【集中連載】だれが相続人になるのか? 法定相続人の序列とその割合
法定相続人とは?
「相続人」とは、亡くなった方の財産を包括的に(丸ごと)引き継ぐことができる資格がある人をいいます。資産だけでなく、借金も引き継ぎます。
法律上は、ある人が亡くなった瞬間に、「法定相続人」へ財産が渡ったものとして扱われます。
法律が定める相続人は「子」「父母」「兄弟姉妹」
亡くなった人を基準にしたとき、法定相続人は次の通りです。
①子(養子を含む)
↓ 子がいない場合
②父母(養父母を含む)
↓ 子も父母もいない場合
③兄弟姉妹
法定相続人が複数いる場合は、遺産を平等に分ける(等分する)ことになります。このときの分け前を「法定相続分」といいます。
嫡出子と非嫡出子は区別されない
かつては、結婚している夫婦の間に産まれた子を「嫡出子」、結婚していない男女の間に産まれた子は「非嫡出子」として区別され、民法900条は非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1と扱ってきました。
しかし、2013年9月4日、最高裁判所はこうした法の規定を「法の下の平等」に反し、憲法違反の状態にあるとする判決を示しました。この判決の影響を受けて民法は改正され、現在では嫡出子と非嫡出子の間でも区別せずに、「子」として同じ相続分となっています。
子も親も兄弟姉妹もいない場合は……
もし亡くなった方に、子も親も兄弟姉妹もいない場合には、「特別縁故者」が遺産を引き継ぎます。裁判所が「公告」という手続きを採り、亡くなった方の特別縁故者にあたる人は名乗り出るようにと、広く呼びかけます。
亡くなった人を基準としたとき、特別縁故者といえる人は、次の通りです。
- 法定相続人ではない親族(叔父母・おい・めい・いとこなど)
- 内縁(事実婚)の夫や妻
- 亡くなった方を生前、介護・世話していた友人・知人
約1年以上経っても特別縁故者が現れなければ、最終的に遺産は国庫へ帰属し、国有財産として公のために使われます。
配偶者がいる場合の法定相続人
一方で、亡くなった方に存命中の配偶者がいるとき、法定相続人は次の通りとなります。かっこ内は、遺産全体を「1」としたときの法定相続分です
①配偶者(1)
↓ 子がいる場合
②配偶者(2分の1)・子(2分の1)
↓ 子はいないが親がいる場合
③配偶者(3分の2)・親(3分の1)
↓ 子も親もいないが、兄弟姉妹がいる場合
④配偶者(4分の3)・兄弟姉妹(4分の1)
代襲相続とは?
たとえば、亡くなった方の子がすでに死亡していた場合には、今回亡くなった方の親が法定相続人となるのが原則です。
ただし、すでに死亡していた子に子がいる場合、つまり、亡くなった方にとっての孫がいるときには、この孫が代わりに法定相続人となります。
もともと法定相続人の資格を持っていた人物が死亡していたために、その子が資格を引き継ぐのです。これを「代襲相続」と呼びます。
本来なら、いずれ引き継ぐことができたはずの遺産なのに、親が早く死亡したせいで引き継げなくなるとすれば、不公平です。よって、その不公平を解消するため、代襲相続が認められているのです。
亡くなった方の子、あるいは兄弟姉妹が法定相続人となる場合で、その法定相続人がすでに死亡しているならば、その子どもが代襲相続をする権利を得ます。なお、養子にも代襲相続の権利があります。
【集中連載】知っておきたい相続の基礎知識
1 株をやるなら必ず押さえておきたい「相続」の基礎知識
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