありません。

また、底値を付けた3月13日が絶好の買いチャンスだと思った時、もしも手元資金がなくも、保有している株や投資信託を担保に取引することが可能です。例えば、長年放置したままの塩漬け株(損したまま保有している株)。それらをうまく活用することで、儲けるチャンスを広げられるのです。

信用取引の注意点

信用取引には、証券取引所がルールを定めている「制度信用」と、証券会社が個別にルールを定めている「一般信用」の2種類があります。

制度信用では取引できる銘柄や6か月以内に反対売買を行って決済するルールがありますが、一般信用は、証券会社と投資家の間で比較的自由にルールを決められます。ただ、信用取引にかかる費用は制度信用より高めとなっています。

最も注意すべきは「追証」

信用取引を行う上で最も重要で注意しなくてはならないのは「最低保証金維持率」です。

信用取引を行う場合、信用口座内の現金や現物株を一定の担保(委託保証金)として証券会社に差し入れる必要があります。建玉を維持するのに必要な委託保証金の割合を「最低保証金維持率」といいます。

委託保証金が最低保証金維持率を下回ると、「追証(おいしょう)」と呼ばれる追加の担保が発生します。追証が発生したらすぐ(翌々営業日など)に入金しなければ、証券会社の判断で株を強制処分されてしまいます。

たとえば、委託保証金60万円で180万円の株を信用買いし、その後20%下落した場合、評価損(購入時の価格と現在の価格の差額)は36万円となり、委託保証金は24万円(60万円−36万円)に減ってしまいます。

最低保証金維持率は証券会社によってまちまちですが、仮に20%とした場合、180万円の20%である36万円が最低限キープしなければいけない金額です。したがってこの場合、追加保証金として12万円分(36万円−24万円)を追加で差し入れる必要があります。

直ちに12万円入金すれば最低保証金維持率はキープできますが、もしも株価がさらに下がり続けると、36万円をキープするために際限なく追証を入れ続けることになります。このように、一度追証が発生するとなかなか抜けられないのが実情です。

そして、もしも維持率をキープできなくなってしまえば、株を処分されて損失が確定してしまいます。

信用取引では倍率が高いほど大きな利益を狙えますが、同時に損失も膨らみやすくなるため、株価が小さく動いただけでも追証発生という緊急事態になりかねません。最低保証金維持率に細心の注意を払いつつ取引することが肝要です。

リスク管理を徹底すれば怖くない

信用取引には「怖い」というイメージがつきまといますが、リスク管理を徹底すれば必要以上に怖がる必要はありません。資産を急激に増やすために、信用取引はひとつの有効な手段。また、株価は常に上下を繰り返して動いていくため、下落局面でも利益に変えられる手段を持っておくことは大きな強みです。

本気で資産形成したい人、ひとつ上のステージにチャレンジしてみたい人は、信用取引を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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[執筆者]岡田禎子
岡田禎子
[おかだ・さちこ]証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力も務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)【株窓アワード2019大賞】
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