株価が下がると損をすると思っていませんか? 「空売り」という選択肢

かぶまど編集部
2016年2月25日 16時14分

「株価が下がる」ことは、個人投資家にとって損をする場面だという認識をお持ちではありませんか? 実は、そんなことはないのです。では、どうすればいいのか? 株を「買う」ではなく「売る」という選択肢を考えてみましょう。今回は「空売り」について解説します。

下げでも利益を出せる「空売り」とは?

株は「上がる」だけでなく「下がる」こともあります。そんなこと、あたりまえですよね? それなのに、なぜか株を「買う」ことしか考えられない方が大半を占めます。

株が下がったときは、「寒い冬をじっと耐えて春が来るのを待つかの如く、耐え忍ぶだけ」「買ったタイミングが悪かったと反省して、次は間違えないようにする」……そんなふうに思っている個人投資家は非常に多いです。

しかし、それはあるひとつの方法を知らないだけかもしれません。

それが「空売り」です。「からうり」と読みます。実際には持っていない株を先に売って、将来買い戻すという取引方法のことを指します。この空売りを活用することによって、株価が下がる局面で利益を出すことが可能となります。

具体的に考えてみると

株価1000円だったA社株が900円に値下がりしました。このとき、1株保有していたら100円の損失となります。では、このA社株を空売りしていたら、どうなるでしょうか?

まず、1000円でA社株を空売りします(+1000円)。そこから900円まで下落した時点で「決済(買い戻し)」を行います(−900円)。すると、差額の100円が残ります。これで利益確定。つまり株価が下がれば、その下落分が利益となるのです。

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株価は上昇と下落を繰り返しながら日々動いています。その一方(上げ)だけを見ていると、せっかくの大きなチャンスを見逃してしまうかもしれません。

どうすれば空売りできるの?

空売りをするには「信用取引口座」が必要です。証券口座を開設するときに同時に開設することもできますし、すでに証券口座を開設済みであれば、追加で申請することもできます。

信用取引口座を開設する際には、証券会社による審査があります。年齢や投資資金額、投資歴などの質問項目に回答し、審査結果を待ちましょう。

【参考記事】空売りできない銘柄もある? 信用取引の仕組みを知る

証券口座開設の時点で審査を通っているのに、なぜ、さらに審査が必要になるか?と思うかもしれません。

「信用取引」というのは、読んで字のごとく、証券会社に「信用」してもらうことで、持っている資金以上の取引ができるようになります。預けているお金を担保に、証券会社のお金を借りて取引できるのです。

空売りでは、自分が保有していない株を証券会社から借りて「先に売る」ことになります。証券会社が「将来買い戻す予定の株を、先に貸してあげます」ということなのです。

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個人投資家の5%しか「下げ」で利益が出せない?

日本証券業協会の調査によると、2015年3月末時点でインターネット取引口座は2088万口座が開設されています。そのうち、信用取引口座は114万口座(約5.5%)しか開設されていません。

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つまり、日本の個人投資家の5.5%しか「下げ」で利益をあげることができないということです。「上がる」一辺倒に投資している、もしくは、その選択肢しか持たない個人投資家が圧倒的に多いことが、この数字からわかりますね。

株価は「上げ」「下げ」を繰り返しているにもかかわらず、「下げ」に対する選択肢を持っていないことは、半分のチャンスしかつかめない、といっても過言ではないのではないでしょうか。

ちなみに、1円以上の資金が口座に入金されている口座(有残高口座)の数は、インターネット取引口座が1430万口座、信用取引口座は74万口座(5.2%)でした。

プロは「下げ」が好き?

投資銀行やヘッジファンドなど、株のプロと呼ばれる人々は「上げ」よりも「下げ」が好きだとよく言われます。それはなぜだと思いますか?

彼らはもちろん、「下げ」でも利益を取れる方法で取引をしています。

【参考記事】絶対ダメ! 信用取引をやってはいけない人の3つのパターン

株式相場は時間をかけて上昇し、短期間で下落することが歴史的に繰り返されています。わかりやすい例をあげるならば、「○○ショック」などというのは、その代表的なものですね。日経平均株価のチャートでも、「上げ」と「下げ」の関係(ローソク足の長さ)を比べると一目瞭然です。

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「上げしか利益にできない投資家」と「上げも下げも利益にできる投資家」……あなたは、どちらの投資家になりますか? 空売りという選択肢を、ぜひ検討してみてください。

[執筆者]かぶまど編集部
かぶまど編集部
無防備なまま株式市場に参加して大切なお金をなくしてしまう人をひとりでも減らしたい──そんな思いから、未来の株価や相場を予測するのではなく、過去の事例やデータといった「普遍的な事実」に焦点を当てた記事を発信します。同時に、株初心者の方や、これから株を本気で始めようとしている方にもわかりやすい解説を心がけています。
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